2025.11.17「黄色のサイン」がつないだ、次男くんの“大相撲ラブ”──さいとうさちこ先生の子育てエピソード
こんにちは。ベビーサイン協会代表の吉中です。
今日は、認定講師の さいとうさちこ先生 から届いた、とても素敵な“わが子とベビーサイン”のお話をご紹介します。
読んでいて思わずクスッとしたり、「あぁ、ベビーサインってやっぱりいいな」としみじみ感じたり…。そんな温かいエピソードです。
ベビーサインとの出会いは、第一子の育児中
さちこ先生は、第一子の育児中にベビーサインと出会いました。
先生はなんと、もともとラジオキャスター。声のお仕事をしていたので、赤ちゃんと“まだ話せないのにコミュニケーションできる”ということに衝撃を受けたそうです。
「これはもっとママたちに広めたい!」と、
第二子を妊娠中に認定講師の資格を取得。
次男くんは、まさに“生まれた瞬間からベビーサイン環境”での育児スタートだったんですね。
10ヶ月で返ってきた初めてのサイン。そこから爆発!
生後10ヶ月で初めてサインを返してくれた次男くん。
そこからは、まさに雪崩のようにサインが増えていき…
2歳までに170語!
これは、ちょっとした「ベビーサイン語彙力王」です(笑)
ベビーサインで「やりたいこと」や「気持ち」をどんどん伝えてくれるので、
自然と“この子はなにが好きなのか”にも気づきやすくなったとのこと。
1歳3ヶ月、「黄色」のベビーサインが大ブームに
その中でも特に可愛かったのが 色のベビーサイン。
1歳3ヶ月頃に覚えてから、特に「黄色」が大のお気に入りに。
黄色いものを見つけると、満面の笑みで
「きいろ!」のベビーサイン。
ここから、思いもしなかった世界へつながっていきます。
色→相撲へ。まさかのルートで“推し活”スタート
さちこ先生のご家族は、実はみんなお相撲好き。
本場所の時期は、夕方からテレビで観戦するのが定番だったそうです。
そこで次男くん、気づくわけですよ。
「締め込み(まわし)って、いろんな色がある…!」
色好きの子には、そりゃもう刺さりますよね。
特に当時、黄色い締め込みをしていた 遠藤関 が出てくると、それはもう大喜び。そこから、「黒!」「青!」と、まるで実況中継のようにベビーサインで色を教えてくれるように。
やがて興味は、締め込み → 化粧まわし → 力士 → 相撲そのものへ。
階段を駆け上がるように“相撲愛”が深まっていきました。
3歳前には「四股名と所属部屋」を写真だけで判別
これは私も読んで驚いたのですが…
3歳前には、雑誌の力士の写真を見て
「○○部屋の○○!」とわかるようになっていたそうです。
(文字はまだ読めていないのに!)
恐竜や電車にハマる子もいるように、
次男くんにとっての“沼”は 相撲 だったんですね。
家族で全力サポート。「好き」のエネルギーってすごい
さちこ先生ご一家は、次男くんの「好き」を全力で応援。
土俵入りごっこ、行司ごっこ、呼び出しさんの真似…
家の中がちょっとした相撲部屋のようになっていた時期もあったそうです。
楽しそうに夢中になる姿を見ていると、
親としても“もっと伸ばしてあげたい!”と思いますよね。
ベビーサインが“好きを見つける力”をくれた
さちこ先生はこう言っています。
きっと、ベビーサインで色を楽しむ経験をしていなかったら、
ここまで相撲にハマることはなかったと思うんです。
もうひとつ、個人的に深く共感したのは
「ベビーサイン育児をしていると、子どもの表情をよく見るようになる」
という言葉。
確かにそうなんです。
ベビーサインを返してくれる日を待っていると、自然と表情や手の動きに敏感になる。それが、“好き”に気づくアンテナになるんですよね。
そして現在。7歳の次男くんは相撲クラブで奮闘中!
次男くんは現在7歳。
地域の相撲クラブに入り、毎週の稽古に励んでいます。
3歳の頃からの夢はずっと
「横綱になること」。
もう、まっすぐで素敵すぎます。
本人は、その夢に近づくために「入りたい高校」まで考えているそうで、
家族みんなでその背中を優しく押しているとのこと。
おわりに──「ベビーサインでつながる」って、こういうこと
このエピソードを読んで、改めてベビーサインには
「親子の小さな気づきを積み重ねて、子どもの世界をぐっと広げてくれる」
そんな力があると感じました。
何気ない“黄色”のサインが、
一生の夢につながるとは、誰が想像したでしょう。
ベビーサインは、親子の未来をそっと押してくれる小さなサインなのかもしれません。
このほかにも、たくさんの親子のベビーサインエピソードを掲載しているのが、こちらの「ベビーサイン図鑑」是非ご覧ください。

2025.11.17赤ちゃんは、生まれた瞬間から“世界とつながろう”としている
バウアーとヴァンデルメーアが示した驚きの発達科学!
赤ちゃんって、どれくらい世界を理解しているんだろう?
まだ視力も弱く、言葉もない。
大人から見ると「まだ何もわからない存在」に見えてしまいますよね。
でも実は——
赤ちゃんは、生まれたその瞬間から
“自分で世界と関わろうとしている存在”なんです!
発達心理学と発達神経科学、どちらからもとっても大切な視点なんです。
この記事では、その証拠となる
T.G.R.バウアーの(随行性認知) と
A.ヴァンデルメーアの(意図的運動)
という2つの研究をわかりやすく紹介します。
そして最後に、
この2つの研究が ベビーサイン とどうつながるのかも
最後にまとめました。
1|T.G.R.バウアーが示した「随行性認知」
赤ちゃんは“原因と結果”を感じとれる!
1960年代、乳児研究のパイオニアである
T.G.R.バウアー(Timothy G. R. Bower) は、
赤ちゃんの驚くべき能力を明らかにしました。
それが 「随行性認知(contingency perception)」 です。
自分の行動が、周りの変化を引き起こしたと気づく力。
例えば——
赤ちゃんが足を動かすとモビールが動く、
手を動かすと光がつく。
すると赤ちゃんは、その動きを繰り返すようになります。
「こうすると、こうなる!」
まだ数ヶ月の赤ちゃんなのに、
自分の動きとまわりの変化のつながり(因果)を
しっかり感じ取っているんですよ!驚きですよね!
▼ どうしてこれが重要なの?
随行性認知は、その後の発達と深く関わるからです。
-
自己効力感(やればできる!)
-
大人とのコミュニケーション
-
社会的学習
-
意図的な関わり
-
世界への興味の芽生え
つまりバウアーは、
「赤ちゃんは受動的ではなく、能動的な存在」
であることを世界に示した人物なのです。
2|バウアーの後の研究でわかったこと
“もっと早い時期から”赤ちゃんは世界を理解していた!
バウアー以降の研究では、さらに驚く事実がわかりました。
✔ 生後2〜3ヶ月どころか、新生児でも随行性を感じている
例:吸啜(吸う動き)で音・光が変わるとすぐに学習する
✔ 物理的な随行性だけでなく、“社会的随行性”にも反応
例:自分が声を出すと大人が笑う・うなずく、視線が合う など
赤ちゃんは、大人の反応にすごく敏感。
この「通じた!」の経験が、のちの共同注意・語彙獲得などの基礎になっていきます。
“赤ちゃんと大人のやりとり”が発達のエンジン
という考えは、この後の研究でどんどん強固になりました。
3|ヴァンデルメーア教授が示した“意図的運動”
赤ちゃんの動きは「ただのバタバタ」じゃない!
ノルウェー科学技術大学(NTNU)の
A.ヴァンデルメーア(van der Meer)教授 の研究は、
バウアーの理論を“運動の視点”から強力に後押しします。
ヴァンデルメーア教授は、
新生児〜生後数ヶ月の赤ちゃんの運動を詳細に調べ、
次のことを明らかにしました。
✔ 赤ちゃんの手足の動きは“意図的で学習的”。
ただの偶然のバタバタではない!
-
自分の手を見つめる
-
その手を動かしてみる
-
動きと見え方を合わせようと調整する
-
何度も試行錯誤しながら動きを洗練させる
つまり、ぎこちないけど
“自分の体をコントロールしよう”という意思が
生まれた瞬間から働いている
これが最新の運動発達科学の大きな結論です。
そしてこれは、バウアーの随行性認知とピタッと重なります。
▼
赤ちゃんは
「どう動くか」を学びながら
「動いた結果どうなるか」も学んでいる。
“知覚—運動—認知の統合”
がすでに始まっているということです。
4|両者の研究が示す共通のメッセージ
バウアー(随行性)とヴァンデルメーア(意図的運動)。
分野は違っても、
2人の研究が示しているメッセージは同じです。
赤ちゃんは、生まれた瞬間から
自分の力を使って世界を理解しようとしている。
受動的な存在ではなく、能動的な、小さな学習者・科学者。
これは現代の赤ちゃん研究の「当たり前の前提」になっています。
5|そして…ここから“大人の関わり”がとても大事になる
随行性も、意図的運動も、ひとつの条件があるときに特に育ちます。
それは——
赤ちゃんの行動に、大人が応えてあげること(応答性)
-
目が合ったら微笑む
-
声を出したら返事をする
-
手を伸ばしたら受け止める
-
気づいた気持ちを言葉にしてあげる
この小さな“応答の積み重ね”が赤ちゃんにとって
「世界はわたしに反応してくれる安心の場所」
だと伝わります。
そしてこの安心感こそが、学び・コミュニケーション・愛着の土台なんです。
6|ベビーサインがこの流れにぴったり寄り添う理由
ここまで読んでくださった方は、もう自然と気づかれているかもしれません。
随行性認知(バウアー)
×
意図的運動(ヴァンデルメーア)
この2つを同時に育てる関わりが、まさに ベビーサイン です。
✔ 赤ちゃんが“手を使って意思表示する”(意図的運動)
✔ それに大人がすぐ応えてくれる(社会的随行性)
✔ 「通じた!」という成功体験が積み上がる(随行性認知)
この循環は、赤ちゃんの能動性・自信・学び・愛着を一気に育ててくれるんです。
だからベビーサインは、単なる便利ツール以上の価値を持っています。
“赤ちゃんと大人が、互いを理解し合う最初の言葉”
と言っても過言ではありません。
おわりに:
赤ちゃんは、思っている以上に“自分で育っていく力”を持っている!
赤ちゃんは、生まれた瞬間から
世界と関わろうとする小さな探究者。
そして、大人の応答的な関わりがその探究心を支え、
赤ちゃんの“わかった!”を育てます。
バウアーの随行性認知も、
ヴァンデルメーアの意図的運動も、
どちらもこのメッセージを強く裏づけています。
そしてベビーサインは、その発達の流れを自然に、楽しく後押しするツールです。
赤ちゃんが発信してくれる小さなサイン。そのひとつひとつに、
ぜひ笑顔と優しい反応で応えてあげてくださいね。
ベビーサインの全体像を把握するにはこちら「ベビーサイン図鑑」がおすすめです。下の画像をクリックしてね!今なら購入者限定ダウンロード付。

2025.11.14赤ちゃんはおしゃべりより「手」のほうが得意
― 手の発達を知るとベビーサインが自然にうまくいく理由 ―
赤ちゃんはまだことばを話せないけれど、実は生後すぐから「手」を通して世界と関わり始めています。
今日は、手の動きの発達を3つのキーワード
手掌把握・指先把握・ピンチ把握
そして発達初期の大事な動き
ハンドリガード・リーチング
を使って、わかりやすくご紹介しますね。
1. 手の発達は「大きな動き」から「細かい動き」へ進む
◆ 生後2〜3ヶ月:ハンドリガード
この時期の赤ちゃんは、自分の手をじーっと見つめたり、なめたりする姿がよく見られます。時々なめてたらごぼっと口に入ってしまって、焦ってる赤ちゃんもいますが(笑)これが ハンドリガード(hand regard)。
「これはわたしの手!」と気づき、自分の体をコントロールする第一歩です。あの真剣なまなざし、懐かしい!
◆ 生後3〜4ヶ月:リーチング
気になるものに手を伸ばす動きが リーチング(reaching)。
まだうまく掴めないけれど、「取りたい」という意思がしっかり見え始めます。不器用にヌーーーって伸びる手も愛おしいですよね。
2. ものを掴む力の発達
ここから3つの把握=握る力の発達が進みます。
◆ ① 手掌把握(しゅしょうはあく)
生後4〜6ヶ月ごろに目立ってくる握り方。
手のひら全体でぎゅっと握る動きです。
ガラガラを持つのもこの時期。
◆ ② 指先把握
生後8〜9ヶ月頃になると、物をつかむとき
親指+人差し指・中指 がメインになってきて、薬指・小指は動きから“抜けて”、添えるだけ or たたんだ形になる
赤ちゃんの手をよく見ると、細かいものを掴むときに、
薬指や小指が「くいっ」と軽く曲がって使われなくなっていきます。
これは、手の巧緻性(こうちせい:細かく動かす力)の発達が進んでいるサインなんですよ。
◆ ③ ピンチ把握(つまみ動作)
1歳前後で出てくる最も細かい動き。
親指と人差し指の2本だけで、小さなものをつまむ動作です。
離乳食のつまみ食べがまさにこの練習になります。
3. 手が育つと “伝える力” が伸びる
赤ちゃんはことばがまだ話せなくても、
手の動きは月齢に合わせてどんどん器用になります。
つまり――
声で話すより、手で伝える方が早く発達する のです。
ここがベビーサインの大きなポイント。
赤ちゃんはまだ声で「もっとほしいよ」「お外行きたい」「痛いよ」と言えなくても、手の動きなら先にコントロールできる ので、ベビーサインを使ったコミュニケーションができるようになります。
4. ベビーサインは「手の発達に合った」伝え方
ベビーサインは、赤ちゃんがもともと発達させている
手掌把握 → 指先把握 → ピンチ把握
という自然なステップに寄り添って作られています。
だからこそ、「まだ話せないのに、本当にサインなんてできる?」
という心配は必要ありません。
むしろ、
ことばより早く使えて、気持ちを伝えやすいツール がベビーサインです。
5. 「できた!」が増えると、赤ちゃんの笑顔も増える
自分の気持ちが伝わると、赤ちゃんはとても嬉しそうです。
そしてその成功体験は、自己効力感(できた!という感覚)
の土台にもなります。
泣くしかなかった世界が、「伝わる世界」に変わる――それがベビーサインの魅力ですね。
まとめ
-
赤ちゃんは早い時期から手で世界と関わる
-
ハンドリガード → リーチング → 手掌把握 → 指先把握 → ピンチ把握という順に発達
-
ことばより手の発達が先に進むため、ベビーサインはとても自然で使いやすい
-
ベビーサインを使うことで赤ちゃんの「伝わった!」という喜びが増える
赤ちゃんが手で世界を知り始めるその瞬間から、ベビーサインはやさしく寄り添います。
「まだ話せないからこそ、伝える方法を届けてあげたい」そんな思いで、今日からベビーサインを楽しんでみませんか?
詳しくはこちら「ベビーサイン図鑑」で

2025.11.11赤ちゃんはどんな色が好き?——科学でわかる、赤ちゃんと「色」のお話
最近、育児グッズやおもちゃの世界では「アースカラー」が人気ですね。
ベージュやくすみピンク、淡いグレーなど、やさしい色合いに包まれると多くの大人もホッとするのかもしれません。(あっ、でも、わたし個人的には、アースカラーあんまり好みじゃないんですが・・・)
そこで――ふと考えてみたことはありませんか?
「この色、赤ちゃんにはどう見えているんだろう?」と。
赤ちゃんの目の世界は“大人とはちがう”
アメリカの発達心理学者 マーク・H・ボーンスタイン(Marc H. Bornstein) は、1970年代から乳児の色知覚を研究してきた第一人者です。
彼の研究では、生後4か月ほどの赤ちゃんにさまざまな色を見せ、どの色を長く見つめるかを観察しました。
その結果——
赤ちゃんは「明るさ(明度)」ではなく、色そのものの違い(色相) に反応していることが分かりました。つまり、赤ちゃんの中にはすでに“色の世界”が広がっているということです。
さらに、生後数か月の赤ちゃんでも、赤・青・緑・黄といった色のカテゴリーをなんとなく区別できているという報告もあります。
これは、ボーンスタイン以降の研究者、たとえば アンナ・フランクリン(Anna Franklin) らによっても確認されています。
赤ちゃんがよく見る・好きな色
では、赤ちゃんはどんな色が好きなのでしょう?
多くの研究で共通しているのは——
👉 赤ちゃんは“鮮やかな色(高彩度)”を好む ということ。
くすみカラーや淡いトーンは、大人にとってはやさしくても、
赤ちゃんの視覚からすると“ぼやっとして見えにくい”ことがあります。
生後まもない赤ちゃんは、まだ視力が0.01〜0.1程度。
はっきりした色やコントラストの強いものに、より反応しやすいのです。
アースカラーは落ち着くけれど、刺激は少ない
最近の育児アイテムで多い「アースカラー」は、
確かにおしゃれで心地よい雰囲気をつくってくれます。
けれど、赤ちゃんの発達を促す“視覚刺激”という観点では、
少し物足りないかもしれません。
赤ちゃんの「見る力」や「興味を引き出す力」を育てたいときには、
ビビッドな赤や青、黄色など、はっきりした色をポイント的に取り入れるのがおすすめです。
たとえば:
-
壁や床はアースカラーのままでも、
-
おもちゃ・絵本・布の一部に“鮮やかな差し色”を加える。
それだけで赤ちゃんの目の動きが変わります。
(目で追う → 手を伸ばす → 触る → 声を出す、という発達の連鎖にもつながります)
ベビーサインで「色」を教えるのは、1歳半以降がベスト
ベビーサインを実践していると、「色のサインも早く教えたほうがいいですか?」という質問をよく受けます。
でも、私はこうお伝えしています。
色を教えるのは、1歳半以降がおすすめです。理由はシンプルです。
1歳前後までは、赤ちゃんがまず覚えたいのは
「ママ」「パパ」「おいしい」「もっと」「おしまい」など、
人や行動・気持ちに関することだからです。
これらは日常の中で頻繁に使われる“生きたことば”。
ベビーサインの最初の目的は、赤ちゃんが「伝えたい気持ちを表現できるようになること」です。
色の区別や言葉は、その次のステップ。
「ものの名前」や「遊びのバリエーション」が増えてきた1歳半ごろから、
“あか”“あお”“きいろ””オレンジ”といった色をサインで伝えてあげると、
ぐっと理解しやすくなります。
まとめ
-
生後4か月ごろには、赤ちゃんもすでに色の世界を感じています(Bornstein, 1975)。
-
鮮やかな色(高彩度)ほど赤ちゃんの注意を引きやすく、興味づけになります(Franklin et al., 2005)。
-
アースカラーは落ち着く環境づくりには◎、でも発達刺激には△。
-
ベビーサインで色を教えるのは1歳半以降がベスト。
まずは「伝えたいこと」をサインで共有することから始めましょう。
赤ちゃんの世界は、私たち大人が思っているより、ずっとカラフルです。
その世界を一緒に見て、手で、目で、ことばでつないでいく——
それが、ベビーサインのいちばんの魅力ですね。
2025.11.06抱っこばかりの日は、脳が育っている日
「抱っこばかりで何もできない…」
そんな時期こそ、赤ちゃんは大きく成長しているそうですよ!
(私が子育て中は知らなかった・・・)
赤ちゃんが急に泣きやすくなったり、いつも以上に抱っこをせがんだりする時期――
育児のなかでそんな「手が離せない日」が続くこと、ありますよね。
「何か悪いことがあったのかな?」
「わたしの抱っこの仕方がいけないの?」
と心配になるママやパパも多いでしょう。
でも実はその“甘えん坊モード”こそが、赤ちゃんが次の発達ステップへ進もうとしているサインだとしたらどうでしょうか?
赤ちゃんの「不機嫌期」は、脳が大きく変化している時期
オランダの発達心理学者 ヘッティ・ヴァン・デ・リイト(Hetty van de Rijt) とフランス・プルーイ(Frans Plooij) は、数十年にわたって赤ちゃんの成長を観察し、『The Wonder Weeks(ワンダーウィークス)』という理論を発表しました。
彼らは、赤ちゃんが生後すぐから1歳半くらいまでの間に、“退行期(regression periods)” と呼ばれる「一時的に不安定になる時期」を何度も経験すると指摘しています。
この時期、赤ちゃんは泣きやすくなり、離れるとすぐ泣く、食欲が落ちる、夜泣きが増える――といった変化を見せます。
でもこれは“後退”ではなく、新しい知覚・認知の世界をつかむための準備期間。
つまり、「抱っこばかりの時期」=「次の成長の扉が開く前のトンネル」
と考えてみたらどうでしょうか?
抱っこ期こそ、「手の会話」で安心を伝えよう
この“退行期”には、赤ちゃんはいつも以上にママやパパと近くにいたいと思います。その理由は、未知の世界に一歩踏み出すための「安心の基地」がほしいから。
そんな時期こそ、ベビーサインの出番です!
たとえば、
お風呂あがりに「お風呂もう【おしまい】ね」とベビーサインと一緒に見せる。
遊びが終わる前に「【もっと】する?」と聞いてみる。
グズグズが解消されないときには「【抱っこ】してあげようか?」と手を差し伸べる。
そんなやりとりが、赤ちゃんに「自分の気持ちが届いた」「世界は予測できる」と感じさせてくれます。
これは、言葉の土台である「気持ちのやりとり」そのもの。
つまり、赤ちゃんが人と関わる力を育む貴重な時間なのです。
「今、泣きたい時期」をどう受けとめるか
ヴァン・デ・リイトとプルーイの研究が示しているのは、赤ちゃんのぐずりや不機嫌は“問題行動”ではなく“発達の節目”だということ。
そして、その節目に寄り添う最良の方法は、抱っこやスキンシップに加えて、“目に見えるコミュニケーション” を重ねることです。
ベビーサインはそのひとつの形。
ママ・パパの「伝えたい」「わかってあげたい」という気持ちを、赤ちゃんの目に見えるかたちで届けてくれます。
「今はしんどい時期」ではなく、「成長のジャンプ台」
赤ちゃんが甘えん坊になるのは、いつも何かを乗り越える前。
だからこそ、その時期を「大変」と思うだけでなく、
「この子、またひとつ成長するんだ」と見つめてあげたいですね。
突然、機嫌が悪くなったり、グズグズが長引いたあの頃の自分が知っていたら、もっとゆったり子どもたちと向き合えただろうな~と思わずにはいられません。でも、幸い、ベビーサインがあったことで、当時の私はずいぶんと救われたんだろうな~
参考文献
-
van de Rijt, H., & Plooij, F. X. (1992). The Wonder Weeks.
-
Plooij, F. X. (2020). Regression Periods in Human Infancy. In The Interdisciplinary Handbook of PCT.
-
MedReport Foundation (2023). What neuroscience and pediatrics reveal about your baby’s fussy phases.
2025.10.02Amazon 在庫戻りました!!!
0・1・2歳 頭と心と体を育てる
ベビーサイン協会代表理事&
ベビーサイン®の専門家
吉中みちるです。
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2025.09.15海外在住ママにお勧め絵本5選 その3 英語訳されている絵本5選
0・1・2歳 頭と心と体を育てる
ベビーサイン協会代表理事&
ベビーサイン®の専門家
吉中みちるです。
日本語と英語で楽しめる絵本5選
海外に暮らしていると、どうしても日本語よりも英語に触れる機会が多くなりがちですよね。
「日本語の絵本を読み聞かせたいけれど、英語でも楽しめたらいいな」そんな思いをかなえてくれるのが、英語版も出版されている日本の絵本です。
同じ物語を日本語と英語で読むと、子どもは自然に言葉の違いに気づき、
「日本語ではこう言うけど、英語ではこう言うんだね!」と会話が広がります。
今回は、そんなバイリンガル子育てにぴったりのおすすめ絵本を5冊ご紹介します。
おすすめの英語訳絵本 5選
① 『きんぎょがにげた』/五味太郎
英語版タイトル:The Goldfish Got Away
日本を代表するロングセラー絵本。赤いきんぎょがページごとに隠れていて、子どもと一緒に「どこにいる?」と探す楽しさがあります。
日本語では「にげた!」というシンプルな表現、英語では “The goldfish got away!”。短い言葉なのにリズムや響きの違いを感じられる一冊です。
② 『おばけのてんぷら』/せなけいこ
英語版タイトル:The Ghost’s Tempura
「ねないこだれだ」で有名なせなけいこさんの人気作品。
うさぎが天ぷらを作っていると、食いしん坊のおばけが忍び寄ってくるという、ちょっぴりユーモラスでドキドキするお話です。
日本語版のテンポのよい言葉遊びと、英語版のコミカルな訳の違いを楽しめます。食べ物や料理がテーマなので、親しみやすいのも魅力です。
③ 『たまごのあかちゃん』/神沢利子(文)・やぎゅうげんいちろう(絵)
英語版タイトル: Egg Babies(英訳:Robert Campbell)
卵の中でかくれんぼしている“あかちゃん”たちが次々に出てくる愛らしい絵本。子どもたちも大好きだった1冊。英訳は日本文学研究者ロバート・キャンベル氏によるもので、原文のリズムや楽しさを大切にした訳になっています。日本語版で聞こえる「ぴよっ」「ちゅちゅ」などの音と、英語版の擬音(英訳表現)を比べると、言語ごとの音の切り取り方の違いが見えてきて、とても勉強になります。英語教材としても使える一冊です。
④ 『ぐりとぐら』/中川李枝子・大村百合子
英語版タイトル:Guri and Gura
大きなたまごでカステラを作る、森の動物たちの楽しい物語。
「一緒に料理する楽しさ」や「みんなで分け合う喜び」が伝わる、世界中で愛されるロングセラーです。
⑤ 『もったいないばあさん』/真珠まりこ
英語版タイトル:Mottainai Grandma
日本語の「もったいない」をテーマにした人気絵本。
ばあさんが登場して「それ、もったいないよ」と次々に教えてくれるユーモラスなお話ですが、実は環境問題やサステナビリティにもつながる深いメッセージがあります。
英語版では「MOTTAINAI」という言葉がそのまま紹介されていて、日本文化の価値観を伝える一冊として海外でも高く評価されています。
まとめ
英語訳のある日本の絵本は、日本語の響きや文化的価値観を守りつつ、英語環境でも楽しめる強力なツールです。まだまだたくさんあるので、調べて見てくださいね。
海外在住の親子にとっては、日本語を失わないための心の“アンカー”にもなります。手に取ってみてくださいね。
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2025.09.14海外在住ママにお勧め絵本5選 その2 むかしばなし絵本
0・1・2歳 頭と心と体を育てる
ベビーサイン協会代表理事&
ベビーサイン®の専門家
吉中みちるです。
昔話絵本を選ぶときのポイント
同じ「ももたろう」や「いっすんぼうし」でも、作者や画家が違う絵本がたくさん出版されています。
「お話の流れが同じなら、100均に売っている昔話絵本でもいいんじゃない?」と思われる方もいるかもしれません。
(実は子どもたちが小さな頃は、まだそんなに絵本に詳しくなかったので、あまりこだわって選書ができなかった後悔があります。)
でも、本当に優れた絵本は、長く読み継がれてきた理由があります。優れた絵本は、言葉のリズムと絵の表情が響き合い、子どもの心に深く残ります。
👉 昔話に限らす絵本を選ぶときのコツ
-
言葉が美しいかどうか(声に出して心地よいか)
-
絵が物語を引き立てているか(感情や動きが伝わるか)
-
読み継がれてきた実績があるか(ロングセラーかどうか)
今回ご紹介する絵本は、こうした観点から選んでいます。
お時間があれば、同じ絵本で違う出版社のものを読み比べてみると面白いですよ。
おすすめの昔話絵本 5選
1. 『ももたろう』(松居直/赤羽末吉)
川を流れてきた桃の中には、可愛い男の子が!どんどん成長して、犬・猿・キジと力を合わせて鬼退治に向かう物語。
美しい日本語でテンポよく描かれており、声に出して読むと自然にリズムが生まれます。やっぱり「ももたろう」はこの福音館書店のが一押しです!
2. 『だいくとおにろく』(松居 直/赤羽 末吉)
大工と鬼が橋をめぐって知恵比べをするユーモラスで迫力のある昔話。
表紙からも伝わる鬼の迫力ある姿、これ、インパクト大ですよね。その鬼に怖じ気づくことなく立ち向かう大工の機転が見事に描かれています。
3. 『さるかに』(松谷 みよ子/滝平二郎)
サルとカニのやりとりから始まり、仲間たちと力を合わせてサルをこらしめる物語。これもタイトルや種類が豊富でどのお話を選んだらいいのか迷う1冊ですよね。
リズムのよい言葉の繰り返しが、声に出して読むとテンポよく響きます。絵の表情も豊かで、カニの悔しい顔や仲間たちの動きが子どもの共感を呼びます。
4. 『ねずみのすもう』(神沢 利子/赤羽 末吉)

小さなねずみと大きなねずみがすもうをとる、温かくてユーモラスなお話。
日本独自の「すもう」という文化に触れられるだけでなく、やさしさや思いやりの大切さも伝えます。絵の躍動感が、相撲の取り組みの迫力を生き生きと表現しています。
5. 『いっすんぼうし』(いしいももこ/あきのふく)
日本語の表現が美しく、いっすんぼうしが大きくなる「ずんずんずん」などの言葉は、声に出すとその情景が浮かび上がりますね。
まとめ
昔話絵本は、日本語の美しさや表現のリズム、そして絵との融合を楽しめるものを選ぶのがポイントです。
海外で育つ子どもにとっては、ただ「日本の物語を知る」だけでなく、日本語の響きや文化の奥深さを体験できる貴重な入り口になります。
方言や昔の言葉があって、少し読みにくいかもしれませんが、そこも、また文化です。ぜひ、声に出して読み聞かせてみてくださいね。
次回は「日英翻訳絵本」をご紹介しますね。
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2025.09.13海外在住ママにお勧め絵本5選 その1 オノマトペを楽しむ
0・1・2歳 頭と心と体を育てる
ベビーサイン協会代表理事&
ベビーサイン®の専門家
吉中みちるです。
日本語の絵本も楽しみたい
海外に暮らしていても、「やっぱり日本語の絵本を子どもに読み聞かせしてあげたい!」と思うママは多いのではないでしょうか。
けれど、本屋さんで気軽に手に取れない分、「どんな絵本を選べばいいの?」と迷ってしまいますよね。
そんな方に、私からのおすすめのジャンルはこの3つです。
-
日本語特有のオノマトペが楽しめる絵本
-
日本の昔話の絵本
-
日英に翻訳されている絵本
今回はその中から、赤ちゃんが大好きな「オノマトペ(擬音語・擬態語)」をたっぷり味わえる絵本を5冊ご紹介します。
おすすめのオノマトペ絵本 5選
赤ちゃんが大好きな“繰り返し”がたっぷりで、安心感のある読み聞かせができます。海外にいても、日本語のリズムを自然に耳に残せるのがポイント。
3. 『だるまさんが』(かがくいひろし)
「だるまさんが…」と体を動かしながらユーモラスに展開していく人気シリーズ。
「どてっ」「ぷしゅー」など、オノマトペが楽しく、親子で大笑いできる一冊です。ことばと動きが直結しているので、赤ちゃんの理解を助けてくれます。
4. 『まり』(たにかわしゅんたろう)
物語性もあり、少し成長したお子さんも楽しめます。声に出して読むと、音の面白さと冒険のドキドキを同時に味わえます。
5. 『おのまとぺの本』(だんきょうこ・にしわきただし)
この絵本は、子どもの日常生活や身近なものの動き・音を、「おのま と ぺ」(=オノマトペ)で表現する構成になっているのが特徴です。例えば「ぱくぱく」「げらげら」「えんえん」など、声に出したときにリズムが生まれる音がたくさん登場します。
まとめ
オノマトペの絵本は、日本語のリズムや響きを耳と体で感じられる最高のツール。海外で暮らすお子さんにとっても、日本語の音を楽しく体験するきっかけになります。
あっ、もちろん日本にいるお子さんたちにもお勧めですよ~
次回は「日本の昔話絵本」をご紹介しますね。
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