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2026.07.01子どものやる気を育てる、本当の「ご褒美」とは?

前回の記事では、「アンダーマイニング効果」についてご紹介しました。

もともと好きだったことに外からご褒美を与え続けると、「好きだからやる」が「ご褒美のためにやる」に変わってしまうことがある、という心理学の研究です。

では、子どもの「もっとやりたい!」「もっと知りたい!」という気持ちは、いったい何によって育まれるのでしょうか。

私は、その答えは外から与えられるご褒美ではなく、子ども自身が感じる成功体験にあると思っています。

「できた!」

「わかった!」

「見つけた!」

「伝わった!」

そんな心が動く瞬間です。

大人から見ると小さな出来事でも、子どもにとっては次の一歩につながる大切な原動力になります。

赤ちゃんを見ていると、そのことがよく分かります。

まだ言葉を話せない赤ちゃんは、毎日、一生懸命に周りの人へ気持ちを伝えようとしています。

指を差したり、声を出したり、表情を変えたり。

そして、自分の気持ちにお父さんやお母さんが気づいてくれた瞬間、とてもうれしそうな表情を見せます。

「伝わった!」

この喜びがあるから、赤ちゃんはまた伝えようとします。

だからコミュニケーションは、誰かにやらされるものではなく、自分から何度でも挑戦したくなるものなのです。

ベビーサインも、まさに同じです。

赤ちゃんが何度もベビーサインを使うのは、ご褒美がもらえるからではありません。

サインをしたら、お母さんが笑顔で応えてくれる。

「りんごが欲しかったんだね。」

「わんわん、いたね!」

「もっと食べたいんだね。」

自分の思いが相手に伝わり、分かってもらえる。

その喜びそのものが、赤ちゃんにとって最高の”報酬”になっているのです。

そして、この「伝わった!」という経験は、単にコミュニケーションを楽しむだけではありません。

「もう一回やってみよう。」

「もっと伝えたい。」

「もっと知りたい。」

そんな気持ちを育てていきます。

私は、子どもの学びは、この小さな成功体験の積み重ねから始まるのだと思っています。

だから私たち大人が目指したいのは、「ご褒美で動く子」を育てることではありません。

子どもが自分の中で、

「楽しい!」

「できた!」

「分かった!」

「伝わった!」

そんな喜びを何度も味わえる環境をつくることではないでしょうか。

その積み重ねが、「もっとやってみたい」という内側から湧き上がる意欲を育て、生涯にわたって学び続ける力につながっていくのだと、私は信じています。

そして、おしゃべりできない時期からその意欲を育てる素晴らしいツールが「ベビーサイン」なんです。

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2026.06.27ご褒美をあげると、やる気がなくなる? ― アンダーマイニング効果とは

前回の記事では、アメリカの経済学者ローランド・フライヤー氏の研究をご紹介しました。

「テストで良い点を取ったらご褒美」よりも、「本を1冊読んだらご褒美」の方が学力向上につながった、という研究です。

フライヤー氏の研究が教えてくれたのは、子どもは結果よりも、具体的な行動の方が取り組みやすいということです。

「90点取りなさい」と言われても、何をすればいいのかは分かりません。

でも、「今日は本を1冊読もう」なら、今すぐ始められます。

子どもは、自分でコントロールできる行動には取り組めても、結果そのものをコントロールすることはできないのです。

では、ここでこんな疑問が浮かびます。

「だったら、子どもにしてほしい行動には、何でもご褒美をつければいいのでしょうか?」

実は、そう単純ではありません。

心理学には、「アンダーマイニング効果」と呼ばれる現象があります。

これは、もともと楽しくてやっていたことに外からご褒美を与え続けると、その楽しさが薄れてしまうことがあるというものです。

例えば、本が大好きな子がいたとします。

毎日のように、自分から本棚へ向かい、「今日は何を読もうかな」とワクワクしながら本を選んでいる。

そんな子に、

「1冊読んだら100円あげるね。」

と言い続けたら、どうなるでしょう。

もちろん、すぐに本嫌いになるわけではありません。

でも、少しずつ「本が好きだから読む」よりも、「100円もらえるから読む」という気持ちが大きくなる可能性があります。

そして、ご褒美がなくなったとき、

「あれ?今日は100円もらえないなら読まなくてもいいかな。」

そんな気持ちが生まれてしまうこともあるのです。

つまり、注意したいのは、ご褒美そのものではありません。

子どもが行動する理由が変わってしまうことです。

「楽しいからやる。」

「知りたいからやる。」

「面白いからやる。」

そんな気持ちは、子どもが生涯にわたって学び続けるための大切な原動力です。

自分の子育てを振り返ると、何も言わなくても自分から取りかかっていることには、わざわざご褒美ってあげなかったなと思い出します。娘は時間さえあれば、本を読んだり、絵を描いたりしてました。

読書感想文で賞をとるために本人が読みたいと思わない本を読ませるとか、絵画のコンクールとかに挑戦させたいから、本人が描きたくない絵を描かせるとか、そんな親の勝手な「都合」が入ってくると、ご褒美が必要になってくるんでしょうかね?

そして、そんな事をしてしまったら、それこそ、読書も絵を描くことも嫌いになってしまうんでしょうね。

そうでなかったら、勝手に黙々と集中してやっていることに、ご褒美をあげる大人ってまずいないのでは?って書きながらいろいろ考えてしまいました。皆さんはどうでしょうか?

 

2026.06.24「本を読んだら100円」で学力は上がるのか?

「テストで100点を取ったらお小遣いをあげる!」
そんな約束をしたことはありませんか?

 

子どもにやる気を出してほしいと思うと、つい結果にご褒美を用意したくなりますよね。

 

ところが、実は「良い成績を取ったらご褒美」よりも、「本を読んだらご褒美」の方が学力向上につながる可能性があることをご存じでしょうか?

 

アメリカの経済学者、ローランド・フライヤー氏は、数万人規模の子どもたちを対象に、「ご褒美と学力」の関係を調べる大規模な研究を行いました。

その中で興味深い結果が報告されています。

 

テストの点数が良かったら報酬をもらえる子どもたちと、本を読んだら報酬をもらえる子どもたちを比較したところ、学力向上につながったのは後者だったのです。

どうしてだと思いますか?

 

一見すると、「良い点数を取ったらご褒美」の方が効果がありそうですよね。

でも、よく考えてみてください。

子どもに

「90点取ったらご褒美だよ」

と言ったとしても、子どもはそのために何をすればいいのか分からないことがあるんですよ。

 

どの問題集をやればいいのか。

どれくらい勉強すればいいのか。

どこを復習すればいいのか。

結果は示されても、その結果にたどり着くための道筋が見えないんです。

 

一方で、

「本を1冊読んだらご褒美だよ」

と言われたらどうでしょう。

やるべきことは明確です。

 

本を開いて読む。

まずはその行動を始めればいい。

 

つまり、フライヤー氏の研究が示したのは、

結果(アウトプット)よりも、結果につながる行動(インプット)に注目した方が、子どもは動きやすい

ということでした。

 

これは子育て全般にも当てはまりそうです。

私たちはつい、

「本好きな子になってほしい」

「勉強が好きになってほしい」

「自分から学ぶ子になってほしい」

と願います。

 

でも、それらはすべて結果です。

その結果を生み出すためには、どんな日々の経験が必要なのでしょうか。

どんな関わりが、その子の好奇心を育てるのでしょうか。

どんな環境が、「知りたい」「やってみたい」という気持ちを引き出すのでしょうか。

子どもの成長を考えるとき、結果ばかりを見てしまいがちです。

 

でも、本当に大切なのは、その結果につながる小さな行動や経験なのかもしれません。

ただし、ここでひとつ疑問が浮かびます。

「じゃあ、ご褒美を使えば使うほどいいの?」

実はそう単純でもありません。

 

心理学の世界には、ご褒美によって逆にやる気が下がってしまうという研究もあるのです。

2026.06.23ベビーサインで育った子どもの91%が本好きだった理由

前回の記事では、読み聞かせが発達を支える理由について書きました。絵本の価値は、単に言葉を覚えることではなく、親子で同じ世界を見て、一緒に楽しみ、やりとりを重ねることにあるのではないか、というお話でした。

 

実は、そのことを考えていたときに思い出したデータがあります。

 

以前、ベビーサイン協会が教室卒業生を対象に行ったアンケートで、「お子さんは絵本(本)が好きですか?」という質問をしたことがあります。その結果、実に91%の保護者が「好き」と回答しました。

 

もちろん、これは協会独自のアンケートであり、学術研究ではありません。また、「ベビーサインをすると本好きになる」と断言できるものでもありません。

 

それでも私は、この結果を見たときに驚きませんでした。むしろ、「やっぱりそうか」と思ったのです。

 

なぜなら、まず、わが子たちが本好きに育ったこと。そして、20年以上ベビーサイン親子を見続けてきて、ベビーサインと絵本には深い関係があると感じてきたからです。

 

理由① 子どもの興味に寄り添いやすくなる

ベビーサインをしていると、親は子どもが何に興味を持っているのかを知りやすくなります。

 

例えば、絵本を開いたときに【ねこ】のベビーサインをしたら、「この子は今、猫に興味があるんだな」とわかります。繰り返し【でんしゃ】のベビーサインをして、電車の絵本ばかりもってきたら明らかに「でんしゃ」好きですよね。

 

子どもの興味がわかると、大人はそこに自然と寄り添うことができます。

「猫の本を読もうか」
「電車のページを見てみようか」

 

そんなやりとりが増えていきます。そして、その「好き」を広げるために、たくさん「ねこ」や「電車」の絵本をそろえたり、絵本以外にも「ねこ」や「でんしゃ」がついているものを探して購入したりするんじゃないでしょうか?

 

何を隠そう、私もその一人でした。息子が働く車が大好きだった時期には、絵本も、DVDもTシャツもおもちゃも、みーーーーんな「働く車」がついているものを探しましたから!

 

子どもにとって、自分の興味や気持ちをわかってもらえることは大きな喜びです。そして絵本をきっかけに分かってもらえた「自分の好き」を大人が、絵本以外にも広げてくれる!こんな楽しい経験はありませんね。

 

理由② 赤ちゃん自身が絵本を楽しめる

もうひとつ大きな理由があります。

 

それは、赤ちゃん自身が絵本に参加できることです。

 

まだ言葉で話せない赤ちゃんは、本来なら「この本がいい」「そのページが見たい」「もう一回読んで」と伝えることができません。

 

ところがベビーサインがあると、それができるようになります。

 

大人が読もうとしている絵本に興味がないとき、「ねこ」のベビーサインで「ねこがでてくる」別の本をリクエストする子がいます。ページをめくりながら、「ワニ」のサインでお気に入りのページを教えてくれる子もいます。

 

つまり、読み聞かせをただ受け身で聞いているのではなく、自分から参加できるのです。

これは大人が思っている以上に大きな違いなのではないかと思います。

 

赤ちゃんは私たちが思う以上に豊かな世界を見ている

私が今でも忘れられないエピソードがあります。

ある赤ちゃんが『はらぺこあおむし』を見ていたときのことです。

 

あおむしがさなぎになるページを見ながら、その子は突然【パン】のベビーサインをしました。

最初は意味がわかりませんでした。

 

でも考えてみると、茶色くてふっくらしたさなぎの絵が、その子にはパンに見えたのでしょう。

大人には思いつかない発想です。

でも赤ちゃんの頭の中では、ちゃんとつながっていたのです。

もしベビーサインがなかったら、私たちはその子が何を感じ、何を考えていたのかを知ることはできなかったかもしれません。

私はこのエピソードを思い出すたびに、赤ちゃんは私たちが思う以上に豊かな世界を見ているのだと感じます。

 

絵本は「読んでもらうもの」から「一緒に楽しむもの」へ

ベビーサインをしている親子の絵本時間を見ていると、絵本は単に読んでもらうものではなく、一緒に楽しむものになっています。

 

「つぎ、クマでてくるよ」

「うさぎさん泣いてるね」

「もう一回!」

「ワニいた!」

 

そんな気持ちがベビーサインを通して飛び交います。

 

だから絵本の時間が楽しい。

だからまた絵本を開きたくなる。

だから本が好きになる。

 

私は91%という数字の背景には、そんな親子の豊かなやりとりがあったのではないかと思っています。

2026.06.22読み聞かせが発達を支える本当の理由

前回の記事では、

 

スクリーンタイムが問題なのではなく、その時間に失われる親子のやりとりが発達に大きく影響するのではないか、という研究をご紹介しました。

 

中でも、私は「読み聞かせ」と「ベビーサイン」は特別だと思うんですが、今日は「読み聞かせ」について少し考えてみたいと思います。

 

まず、読み聞かせって何がいいんでしょうか?
絵本を読むことで語彙が増えるから?
知識が増えるから?
もちろん、それもあリますよね。

 

でも私は、それだけでは説明できない魅力が絵本にはあると思っています。

 

絵本は何度でも同じ世界に戻れる

赤ちゃんは毎日たくさんのものを見ています。

 

犬を見たり、
猫を見たり、
飛行機を見たり。

でも現実の世界は忙しいものです。

 

犬は走り去ってしまいます。
飛行機はあっという間に空の向こうへ消えてしまいます。

 

赤ちゃんが
「今の何?」
と思った頃には、もうそこにはありません。

 

ところが絵本は違います。
昨日見た犬が、今日もそこにいます。
何度ページを開いても同じ場所にいます。
赤ちゃんが気になったところでページを止めることもできます。
戻ることもできます。
何度でも繰り返すことができます。

 

大人にとっては当たり前のことですが、実はこれがとても大きな意味を持っています。

 

「わかった!」を積み重ねられる

赤ちゃんは一度見ただけで全てを理解するわけではありません。
同じものを何度も見て、
同じ言葉を何度も聞いて、
少しずつ意味を理解していきます。

 

「ワンワン」という言葉も、
一度聞いただけでは覚えられません。
でも絵本の中で何度も犬を見て、
大人が
「ワンワンだね」
と言ってくれる。
すると少しずつ、
絵本の中の犬と「ワンワン」という言葉が結びついていきます。

 

絵本は、赤ちゃんにとって
「わかった!」
を積み重ねられる場所なのです。

 

絵本は親子の会話を生み出す

もうひとつ、私が絵本の素晴らしいところだと思うのは、
会話のきっかけをたくさん作ってくれることです。

 

例えば、
りんごの絵があれば、
「りんごだね」
と言えます。

 

電車の絵があれば、
「おっ!○○ちゃんの大好きな電車だ」
って言えます。

 

動物の絵があれば、
鳴き声をまねすることもできます。

 

まだ話せない赤ちゃん相手でも、
大人は自然にたくさん話しかけています。
そして赤ちゃんも、
表情を変えたり、
指をさしたり、
声を出したりして応えます。

 

絵本を読んでいる時間というのは、
実は「読む時間」であると同時に、
「会話する時間」でもあるのです。

 

大切なのは上手に読むことではない

講演会などで、
「読み聞かせが苦手なんです」
と言われることがあります。

 

でも私は、
絵本は上手に読まなくてもいいと思っています。
感情を込めて読まなきゃ。
声色を変えなきゃ。
最後まで読まなきゃ。
そんなふうに考えなくても大丈夫です。

 

赤ちゃんが気になるページで止まってもいい。
同じページばかり見てもいい。
途中で閉じてもいい。
もちろん、最後まで読めなくてもOK!

 

大切なのは、
親子で同じ世界を楽しむこと。
その時間を共有することです。

 

読み聞かせは「本を読むこと」ではない

私は20年以上、ベビーサインを通してたくさんの親子を見てきました。
その中で感じるのは、
読み聞かせとは、
本を読むことではなく、
親子で一緒に世界を楽しむことなのではないか、
ということです。

 

だから赤ちゃんは、
お気に入りの絵本を何十回読んでも飽きません。
物語が好きなのではなく、
その時間が好きなのです。

 

ママやパパと一緒に笑ったり、
驚いたり、
「見て見て!」
を共有したりする時間が好きなのです。

 

次回予告

ところで、ベビーサイン協会が行ったアンケートでは、
ベビーサインで育った子どもの91%が「絵本(本)が好き」に育ったと回答してくれました。

 

なぜそんなに多くの子どもたちが本好きに育ったのでしょうか。
私はそこにも、親子のやりとりが関係しているのではないかと思っています。

 

次回は、
「ベビーサインで育った子どもの91%が本好きだった理由」
について考えてみたいと思います。

 

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2026.06.21スクリーンタイムが悪いのではない。失われる「やりとり」が問題だった

子育てをしていると、スクリーンタイムって悩ましい問題ですよね。

 

「テレビは見せない方がいい」
「YouTubeは発達に悪影響」
「スマホ育児は危険」

 

そんな言葉を見るたびに、

「じゃあ、どれくらいなら大丈夫なの?」
「少し見せてしまった私はダメな親なの?」

と不安になる方もいるかもしれません。

 

実は最近の研究を読んでいて、とても興味深いことを知りました。

 

それは、

スクリーンタイムそのものが問題なのではなく、その時間に失われる親子のやりとりこそが重要なのではないか

ということです。

 

研究者たちは何を見つけたのか

2023年に発表された研究では、幼児のスクリーンタイムと発達の関係について調べました。

 

その結果、

スクリーンタイムが長い子どもほど、

・言語発達が低い傾向がある
・親子の関係性に影響がみられる

ことが確認されました。

 

ここまでは、これまでにもよく聞く話ですよね?!

ところが研究者たちはさらに分析を進めました。

すると、スクリーンタイムと発達の関係の間には、

・親子での読み聞かせ
・親子の会話
・一緒に遊ぶ時間

が大きく関係していることがわかったのです。

 

つまり、

「スクリーンを見ているから発達に悪い」

という単純な話ではなく、

「スクリーンを見る時間が増えることで、親子が関わり合う時間が減ってしまう」

ことが問題だったのです。

私はこの結果を読んで、とても納得したんですよ!

 

赤ちゃんは”やりとり”で育つ

赤ちゃんは、一人で育つことはできませんよね。

お腹が空けば泣き、
抱っこしてもらえば安心し、
笑いかけてもらえば笑い返します。

 

生まれたその日から、

「誰かとのやりとり」

の中で育っています。

そして生後9〜10か月頃になると、そのやりとりはさらに大きく変化します。

 

赤ちゃんは、

ママと自分だけの関係から、

ママ・自分・モノ

という三項関係を持てるようになります。

 

例えば、おもちゃを見て、

「ねえ、見て!」

というようにママの顔を見ます。

 

ママも同じおもちゃを見て、

「本当だね!」

と応えます。

 

この、

同じものに注目し、
気持ちを共有する経験を

共同注意

と呼びます。

 

実は、言葉の発達も社会性の発達も、この共同注意の積み重ねの上に育っていくことがわかっています。

 

読み聞かせが良いのはなぜ?

私はこれまで20年以上、ベビーサインを通してたくさんの親子を見てきました。

 

その中で感じるのは、

読み聞かせが良い理由は、絵本そのものにあるのではない

ということです。(あっ、もちろん、絵本を否定しているわけでも、内容の善し悪しについて議論したい訳でもありません)

 

もちろん絵本は素晴らしいものです。

でも本当に大切なのは、

ママと赤ちゃんが同じページを見ること。

犬の絵を見て、

「ワンワンだね」

と気持ちを共有すること。

 

ページをめくって、

「次は何かな?」

と一緒にワクワクすること。

 

つまり読み聞かせとは、

親子の共同注意の時間なのです。

だからこそ研究でも、読み聞かせが発達を支える大切な要素として現れてくるのでしょう。

 

ベビーサインもまた「やりとり」を増やす

私は研究結果を読みながら、

「これはベビーサインにも通じる話だな」

と思いました。

 

まだ、おしゃべりできなくてもベビーサインで

赤ちゃんは

「あれ見て!」
「もっと!」
「わんわん!」

と、自分の気持ちを伝えようとします。

 

すると大人は、

「そうだね、犬だね」
「もっと欲しいんだね」

と応えます。

 

そこには必ず、

相手を見る、
気持ちを受け取る、
気持ちを返す、

というやりとりがあります。

 

ベビーサインの価値は、単に言葉が出る前に意思表示できることだけではありません。

親子のやりとりを増やし、
共同注意の機会を増やし、
お互いの気持ちを共有する時間を増やしてくれること。

そこにあるのではないかと思うんです。

 

スクリーンを減らすより大切なこと

私は「スクリーンを一切見せるな」と言いたいわけではありません。

今の時代、それは現実的ではないでしょう。(でも、実は2歳までは0時間が推奨です!)

 

それよりも大切なのは、

今日一日の中で、

赤ちゃんと一緒に笑った時間はあったかな?

同じものを見て、

「見てごらん」

と指差した時間はあったかな?

絵本を読んだかな?

ベビーサインを見せたかな?

そんなことなのかもしれません。

 

研究が教えてくれたのは、

子どもの発達を支えるのは情報ではなく、

人とのやりとり

だということ。

 

そしてそのやりとりは、

特別な教材や特別な環境がなくても、

毎日の暮らしの中で育てていくことができるのです。

2026.06.19“もう一度子育てしたい”と思った日

0・1・2歳児保育を考える
― 小さな人を尊重する保育 ―

 

これまでたくさんの保育士さんや保護者の方に、ベビーサインのお話をしてきました。

その中で、忘れられない感想があります。

 

それは、

「ベビーサインの話を聞いて、もう一度子育てをしてみたくなりました!」

という言葉です。

 

私はその言葉を聞いた時、

とても嬉しかったのと同時に、

その気持ちがよく分かるなぁと思ったんです。

 

なぜなら、私自身もそうだからです。

もちろん、

もう一度夜泣きの相手をしたいわけではありません(笑)。

離乳食を作りたいわけでもありません。

イヤイヤ期をもう一度経験したいわけでもない。

 

でも、

もしもう一度赤ちゃんを育てられるなら。

もしもう一人、いや二人くらい産めるなら。

私は迷わずまたベビーサイン育児をしたいと思います。

それくらい楽しかったのです。

 

ベビーサイン育児をしていると、

赤ちゃんとの毎日が、

ただお世話をする時間ではなくなります。

 

ある日突然、

【もっと】

が返ってくる。

「あ、もっと食べたかったんだ!」

と分かる。

 

【おしまい】

が返ってくる。

「もういらないんだね」

と分かる。

 

【犬】

【飛行機】

【痛い】

【やって】

 

小さな手が動くたびに、

「そう思ってたの?」

「そんなこと分かってたの?」

の連続です。

 

私は何度も驚かされました。

そして何度も笑いました。

 

赤ちゃんって、

こんなに頭の中で考えていたんだ。

こんなにたくさん分かっていたんだ。

こんなに伝えたかったんだ。

そう思う瞬間がたくさんありました。

 

子育てをしていると、

どうしてもありますよね。

「なんで泣いてるの?」

「どうしたいの?」

「何が嫌だったの?」

そんなふうに途方に暮れる時間が。

もちろんベビーサインがあれば全部分かるわけではありません。

 

でも、

分からない時間は確実に減ります。

そして、

分かり合える時間は確実に増えます。

私はそこが大きいと思うのです。

 

ベビーサインは、

何かを早くできるようにするためのものではありません。

赤ちゃんとの毎日を、

もっと面白くしてくれるもの。

もっと笑顔にしてくれるもの。

もっと「この子ってすごいな」と思わせてくれるもの。

 

だから、

あの感想をくださった方が、

「もう一度子育てしたい」

と思ったのも分かるのです。

 

きっとその方は、

子育てをやり直したいのではありません。

ベビーサインがある毎日を、

わが子と体験してみたかったのだと思います。

 

おしゃべりできない時期から、

もっと気持ちを知りたかった。

もっと会話をしたかった。

もっと笑い合いたかった。

そう思ったのではないでしょうか。

 

私自身、

ベビーサインをしている親子を見ると、

息子との時間を思い出します。

「あの時、こんなサインしてたな」

「あんなこと話してたな」

そんな記憶が今でも鮮明によみがえります。

 

ベビーサインは、

赤ちゃんとの時間を豊かにしてくれるだけではありません。

その時間を、

いつまでも色あせない思い出にしてくれるものなのかもしれません。

 

だから私は今日も思います。

もし戻れるなら、

もう一度ベビーサイン育児がしたいな、と。

2026.06.16“もっと!”は自己肯定感の始まり

0・1・2歳児保育を考える
― 小さな人を尊重する保育 ―

 

最近は、

「自己肯定感を育てたい」

という言葉をよく耳にしますね。

 

保育の現場でも、
子育ての情報の中でも、

自己肯定感は大切。

自己肯定感を高めよう。

そんな言葉があふれています。

 

もちろん私も、
自己肯定感は大切だと思っています。

でも、

自己肯定感って、
どうやって育つのでしょう。

 

「あなたは素晴らしいよ」

とたくさん褒められること?

できることが増えること?

成功体験を積むこと?

 

もちろんそれもあるかもしれません。

でも私は、
乳児期の自己肯定感の土台は、

もっとシンプルなところにあるような気がしています。

 

それは、

「自分の気持ちが伝わった」

という経験です。

 

例えば食事の時間。

赤ちゃんが【もっと】のベビーサインをします。

すると大人が、

「もっと食べたいんだね」

と受け取る。

そしておかわりが出てくる。

たったそれだけのこと!シンプルすぎる!!!

 

でも赤ちゃんの中では、

大きな出来事が起きているんですよ。

自分で伝えられた。

わかってもらえた。

そして自分の思いが叶った。

この一連の経験です。

 

私はここに、
自己肯定感の芽があると思うんです。

まだおしゃべりができない赤ちゃんにとって、

伝えたいのに伝わらない。

わかってほしいのにわかってもらえない。

という経験は日常すぎます。特にベビーサインがないと(涙)

赤ちゃんだけでなく、もちろん大人もわかってあげたい!と一生懸命です。

 

でも、

「お腹すいたのかな?」

「眠いのかな?」

「これが欲しいのかな?」

と想像するしかないことの方が多いのではないでしょうか?

そんな中で、

【もっと】

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というサインが返ってきたら。

 

大人はそれを受け取れる。

赤ちゃんはそれがあるから伝えられる。

そこに小さな対話が生まれます。

 

私は長年ベビーサインを見てきましたが、

子どもたちは

「伝わる」

ことが大好きです。

一度伝わる喜びを知ると、

また伝えたくなる。

またやってみたくなる。

そして、ベビーサインの数だけ

どんどん世界が広がっていきます。

 

そしてそのたびに、

「伝わった!」

を積み重ねていくのです。

私は自己肯定感とは、

何か特別な言葉をかけてもらうことで育つものではなく、

「自分は無力じゃない!自分には人に働きかける力がある」

という感覚から育つものではないかと思っています。

 

手を動かしたら伝わった。

伝えたら応えてもらえた。

自分の思いには価値があった。

その積み重ねです。

 

だからベビーサインの【もっと】は、

単なる「おかわり」のサインではありません。

私は、

人生で最初の

「私は伝えられる」

という経験のひとつだと思っています。

 

そしてその経験は、

やがて言葉になり、

会話になり、

人との関係を築く力になっていきます。

 

自己肯定感というと、
つい難しく考えてしまいます。

でもその始まりは、

案外こんな小さなやり取りなのかもしれません。

【もっと】

その小さな手の動きの中には、

「私の気持ちを聞いて」

という願いと、

「伝わった!」

という喜びが詰まっているのです。

 

あっ、ベビーサイン教室のアンケートによると、
ほぼ100%の赤ちゃんが使えるようになるのも
この【もっと】のベビーサイン!
やらなくちゃ、もったいない!

 

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2026.06.10“教育”ではなく、“子育てを楽しくするもの”だった

0・1・2歳児保育を考える
― 小さな人を尊重する保育 ―

 

ベビーサインの話をすると、

「頭が良くなるんですか?」

「言葉を覚えるのが早くなるんですか?」

そんな質問をいただくことがあります。

 

もちろん研究の中には、

語彙の発達やコミュニケーションに関する興味深い報告もあります。

 

でも私は20年以上ベビーサインを伝えてきて、

その価値を一言で表すなら、

「子育てが楽しくなる」

ことだと思っています。

 

実際にこんな感想をいただいたことがあります。

「教育ではなく、子育てを楽しくするものなんだという事がわかり、子育てに悩んだり辛いと感じている人にはやってみる価値があると思った」

私はこの感想を頂いた時に「うん!伝わった!」という実感が持てました。

 

だって、

ベビーサインの本質をよく表していると思うから!

今の時代、

子育てをしていると本当にたくさんの情報が入ってきます。
(気の毒なくらい・・・・)

 

絵本は何冊読んだ方がいい。

英語は早く始めた方がいい。

運動能力を伸ばすには。

非認知能力を育てるには。

自己肯定感を高めるには。

 

もちろん、どれも大切な視点です。

でも、その情報が増えれば増えるほど、

「ちゃんとやらなきゃ」

「もっと頑張らなきゃ」

と苦しくなってしまうことありませんか?
(私の時代はそんなに情報がなくて、助かったな~と今振り返ると思います。)

 

子育てが、

楽しむものではなく、

課題をこなすものになってしまう。

 

そんな親御さんも少なくありません。

でも赤ちゃんにとって本当に大切なのは、

毎日の中で、

誰かと笑い合うこと。

誰かと気持ちを通わせること。

「伝わった!」

を経験すること。

だと私は思うんです。

 

ベビーサインをしている親子を見ていると、

そこには特別な教材もありません。

難しい理論もありません。

あるのは、

「もっと?」

「そうだったの?」

「ほんとだね~」

という会話です。

 

そして、

そのやり取りの中で、

親が笑う。

赤ちゃんが笑う。

また親が笑う。

そんな時間が生まれます。

 

私はそれがベビーサインの本当の魅力であり、
私がずーーーーっと伝え続けたい本質でもあります。

 

以前、

「ベビーサインの話を聞いて、もう一度子育てをしてみたくなりました!」

という感想をいただいたことがあります。

 

その言葉を聞いた時、

私も、そうそう!って思いました。

だって、

ベビーサインが伝えたいのは、

能力開発でも、

早期教育でもなく、

子どもと過ごす時間の楽しさだからです。
(あっ、結果的にいろいろすごい能力や器用さなど、やって良かった~の教育的メリットもたくさん付いてきますけどね!)

 

乳児期は短い。

振り返ると、本当にあっという間です。

 

だからこそ私は、

何かを身につけさせることよりも、

何かができるようになることよりも、

親子で笑い合った記憶をたくさん残してほしいと思っています。

 

ベビーサインは、

そのための特別な教育法ではありません。

「今日も楽しかったね」

を増やしてくれる、

親子のコミュニケーションの道具です。

 

もしそれによって、

親が少し肩の力を抜いて、

子どもと向き合う時間を楽しめるのなら。

それだけでも、

十分価値があるのではないかと私は思うのです。

2026.06.08ベビーサインが必要とされる場所は、私が思っていたよりずっと広かった

先日、「病児の遊びケア・フォーラム」にベビーサイン協会として出展してきました。

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今回お声がけいただいたのは、東京おもちゃ美術館で長くベビーサインを伝えてくださっているレジェンドベビーサイン講師陣=福田さん、市川さん、堀江さんたちのおかげです。いつもありがとう~

 

当日は新人講師さん2名も手伝いに来てくれ、たくさんの方がブースに足を止めてくださいました。

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私は20年以上、ベビーサインの普及活動を続けています。

その中で、

「話し言葉が出る前の赤ちゃんとのコミュニケーション」

としてベビーサインを伝えてきました。

 

でも今回のフォーラムで改めて感じたのは、

ベビーサインが必要とされる場所は、私が思っているよりもずっと広いのかもしれない

ということでした。

 

支援施設を運営されている方がブースに来てくださり、

「こういうコミュニケーション方法を探していたんですよ」

と声をかけてくださいました。

 

また、あるお父さんは、

「最近、この子の中に『何かしたい!』という気持ちがたくさん出てきているんです。でも、それを読み取ってあげるのに限界を感じていて……」

と話してくださいました。

 

もちろん、病気や障害の状態によってはベビーサインでのコミュニケーションが難しいケースもあります。

ベビーサインが万能だとは思っていません。

 

でも、

『知っている』

ことと、

『知らない』

ことの差は大きい。

 

もしかしたら使えるかもしれない。

もしかしたら親子の助けになるかもしれない。

そんな選択肢の一つとして存在を知ってもらうことに大きな意味があると感じました。

 

ベビーサインは赤ちゃんのためだけのものではないのかもしれません。

伝えたい気持ちがある。

でも言葉では難しい。

そんな場面は、私たちが思っている以上にたくさんあります。

 

医療の現場。

福祉の現場。

支援の現場。

そして家庭の中。

 

今回のフォーラムは、そんなことを改めて考えさせてくれる機会になりました。

20年以上活動を続けてきても、

まだ出会えていない人がいる。

まだ届いていない場所がある。

だからこそ、これからもまずは知ってもらうことを大切にしていきたいと思います。

 

ちなみに当日は行きも帰りも曇り空だったのに、なぜか富士山の全景が見えました。

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新しいご縁の始まりを応援してもらったような気がしています。

ベビーサインが必要な人に、必要なタイミングで届く。

そんな未来につながる一日でした。