2026.07.10赤ちゃんは「何も分からない存在」ではありません。
「まだ赤ちゃんだから、何も分かっていない。」
昔はそんな言葉をよく耳にしました。
でも、本当にそうでしょうか。
私は20年以上、ベビーサインを通してたくさんの赤ちゃんと出会ってきました。
その中で何度も感じてきたことがあります。
赤ちゃんは、毎日いろいろなことを考えています!
毎日、たくさんのことを感じています!
そして、一生懸命伝えようとしています!
ただ、それを話し言葉で表現することがまだできないだけなのです。
だから私たち大人は、泣くことや表情、しぐさを見ながら、その思いを想像しようとします。
もちろん、それもとても大切なことです。
でも赤ちゃんが成長するにつれて、「伝えたいこと」はどんどん増えていきます。
「あれが見たい。」
「もう一回やりたい。」
「これはイヤ。」
「パパはどこ?」
「このリンゴ、おいしい!」
赤ちゃんの頭の中には、実はたくさんの思いや発見があふれています。
ところが、それを伝える手段が少ないために、大人には「泣いている」「ぐずっている」「なんか、機嫌いい感じ」としか見えないこともあります。
私は、ここに子育てや保護者支援の大きなヒントがあると思っています。
赤ちゃんは、「何も分からない存在」ではありません。
伝える方法が少ないだけなのです。
この視点を持つだけで、赤ちゃんへの関わり方は大きく変わります。
そして、その思いを伝える手段の一つが、ベビーサインです。
ベビーサインは、手の動きを覚えることが目的ではありません。
赤ちゃんの「伝えたい」という気持ちを受け止めるための、ひとつのコミュニケーション手段なのです。
次回は、この「伝えたいのに伝えられない」という赤ちゃんのフラストレーションについて、もう少し詳しくお話しします。
「話せない」のではなく、「伝えたいことがある」。
そんな視点から赤ちゃんを見ると、今までとは違う世界が見えてくるかもしれません。
7月20日、専門職の方向け動画講座発売!
2026.07.09イヤイヤ期っていつから始まってる?
「イヤイヤ期が始まったわ・・・」
これ、子育てしているとよく聞く言葉ですよね。
でも私は、この言葉を聞くたびに思います。
イヤイヤ期は、突然始まるものじゃなくて、
もっと前から、その芽は育ってるんですよね。
赤ちゃんは、生後9〜10か月頃になると、自分の興味があるものを指さしたり、大人と同じものを見て楽しんだりするようになります。
「あっ!」
「見て!」
そんな気持ちが芽生える時期です。
そして少しずつ、
「これはイヤ。」
「もっとやりたい。」
「自分でやりたい。」
そんな自己主張も始まります。
でも、この頃の赤ちゃんには、まだ十分な言葉がありません。
だから、
伝えたい。
でも伝わらない。
やりたい。
でもできない。
そんなフラストレーションを毎日のように経験しています。
私たち大人は、
2歳前後になってから急にイヤイヤが始まったように感じます。
でも実際には、
その何か月も前から、
赤ちゃんの心の中では、
「伝えたい」
「分かってほしい」
「でも、今日も伝わらなかった・・・」
という気持ちが少しずつ大きくなっているのです。
だから私は、イヤイヤ期は「困った時期」ではなく、
心が大きく成長している証だと考えています。
その成長を支えるために大切なのは、
「言うことを聞かせること」ではなく、
「伝えたい」という気持ちを受け止めること。
では、まだ言葉で伝えられない時期の赤ちゃんは、どうやって自分の思いを伝えればいいのでしょうか。
その答えの一つが、ベビーサインです。
発売する動画講座の第3回では、
「伝えたいのに伝えられない」
という赤ちゃんの視点から、
✔ なぜフラストレーションが生まれるのか
✔ 指差しだけでは伝えられないこと
✔ ベビーサインが果たす役割
について、発達の流れに沿って詳しくお話ししています。
「イヤイヤ期の見え方が変わる!」
そんなきっかけになる内容になっています。
発売日まであと11日
「20年で忘れられないベビーサインエピソード」
ひいひいおばあちゃんの遺影をみて、【ゴリラ】のベビーサインをした息子(笑)確かに、下ぶくれの薄暗い写真はゴリラっぽいなって家族で大爆笑!
(ベビーサイン協会認定講師やその生徒さんのエピソードです)
2026.07.08愛着形成って、抱っこだけじゃない。実は・・・
「愛着形成が大切です。」
最近では、テレビやSNSでもよく耳にする言葉になりました。
だから、
「たくさん抱っこしてあげよう。」
「スキンシップを大切にしよう。」
そう考えている方も多いと思います。
もちろん、それはとても大切なことです。でも私は、20年以上赤ちゃんと親子を見続けてきて、もう一つ、とても大切なことがあると感じています。
それは、
「分かってもらえた」という経験です。
例えば赤ちゃんが、何かをじっと見ています。
その視線に気づいて、
「ワンちゃんいたね。」
と声をかけてもらえた。
あるいは、
「あっ!」
と何かを伝えようとして、
その気持ちを受け止めてもらえた。
そんな小さなやり取りの積み重ねが、
「この人は、私の気持ちを分かってくれる。」
という安心感につながっていきます。
愛着とは、
抱っこの回数だけで決まるものではありません。
高価なおもちゃでもありません。
毎日の暮らしの中で、
「あなたの気持ちを見ているよ。」
「ちゃんと伝わっているよ。」
そんな経験を何度も積み重ねること。
その積み重ねが、
親子の信頼関係を育てていくのです。
だから私は、
ベビーサインの一番大きな価値は、
「手の動きを覚えること」
ではないと思っています。
赤ちゃんが伝えようとしたことに、
大人が気づき、
応えられる機会が増えること。
そこにあると思っています。
赤ちゃんは、
「分かってもらえた」
という経験を積み重ねることで、
「自分は大切にされている。」
という安心感を育てていきます。
そしてその安心感が、
これから先の自己肯定感や、
人との信頼関係の土台になっていくのです。
7月20日に発売する
**「ベビーサインサポーター講座」**の第2回では、
愛着形成とは何か。
そして、
2歳までに育みたい「心の土台」について、
発達研究も交えながら詳しくお話ししています。
「抱っこは大切。」
でも、それだけではない。
そんな新しい視点を、ぜひ専門職の皆さんと共有できたら嬉しいです。
発売まであと12日。
「20年で忘れられないベビーサインエピソード」
ひいおばあちゃん、85歳。娘1歳そこそこ。年の差84歳でも、ベビーサインがあれば、【ミルク】ちょうだいや、【ありがとう】なんて会話がスムーズにできるんですよ。
(ベビーサイン協会認定講師やその生徒さんのエピソードです)
2026.07.07子育てが難しくなったのではない。 「大人が赤ちゃんを理解する機会」が減った。
最近、
「子育てって本当に大変ですよね。」
という言葉を、以前にも増して耳にするようになりました。
でも私は、
子育てそのものが昔より難しくなったというより、
赤ちゃんを理解する機会が減った
ことの方が大きいのではないかと思っています。
昔は、大家族が当たり前でした。
お兄ちゃんやお姉ちゃんが赤ちゃんのお世話をする姿を見て育ち、
近所にはいつも赤ちゃんがいて、
結婚する前から自然と赤ちゃんに触れる機会がありました。
赤ちゃんが泣くことも、
笑うことも、
眠ることも、
そんな日常を見ながら、
知らないうちに「赤ちゃんってこういうものなんだ」という感覚を身につけていたんじゃないでしょうか?
ところが今はどうでしょう。
核家族化が進み、
地域とのつながりも減り、
祖父母とも離れて暮らす家庭が増えました。
初めて赤ちゃんを抱くのが、
自分の子どもだったという方も珍しくありません。
つまり、
子育てが初体験なのではなく、赤ちゃんを見ること自体が初体験。
そんな時代になりました。
さらに今は、
困ったことがあると、
まずスマホで検索します。
もちろん、それはとても便利です。
でも、
検索結果は教えてくれても、
目の前の赤ちゃんの気持ちまでは教えてくれません。
同じ「泣く」でも、
眠いのか、
不安なのか、
伝えたいことがあるのか、
その答えは、
目の前の赤ちゃんの中にしかありません。
でも、どこか外にその答えを探そうとしてしまう。
だからこそ今、
専門職の存在がますます重要になっています。
お医者さん
助産師さん。
保育士さん。
看護師さん。
作業療法士さん。
言語聴覚士さん。
子育て支援センターの先生。
保護者は、
知識だけではなく、
「赤ちゃんってこういう存在なんですよ」
という見方を教えてくれる人を求めています。
私が20年以上ベビーサインを伝え続けてきて感じるのは、
ベビーサインは、手の形を覚えることよりも、
赤ちゃんを理解しようとする視点を育ててくれるものだということです。
そして、それはとっても楽しいって事も教えてくれます。
だから私は、
この考え方をもっと多くの専門職の皆さんと共有したいと思いました。
「20年で忘れられないベビーサインエピソード」
トイレトレーニングが進んで、便座でう○ちができるようになった息子。ある日、自分がしたう○ちを見て、【バナナ】のベビーサイン。確かに、バナナの形のう○ちでした。
(ベビーサイン協会認定講師やその生徒さんのエピソードです)
7月20日発売の
**「ベビーサインサポーター講座」**は、
赤ちゃんにベビーサインを教える方法ではありません。
赤ちゃんを、
“理解される存在”として見る視点
を一緒に学ぶ講座です。
発売まであと13日。
2026.07.06私は、ベビーサインを広めたいわけではありません。
ちょっと意外に思われるかもしれません。
20年以上ベビーサインを伝えてきた私が、こんなことを書くなんて。
でも、今の私が本当に広めたいのは、「ベビーサイン」という手の動きではありません。
私が広めたいのは、
**「赤ちゃんを見るまなざし」**です。
私はこれまで、何万人もの赤ちゃんと、そのご家族に出会ってきました。
ベビーサインを始めたばかりの頃は、とにかく可愛くて可愛くて…。
ぷくぷくの小さな手で、一生懸命に【もっと】や【ワンワン】を伝えてくれる姿を見て、
「こんなに素敵な育児があるんだから、みんなにも知ってほしい!」
そんな思いだけで走り続けていました。
でも、20年以上活動を続けてきた今、私の考えは少し変わりました。
赤ちゃんは、おしゃべりができないだけで、
何も考えていないわけではありません。
何も感じていないわけでもありません。
「見て!」
「わかって!」
「これが好き!」
「もう一回!」
そんな思いを、毎日、私たちに伝えようとしています。
でも、大人はつい、
「泣いたから、お腹すいたかな?」
「機嫌が悪いだけかな?」
そんなふうに、大人の都合で解釈してしまうことがあります。
もちろん、それが悪いわけではありません。
私たちは赤ちゃんの気持ちを一生懸命想像しながら育児をしています。
でも、もし、
赤ちゃんを**「理解される存在」**として見られるようになったら…。
育児はきっと、少し変わります。
私はベビーサインを通して、
「赤ちゃんって、こんなことを考えていたんだ。」
「こんなことを伝えたかったんだ。」
という瞬間を、何度も見てきました。
そのたびに感じるのは、
ベビーサインの価値は、
手の形ではなく、赤ちゃんを理解しようとする姿勢そのものにある。
ということです。
だから今回、初めて専門職の皆さんに向けた動画講座を作りました。
この講座は、
ベビーサインを教えるための講座ではありません。
赤ちゃんを、
“理解される存在”として扱うための視点
を共有する講座です。
助産師さん。
保育士さん。
作業療法士さん。
言語聴覚士さん。
子育て支援に関わるすべての方に届けたい内容です。
もし、この考え方に共感していただけたら、
ぜひ、必要としている方にも届けていただけたら嬉しいです。
発売まで、あと14日。
この2週間は、
「今、なぜ赤ちゃんとの関わり方を見直す必要があるのか」
をテーマに、少しずつお話ししていきます。
どうぞ、お付き合いください。
「20年で忘れられないベビーサインエピソード」
水族館に子どもを連れて行った日。水槽で泳ぐお魚を見ながら息子がしてくれたベビーサインは【食べる】。確かに、プリプリ新鮮なお魚はどれもおいしそうだった!
(ベビーサイン協会認定講師やその生徒さんのエピソードです)
7月20日発売
ベビーサインサポーター講座(全8回)
「赤ちゃんを理解する力」を、専門職の皆さんへ。
2026.07.01子どものやる気を育てる、本当の「ご褒美」とは?
前回の記事では、「アンダーマイニング効果」についてご紹介しました。
もともと好きだったことに外からご褒美を与え続けると、「好きだからやる」が「ご褒美のためにやる」に変わってしまうことがある、という心理学の研究です。
では、子どもの「もっとやりたい!」「もっと知りたい!」という気持ちは、いったい何によって育まれるのでしょうか。
私は、その答えは外から与えられるご褒美ではなく、子ども自身が感じる成功体験にあると思っています。
「できた!」
「わかった!」
「見つけた!」
「伝わった!」
そんな心が動く瞬間です。
大人から見ると小さな出来事でも、子どもにとっては次の一歩につながる大切な原動力になります。
赤ちゃんを見ていると、そのことがよく分かります。
まだ言葉を話せない赤ちゃんは、毎日、一生懸命に周りの人へ気持ちを伝えようとしています。
指を差したり、声を出したり、表情を変えたり。
そして、自分の気持ちにお父さんやお母さんが気づいてくれた瞬間、とてもうれしそうな表情を見せます。
「伝わった!」
この喜びがあるから、赤ちゃんはまた伝えようとします。
だからコミュニケーションは、誰かにやらされるものではなく、自分から何度でも挑戦したくなるものなのです。
ベビーサインも、まさに同じです。
赤ちゃんが何度もベビーサインを使うのは、ご褒美がもらえるからではありません。
サインをしたら、お母さんが笑顔で応えてくれる。
「りんごが欲しかったんだね。」
「わんわん、いたね!」
「もっと食べたいんだね。」
自分の思いが相手に伝わり、分かってもらえる。
その喜びそのものが、赤ちゃんにとって最高の”報酬”になっているのです。
そして、この「伝わった!」という経験は、単にコミュニケーションを楽しむだけではありません。
「もう一回やってみよう。」
「もっと伝えたい。」
「もっと知りたい。」
そんな気持ちを育てていきます。
私は、子どもの学びは、この小さな成功体験の積み重ねから始まるのだと思っています。
だから私たち大人が目指したいのは、「ご褒美で動く子」を育てることではありません。
子どもが自分の中で、
「楽しい!」
「できた!」
「分かった!」
「伝わった!」
そんな喜びを何度も味わえる環境をつくることではないでしょうか。
その積み重ねが、「もっとやってみたい」という内側から湧き上がる意欲を育て、生涯にわたって学び続ける力につながっていくのだと、私は信じています。
そして、おしゃべりできない時期からその意欲を育てる素晴らしいツールが「ベビーサイン」なんです。
ベビーサインのすべてがぎゅっと詰まった1冊
「ベビーサイン図鑑」
2026.06.27ご褒美をあげると、やる気がなくなる? ― アンダーマイニング効果とは
前回の記事では、アメリカの経済学者ローランド・フライヤー氏の研究をご紹介しました。
「テストで良い点を取ったらご褒美」よりも、「本を1冊読んだらご褒美」の方が学力向上につながった、という研究です。
フライヤー氏の研究が教えてくれたのは、子どもは結果よりも、具体的な行動の方が取り組みやすいということです。
「90点取りなさい」と言われても、何をすればいいのかは分かりません。
でも、「今日は本を1冊読もう」なら、今すぐ始められます。
子どもは、自分でコントロールできる行動には取り組めても、結果そのものをコントロールすることはできないのです。
では、ここでこんな疑問が浮かびます。
「だったら、子どもにしてほしい行動には、何でもご褒美をつければいいのでしょうか?」
実は、そう単純ではありません。
心理学には、「アンダーマイニング効果」と呼ばれる現象があります。
これは、もともと楽しくてやっていたことに外からご褒美を与え続けると、その楽しさが薄れてしまうことがあるというものです。
例えば、本が大好きな子がいたとします。
毎日のように、自分から本棚へ向かい、「今日は何を読もうかな」とワクワクしながら本を選んでいる。
そんな子に、
「1冊読んだら100円あげるね。」
と言い続けたら、どうなるでしょう。
もちろん、すぐに本嫌いになるわけではありません。
でも、少しずつ「本が好きだから読む」よりも、「100円もらえるから読む」という気持ちが大きくなる可能性があります。
そして、ご褒美がなくなったとき、
「あれ?今日は100円もらえないなら読まなくてもいいかな。」
そんな気持ちが生まれてしまうこともあるのです。
つまり、注意したいのは、ご褒美そのものではありません。
子どもが行動する理由が変わってしまうことです。
「楽しいからやる。」
「知りたいからやる。」
「面白いからやる。」
そんな気持ちは、子どもが生涯にわたって学び続けるための大切な原動力です。
自分の子育てを振り返ると、何も言わなくても自分から取りかかっていることには、わざわざご褒美ってあげなかったなと思い出します。娘は時間さえあれば、本を読んだり、絵を描いたりしてました。
読書感想文で賞をとるために本人が読みたいと思わない本を読ませるとか、絵画のコンクールとかに挑戦させたいから、本人が描きたくない絵を描かせるとか、そんな親の勝手な「都合」が入ってくると、ご褒美が必要になってくるんでしょうかね?
そして、そんな事をしてしまったら、それこそ、読書も絵を描くことも嫌いになってしまうんでしょうね。
そうでなかったら、勝手に黙々と集中してやっていることに、ご褒美をあげる大人ってまずいないのでは?って書きながらいろいろ考えてしまいました。皆さんはどうでしょうか?
2026.06.24「本を読んだら100円」で学力は上がるのか?
「テストで100点を取ったらお小遣いをあげる!」
そんな約束をしたことはありませんか?
子どもにやる気を出してほしいと思うと、つい結果にご褒美を用意したくなりますよね。
ところが、実は「良い成績を取ったらご褒美」よりも、「本を読んだらご褒美」の方が学力向上につながる可能性があることをご存じでしょうか?
アメリカの経済学者、ローランド・フライヤー氏は、数万人規模の子どもたちを対象に、「ご褒美と学力」の関係を調べる大規模な研究を行いました。
その中で興味深い結果が報告されています。
テストの点数が良かったら報酬をもらえる子どもたちと、本を読んだら報酬をもらえる子どもたちを比較したところ、学力向上につながったのは後者だったのです。
どうしてだと思いますか?
一見すると、「良い点数を取ったらご褒美」の方が効果がありそうですよね。
でも、よく考えてみてください。
子どもに
「90点取ったらご褒美だよ」
と言ったとしても、子どもはそのために何をすればいいのか分からないことがあるんですよ。
どの問題集をやればいいのか。
どれくらい勉強すればいいのか。
どこを復習すればいいのか。
結果は示されても、その結果にたどり着くための道筋が見えないんです。
一方で、
「本を1冊読んだらご褒美だよ」
と言われたらどうでしょう。
やるべきことは明確です。
本を開いて読む。
まずはその行動を始めればいい。
つまり、フライヤー氏の研究が示したのは、
結果(アウトプット)よりも、結果につながる行動(インプット)に注目した方が、子どもは動きやすい
ということでした。
これは子育て全般にも当てはまりそうです。
私たちはつい、
「本好きな子になってほしい」
「勉強が好きになってほしい」
「自分から学ぶ子になってほしい」
と願います。
でも、それらはすべて結果です。
その結果を生み出すためには、どんな日々の経験が必要なのでしょうか。
どんな関わりが、その子の好奇心を育てるのでしょうか。
どんな環境が、「知りたい」「やってみたい」という気持ちを引き出すのでしょうか。
子どもの成長を考えるとき、結果ばかりを見てしまいがちです。
でも、本当に大切なのは、その結果につながる小さな行動や経験なのかもしれません。
ただし、ここでひとつ疑問が浮かびます。
「じゃあ、ご褒美を使えば使うほどいいの?」
実はそう単純でもありません。
心理学の世界には、ご褒美によって逆にやる気が下がってしまうという研究もあるのです。
2026.06.23ベビーサインで育った子どもの91%が本好きだった理由
前回の記事では、読み聞かせが発達を支える理由について書きました。絵本の価値は、単に言葉を覚えることではなく、親子で同じ世界を見て、一緒に楽しみ、やりとりを重ねることにあるのではないか、というお話でした。
実は、そのことを考えていたときに思い出したデータがあります。
以前、ベビーサイン協会が教室卒業生を対象に行ったアンケートで、「お子さんは絵本(本)が好きですか?」という質問をしたことがあります。その結果、実に91%の保護者が「好き」と回答しました。
もちろん、これは協会独自のアンケートであり、学術研究ではありません。また、「ベビーサインをすると本好きになる」と断言できるものでもありません。
それでも私は、この結果を見たときに驚きませんでした。むしろ、「やっぱりそうか」と思ったのです。
なぜなら、まず、わが子たちが本好きに育ったこと。そして、20年以上ベビーサイン親子を見続けてきて、ベビーサインと絵本には深い関係があると感じてきたからです。
理由① 子どもの興味に寄り添いやすくなる
ベビーサインをしていると、親は子どもが何に興味を持っているのかを知りやすくなります。
例えば、絵本を開いたときに【ねこ】のベビーサインをしたら、「この子は今、猫に興味があるんだな」とわかります。繰り返し【でんしゃ】のベビーサインをして、電車の絵本ばかりもってきたら明らかに「でんしゃ」好きですよね。
子どもの興味がわかると、大人はそこに自然と寄り添うことができます。
「猫の本を読もうか」
「電車のページを見てみようか」
そんなやりとりが増えていきます。そして、その「好き」を広げるために、たくさん「ねこ」や「電車」の絵本をそろえたり、絵本以外にも「ねこ」や「でんしゃ」がついているものを探して購入したりするんじゃないでしょうか?
何を隠そう、私もその一人でした。息子が働く車が大好きだった時期には、絵本も、DVDもTシャツもおもちゃも、みーーーーんな「働く車」がついているものを探しましたから!
子どもにとって、自分の興味や気持ちをわかってもらえることは大きな喜びです。そして絵本をきっかけに分かってもらえた「自分の好き」を大人が、絵本以外にも広げてくれる!こんな楽しい経験はありませんね。
理由② 赤ちゃん自身が絵本を楽しめる
もうひとつ大きな理由があります。
それは、赤ちゃん自身が絵本に参加できることです。
まだ言葉で話せない赤ちゃんは、本来なら「この本がいい」「そのページが見たい」「もう一回読んで」と伝えることができません。
ところがベビーサインがあると、それができるようになります。
大人が読もうとしている絵本に興味がないとき、「ねこ」のベビーサインで「ねこがでてくる」別の本をリクエストする子がいます。ページをめくりながら、「ワニ」のサインでお気に入りのページを教えてくれる子もいます。
つまり、読み聞かせをただ受け身で聞いているのではなく、自分から参加できるのです。
これは大人が思っている以上に大きな違いなのではないかと思います。
赤ちゃんは私たちが思う以上に豊かな世界を見ている
私が今でも忘れられないエピソードがあります。
ある赤ちゃんが『はらぺこあおむし』を見ていたときのことです。
あおむしがさなぎになるページを見ながら、その子は突然【パン】のベビーサインをしました。
最初は意味がわかりませんでした。
でも考えてみると、茶色くてふっくらしたさなぎの絵が、その子にはパンに見えたのでしょう。
大人には思いつかない発想です。
でも赤ちゃんの頭の中では、ちゃんとつながっていたのです。
もしベビーサインがなかったら、私たちはその子が何を感じ、何を考えていたのかを知ることはできなかったかもしれません。
私はこのエピソードを思い出すたびに、赤ちゃんは私たちが思う以上に豊かな世界を見ているのだと感じます。
絵本は「読んでもらうもの」から「一緒に楽しむもの」へ
ベビーサインをしている親子の絵本時間を見ていると、絵本は単に読んでもらうものではなく、一緒に楽しむものになっています。
「つぎ、クマでてくるよ」
「うさぎさん泣いてるね」
「もう一回!」
「ワニいた!」
そんな気持ちがベビーサインを通して飛び交います。
だから絵本の時間が楽しい。
だからまた絵本を開きたくなる。
だから本が好きになる。
私は91%という数字の背景には、そんな親子の豊かなやりとりがあったのではないかと思っています。
2026.06.22読み聞かせが発達を支える本当の理由
前回の記事では、
スクリーンタイムが問題なのではなく、その時間に失われる親子のやりとりが発達に大きく影響するのではないか、という研究をご紹介しました。
中でも、私は「読み聞かせ」と「ベビーサイン」は特別だと思うんですが、今日は「読み聞かせ」について少し考えてみたいと思います。
まず、読み聞かせって何がいいんでしょうか?
絵本を読むことで語彙が増えるから?
知識が増えるから?
もちろん、それもあリますよね。
でも私は、それだけでは説明できない魅力が絵本にはあると思っています。
絵本は何度でも同じ世界に戻れる
赤ちゃんは毎日たくさんのものを見ています。
犬を見たり、
猫を見たり、
飛行機を見たり。
でも現実の世界は忙しいものです。
犬は走り去ってしまいます。
飛行機はあっという間に空の向こうへ消えてしまいます。
赤ちゃんが
「今の何?」
と思った頃には、もうそこにはありません。
ところが絵本は違います。
昨日見た犬が、今日もそこにいます。
何度ページを開いても同じ場所にいます。
赤ちゃんが気になったところでページを止めることもできます。
戻ることもできます。
何度でも繰り返すことができます。
大人にとっては当たり前のことですが、実はこれがとても大きな意味を持っています。
「わかった!」を積み重ねられる
赤ちゃんは一度見ただけで全てを理解するわけではありません。
同じものを何度も見て、
同じ言葉を何度も聞いて、
少しずつ意味を理解していきます。
「ワンワン」という言葉も、
一度聞いただけでは覚えられません。
でも絵本の中で何度も犬を見て、
大人が
「ワンワンだね」
と言ってくれる。
すると少しずつ、
絵本の中の犬と「ワンワン」という言葉が結びついていきます。
絵本は、赤ちゃんにとって
「わかった!」
を積み重ねられる場所なのです。
絵本は親子の会話を生み出す
もうひとつ、私が絵本の素晴らしいところだと思うのは、
会話のきっかけをたくさん作ってくれることです。
例えば、
りんごの絵があれば、
「りんごだね」
と言えます。
電車の絵があれば、
「おっ!○○ちゃんの大好きな電車だ」
って言えます。
動物の絵があれば、
鳴き声をまねすることもできます。
まだ話せない赤ちゃん相手でも、
大人は自然にたくさん話しかけています。
そして赤ちゃんも、
表情を変えたり、
指をさしたり、
声を出したりして応えます。
絵本を読んでいる時間というのは、
実は「読む時間」であると同時に、
「会話する時間」でもあるのです。
大切なのは上手に読むことではない
講演会などで、
「読み聞かせが苦手なんです」
と言われることがあります。
でも私は、
絵本は上手に読まなくてもいいと思っています。
感情を込めて読まなきゃ。
声色を変えなきゃ。
最後まで読まなきゃ。
そんなふうに考えなくても大丈夫です。
赤ちゃんが気になるページで止まってもいい。
同じページばかり見てもいい。
途中で閉じてもいい。
もちろん、最後まで読めなくてもOK!
大切なのは、
親子で同じ世界を楽しむこと。
その時間を共有することです。
読み聞かせは「本を読むこと」ではない
私は20年以上、ベビーサインを通してたくさんの親子を見てきました。
その中で感じるのは、
読み聞かせとは、
本を読むことではなく、
親子で一緒に世界を楽しむことなのではないか、
ということです。
だから赤ちゃんは、
お気に入りの絵本を何十回読んでも飽きません。
物語が好きなのではなく、
その時間が好きなのです。
ママやパパと一緒に笑ったり、
驚いたり、
「見て見て!」
を共有したりする時間が好きなのです。
次回予告
ところで、ベビーサイン協会が行ったアンケートでは、
ベビーサインで育った子どもの91%が「絵本(本)が好き」に育ったと回答してくれました。
なぜそんなに多くの子どもたちが本好きに育ったのでしょうか。
私はそこにも、親子のやりとりが関係しているのではないかと思っています。
次回は、
「ベビーサインで育った子どもの91%が本好きだった理由」
について考えてみたいと思います。
ベビーサインのすべてが分かる1冊
「ベビーサイン図鑑」3刷り決定!!!
ただいま、Amazonでは在庫切れのため、楽天ブックスでどうぞ。
こちらも残り少なくなっています。お早めに!

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