2026.03.03【連載③】赤ちゃんの話し言葉を育てるコツ③
真似っこは最強の学び
「学ぶ」の語源は「真似ぶ」。
赤ちゃんは、動きと音声を真似しながら言葉を吸収していきます。
だから、動物の鳴き声や動きとベビーサインの組み合わせは最強です。
ぱおーーん、ゾウさんだよ!

ぴょん、ぴょん、ウサギさんだね。

ほかには、どんな動物が思い浮かびますか?手や体を動かして是非いろいろやってみてくださいね。
研究では、乳児期にジェスチャーを多く使う子どもほど、その後の語彙が豊かになる傾向が示されています。
ベビーサインは、
・アイコンタクト
・ゆっくり見せる
・わかりやすい
という条件がそろうため、赤ちゃんにとって真似しやすい「見える言葉」になります。
音と動きが同時に脳に入ることで、言葉のネットワークが強くなっていくんですね。
真似を楽しめる関係性が、言葉を育てます。
📚研究出典まとめ
-
Iverson, J. M., & Goldin-Meadow, S. (2005). Gesture paves the way for language development.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/16246238/ -
Goodwyn, S. W., Acredolo, L. P., & Brown, C. A. (2000). Impact of symbolic gesturing on early language development.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/10927894/
2026.03.02【連載②】赤ちゃんの話し言葉を育てるコツ②
「わかる」を増やすと「話す」は育つ
「まだ全然しゃべらなくて…」
でも大丈夫!
言葉は
わかる → 伝えたい → 話す
の順番で育ちます。
心理言語学の研究では、語彙の理解(受容語彙)は発話よりも先に発達することが一貫して示されています。
つまり0~2歳はまず
「わかる言葉」を増やす時期。
日常の中で、
・「ワンワンだね」
・「ミルクだよ」
・「お風呂いこうか」
と、対象と言葉を何度も結びつけること。
そこにベビーサインを添えると、
👀 視覚
👂 聴覚
✋ 動き
複数の感覚が同時に働きます。



研究では、乳児期のジェスチャー使用はその後の語彙発達を予測することが示されています。
話せなくても大丈夫。
今は「わかる」を増やす時間。
その積み重ねが、「話したい」に繋がっていきます。
📚研究出典まとめ
-
Fenson, L. et al. (1994). Variability in early communicative development.
MacArthur-Bates Communicative Development Inventories. -
Rowe, M. L. & Goldin-Meadow, S. (2009). Differences in early gesture explain SES disparities in child vocabulary size.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19655057/
2026.03.01【連載①】赤ちゃんの話し言葉を育てるコツ①
楽しく「声」を出す時間を増やそう
赤ちゃんは、生まれたその日から「話す準備」を始めています。
「あー」「うー」などの母音、奇声、低いうなり声のような声(プロトフォン=発生様声)が、だんだん月齢とともに進化して、生後6ヶ月をすぎる頃になると子音と母音を繋げた「バブバブ」「だだだ」のようなより言語に近い音(バブリング=喃語)になります。
実はこれは、ただのかわいいな~って眺めていたらもったいないんですよ!
研究では、赤ちゃんは意味のない声(プロトフォン)を自発的にたくさん出しながら、音声を探究していることが示されています。
この“発声遊び”が、言葉の土台になります。
✔ 口まわりの筋肉を育て
✔ 呼吸のコントロールを学び
✔ 音の違いを試す時間
でもあるんです。
だからこそ、
・こちょこちょ遊び
・高い高い
・シャボン玉や笛のふーふー遊び
これらは全部、立派な言葉の準備運動。是非、生活の中で意識してやってみてくださいね。
さらに、大人が自然と使う少し高めで抑揚のある話し方(マザリーズ=お母さん語)は、世界中の言語にあって、赤ちゃんの音声知覚や語彙学習を助けることもわかっています。
ここにベビーサインを添えると、
声+動き+表情
という三点セットになります。
赤ちゃんにとって
「声を出すって楽しい!」
という体験そのものが、話し言葉の芽を育てるんですね~
やっぱりベビーサインって話し言葉に発達に繋がっていますよね!
📚研究出典まとめ
-
Oller, D. K. et al. (2022). Infants vocalize most during independent vocal play.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36584126/ -
Kuhl, P. K. (2004). Early language acquisition: cracking the speech code.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15372043/
2026.02.19「ベビーサインなんて、わざわざやらなくてもいい?」という声について
「昔からジェスチャーは使っていたし、わざわざベビーサインと名付けなくても十分では?」という意見を目にすることがあります。
これは別に今に始まったことではないんですが・・・
こうした声を聞くたびに、
私は少し残念な気持ちになります。
なぜなら、その多くが
ベビーサインを十分に理解しないままのちょっと残念勘違い評価だと思うからです。
今日は、反論ではなく、誤解を整理したいと思います。
① ベビーサインは“特別な育児”ではない
まず大前提として。
赤ちゃんにたくさん話しかけること。
ジェスチャーを交えて関わること。
わかりやすいように
赤ちゃん言葉でやり取りすること。
これらは、とても自然で素晴らしい関わりです。
ベビーサインは、それを否定するものではありません。
むしろ、その延長線上にあります。
② 違いは「数」と「質」
よくお伝えしているのは、
違いは「数」と「質」です。
自然なジェスチャーは、多くの場合、
・ねんね
・いただきます
・ちょうだい
など、限られた表現にとどまります。
皆さんも普段よく使うジェスチャー
思いつくもの、是非書き出してみてください。
20個も30個も思いつく人は
多分、保育経験が豊富な方じゃないでしょうか?
多分ね、皆さん10個くらいじゃないでしょうか?
一方で、ベビーサインとして体系的に日常へ取り入れた場合、
赤ちゃんは平均で約70以上のベビーサインを使えるようになります。
1歳半から2歳にかけて、70以上も単語を駆使して
おしゃべりできるお子さん、あまりいないですよね?!
ところが、ベビーサインとして、
普段の語りかけに、ジェスチャー以上の
手の動きを見せながら関わることで、
子どもたちは、水を得た魚のように
どんどん、手の動きと意味を理解して
使いこなすようになるんです。
そこには、
・やって
・危ない
・痛い
・熱い
・もっと
など、普段のジェスチャーでは
出てこないようなものも含まれます。
すべてのものには名前がある!という
理解に繋がる架け橋と思っていただけると
世界がぐーーんと広がります。
ここが、決定的な違いです。
③ 「マニュアル化」ではなく「再現可能にしている」
「そんなこと、昔からやっていた」
そう感じる方もいるでしょう。
確かに、昔は三世代同居や地域のつながりの中で、
自然と育児の知恵が共有されていました。
でも今はどうでしょうか。
孤立した育児環境の中で、
「どう関わればいいかわからない」と悩む人も少なくありません。
ベビーサインは、
愛情をマニュアル化しているのではありません。
より深く、楽しく赤ちゃんと関わるために
再現可能にしているだけです。
誰でも、どこでも、同じように赤ちゃんとのやり取りを広げられるように。
それが体系化の意味です。
④ “自然にやっていた”との違い
「うちは自然にやっていた」
その言葉の中身を丁寧に見ていくと、多くは
・大人からの一方向の働きかけ
・数個のジェスチャー
・言葉が出るまでのつなぎ
で終わっています。
ベビーサインは、
✔ 赤ちゃんが主体的に
✔ 自分から
✔ 抽象的な概念まで
伝えられるようになるところまでを見ています。
ここが本質的な違いです。
数々のベビーサインエピソードを
みていただけると
「えっ!赤ちゃんってそんな事までわかるの?」
「これが、そんな風に見えてるの?」
と赤ちゃん目線で世界を知ることができるんです。
私のブログにも少しまとめているので
良かったらご覧くださいね。
2026.02.17余力がないならこれ一択!

― イヤイヤ期を救う【やって】のベビーサイン ―
「イヤイヤがつらいです」
そう相談されることがあります。
・着替えない
・食べない
・自分でやると言ってできない
・手伝うと怒る
毎日が小さな衝突の連続。
正直、余裕なんてありませんよね。
だから今日は、
ひとつだけ。
あれもこれもではなく、
まずはこれだけ覚えてください。
【やって】のベビーサイン
両手のひらを胸のあたりでトントン。
それだけです。

とてもシンプルですが、
このサインには大きな力があります。
なぜ「やって」が効くのか?
イヤイヤ期の子どもは、
✔ 自分でやりたい
✔ でも、うまくできない
✔ でも、手を出されるのはイヤ
という、矛盾した気持ちを抱えています。
本当は、こう言いたいのです。
「ちょっと手伝ってほしい」
「でも、全部は奪わないで」
でも、それを言葉で説明できません。
だから、爆発します。
【やって】は、
その間をつなぐベビーサインです。
使うタイミングがポイント
大事なのは、
親が先回りしすぎないこと。
たとえば――
おやつの袋を
自分で開けようとしているとき。
うまく開けられず、
だんだんイライラしてきた様子。
そこで、いきなり取り上げて
「はい、ママがやるね」と言ってしまうと…
高確率で、ギャン泣きです。
そうではなく、
「ママが【やって】あげようか?」
と、ベビーサインを添えて聞いてみる。
十分にがんばったあとなら、
きっと素直に袋を渡してくれるでしょう。
「助ける」ではなく「お伺いを立てる」
【やって】は、
手伝うためのベビーサインというより、
**“許可をもらうサイン”**です。
子どもの挑戦を尊重しながら、
必要なときだけ支える。
この関わりができると、
「自分で!!!」
と怒る回数が、
本当に減ります。
子どもから出てくるようになる
ベビーサインを理解し始めると、
「もう無理!」
と思った瞬間に、
子ども自身が【やって】と
ベビーサインを出してくれるようになります。
癇癪になる前に、
助けを求められる。
これができるようになると、
イヤイヤの質が変わります。
親の心も、ラクになる
イヤイヤ期は、
「いつ手を出すべきかわからない」
の連続です。
早すぎても怒る。
遅すぎても泣く。
でも【やって】があると、
タイミングが見えてきます。
親のイライラが減ると、
子どもの表情もやわらぎます。
イヤイヤ期は、敵ではない
イヤイヤは、
「自分でやりたい」という
成長の証。
その気持ちを折らずに、
爆発だけを減らせたら――
毎日は、ずいぶん違ってきます。
もし今、
「もう無理…」と思っているなら、
まずは【やって】だけ。
今日から、
それだけで十分です。
2026.02.15イヤイヤ期がラクになる家庭が、実はやっていること
― ベビーサインが助けた、3つのリアルな瞬間 ―
同じくらいの月齢なのに、
-
イヤイヤが激しい子
-
比較的、穏やかに過ごしている子
その違いは、どこにあると思いますか?
私は長年、親子を見てきて、
ある共通点に気づきました。
それは――
**「伝える成功体験があるかどうか」**です。
イヤイヤの正体は「伝えられない苦しさ」
イヤイヤ期の癇癪は、
わがままでも、反抗でもありません。
「伝えたいのに、伝わらない」
「このモヤモヤ、どうしたらいいの?」
その行き場のない気持ちが、
涙や怒りになってあふれているだけ。
ベビーサインは、
話せない時期の赤ちゃんにとっての
**“もう一つのことば”**です。

エピソード① ストローの色が違う!
ある日、コップにお茶を入れ、
赤いストローをさして渡した瞬間――
息子が突然、泣きながら怒り出しました。
何を言っているのかわからず、
私も正直、イライラ…。
でも、息子はふと泣き止み、
【緑】のベビーサインを見せてくれたのです。
「あっ、ストローの色か!」
緑のストローに替えた途端、
さっきまでの涙が嘘のように、
満足そうにお茶を飲み始めました。
イヤイヤではなく、
“こだわりを伝えたかった”だけ。
そう気づいた瞬間でした。
エピソード② 「お肉が食べたい」
夕飯に魚料理を出したときのこと。
息子は
【お肉】【待つ】
のベビーサインをしました。
「お肉が食べたい。待っているよ」
という意味です。
魚は一口も食べず、
でも癇癪も起こさない。
そこで、冷凍していた鶏そぼろを
ごはんに少しだけのせると、
それで納得したようで、
機嫌よく食べ始めました。
すべて叶えなくても、
“気持ちを受け取る”だけでいい。
そんな場面でした。
ベビーサインがもたらす3つの変化
① イヤイヤの回数が減る
泣く・怒る前に、気持ちを伝えられる。
② 親子の信頼関係が深まる
「わかってもらえた」が安心感に変わる。
③ 言葉の発達がスムーズに
ベビーサインは、言葉への近道ではなく
言葉への橋渡し。
イヤイヤ期は「親子で学ぶ時間」
ベビーサインを取り入れてもすべてのイヤイヤが
なくなるわけではありません。
でも、
「理由がわかる」
「気持ちが伝わる」
それだけで、
親の心も、子どもの表情も
驚くほど変わります。
次回は、
今からでもできる!
イヤイヤ期を救う“たった1つのベビーサイン”
を、具体的な使い方と一緒にご紹介します。
2026.02.08なぜ2歳は爆発するのか?
― 脳と心の発達から見るイヤイヤ期 ―
「どうして、こんなに怒るの?」
「さっきまでご機嫌だったのに…」
イヤイヤ期まっただ中の親御さんから、
本当によく聞く言葉です。
でも、実はこれ。
性格でも、しつけでもありません。
理由はとてもシンプルで、
赤ちゃんの脳と心が、ちょうど大きく成長している途中だからです。
0歳から始まっている、心の土台づくり
赤ちゃんの心の成長は、
イヤイヤ期になって突然始まるわけではありません。

▶ 生まれて〜6か月頃
赤ちゃんは、泣くことで
「おなかすいた」「気持ち悪い」「さみしい」を伝えます。
そして、泣いたら応えてもらえる経験を重ねることで、
「この世界は安心できる場所だ」
という感覚を育てていきます。
抱っこ、声かけ、目と目を合わせること。
この積み重ねが、親子の信頼関係の土台になります。
▶ 6〜9か月頃
後追い、人見知り、場所見知りが始まります。
同時に、
ママやパパの表情をじっと見て、
「今は大丈夫かな?」
「これはやっていいのかな?」
と気持ちを読み取る力が育っていきます。
この頃の大切な成長を**「共同注意」**といい、
のちに言葉を理解し、使うための大切な土台になります。
▶ 1歳頃
行動範囲が一気に広がり、
「やってみたい!」気持ちが爆発します。
・親の顔色を見ながら挑戦する
・「ダメ」と言われても、もう一回やってみる
・あっさり諦める子、粘る子
ここで、個性がはっきり出始めます。
1歳半〜2歳で起きていること
この頃の子どもの心の中は、
実はかなり忙しい状態です。
-
自分でやりたい
-
でも、ちょっと不安
-
助けてほしい
-
でも、手を出されるのはイヤ
相反する気持ちが同時に存在しています。
さらに問題なのが、
まだそれを言葉でうまく説明できないこと。
だから出てくるのが、
「イヤ!」
という、万能ワード。
脳の発達が追いついていない
イヤイヤ期の爆発には、
脳の発達が深く関係しています。
感情をコントロールする
**「前頭前野」**は、まだまだ未熟。
大人のように
「まあ、いいか」
「あとでやろう」
と気持ちを切り替えることができません。
思い通りにならなかった瞬間、
感情がそのまま外にあふれてしまうのです。
イヤイヤ期は「困った時期」ではない
ここまで読むと、
少し見方が変わりませんか?
イヤイヤ期は、
✔ 自我が育っている
✔ 考える力が伸びている
✔ 感情が豊かになっている
成長のど真ん中です。
ただ一つ足りないのは、
「伝える手段」。
とはいえ、毎日、毎日となると辛いですよね・・・
そんなときに、先輩ママたちはどうやって乗り越えた?
そんなエピソードと方法を次回以降でお伝えしたいと思います。
早く知りたい!って方は
拙著「ベビーサイン図鑑」でどうぞ!
2026.02.06「そろそろ来るかも…」イヤイヤ期に身構えるあなたへ
イヤイヤ期が怖くなくなると、子育てはこんなに変わる
子育てをしていると、
多くのママ・パパが、ある時期からソワソワし始めます。
「そろそろ…来るよね?」
「イヤイヤ期…覚悟した方がいいのかな?」
育児にも少し慣れてきた頃、
ネットで情報を調べると、目に飛び込んでくるのは
「第一反抗期」「魔の2歳児」「Terrible Two」
という、なかなかインパクトの強い言葉たち。
正直、怖くなりますよね。
でも、私は長年ベビーサインと親子を見てきて、
はっきり言えることがあります。
イヤイヤ期は、怖いものでも、
避けるべきものでもありません。
むしろ――
ちゃんと成長している証です。

一般的にイヤイヤ期は、
1歳半頃から始まり、2歳前後でピークを迎えると言われています。
つかまり立ちやハイハイをしていた赤ちゃんが、
気づけば家中を歩き回り、
いたずらも増え、自己主張もどんどん強くなる。
それはつまり、
「自分」という存在が、
はっきり芽生えてきたということ。
・自分でやりたい
・自分で決めたい
・でも、うまくできない
・言葉もまだ足りない
このギャップこそが、
イヤイヤの正体です。
だから、イヤイヤ期に向けて
本当に必要なのは、
「どう叱るか」でも
「どう言うことを聞かせるか」でもありません。
まずは、赤ちゃんの気持ちを知ること。
次回は、
イヤイヤ期に至るまでの
赤ちゃんの心と脳の成長を、
できるだけわかりやすくお話しします。
「なるほど、そういうことか」
そう思えるだけで、
子育ては少しラクになりますよ。
2026.01.29「指差し」だけで、本当に足りていますか?赤ちゃんは、思っている以上に“伝えたい”
赤ちゃんは、生まれた瞬間から
「伝えたいこと」がたくさんあります。
でも――
言葉が話せない。
この「伝えたいのに、伝えられない」状態が、
赤ちゃんにとってどれほど大きなストレスなのか。
それを少しだけ体感できる、印象的な文章があります。
イギリスの心理療法士フィリッパ・ペリーのベストセラー
『自分の親に読んでほしかった本』(日本経済新聞出版)からの一節です。
床に寝そべってみましょう。
そして、その姿勢のまま、
寂しいとか、おなかが減ったとか、喉が渇いたとか、
居心地が悪いと感じながら、
言葉がしゃべれないのはどんな気分か想像してみてください。

どうでしょうか。
これは「ねんね期」の疑似体験ですが、
おすわりができるようになっても、
ハイハイができるようになっても――
言葉を話せない赤ちゃんは、ずっと
「思いを伝えられないもどかしさ」を感じていますよね。
「指差し」ができると、世界が少し広がる
成長の中で、赤ちゃんが身につける大きなスキル、
それが 「指差し」 です。
・見てほしい
・とってほしい
・食べたい
指差しによって、大人の視線を動かし、
「伝わること」が一気に増えます。
これは赤ちゃんにとって、とても便利で、
とても嬉しい進歩です。
大人も、指さしでなんとなく会話ができているから
ベビーサインなんていらないんじゃないの?
と思う人もいます。
でも、ここで壁にぶつかります。
-
「りんごを食べたい」(でも、目の前にない)
-
「パパはどこ?」(今ここにいない)
-
「ボール持ってきて!」(遠くにある)
目の前にないものは、指差しでは伝えられませんね。
さらに――
赤ちゃんが伝えたいのは「物」だけではありません。
-
「このりんご、おいしい!」
-
「パパ、大好き!」
-
「このボール、大きいね!」
気持ち、考え、感じたこと。
それらは、指差しだけではどうしても足りなくなっていくのです。

表情やしぐさを読み取るだけで、本当に足りる?
「ベビーサインがなくても、
表情やしぐさでわかるのでは?」
そう感じる方も多いと思います。
確かに、月齢が低いうちは
赤ちゃんの欲求は比較的シンプルで、
大人が“読み取ってあげる”ことで対応できる場面も多いです。
でも、成長とともに
赤ちゃんの 自己主張 はどんどん増えていきます。
そんなとき――
「読み取る」だけでは、足りなくなる瞬間が訪れます。
たとえば、
-
夜中に泣いていた赤ちゃんが
【お茶】のベビーサインをしたら?
→「おっぱいじゃなかった!喉が渇いていたんだ」と分かります。 -
ごはんを食べない赤ちゃんが
【おにぎり】のサインをしたら?
→「味じゃなくて、形だったんだ」と気づけます。
ニコニコのときは、
表情を読み取るだけでもうまくいくことがあります。
でも、
機嫌が悪いとき、うまくいかないときこそ、
「伝え合える手段」があることが、親子を助けてくれるのです。
ベビーサインは、赤ちゃんの“強力な味方”
そこで、赤ちゃんの強力な味方になるのが
ベビーサイン です。
ベビーサインは、
長い歴史をもつ「手話」という言語をベースにした、
赤ちゃんのための 「目で見えることば」。
まだ話し言葉を十分に使えない乳幼児と大人が、
手の動き(サイン)やジェスチャーを通して
思いを伝え合います。
泣くしかなかった赤ちゃんが、
「伝えられた!」という経験を重ねていく。
そして大人も、
「わかってあげられた」という喜びを重ねていく。
ベビーサインは、
便利な育児テクニックではありません。
親子が“通じ合う”時間を増やす、
コミュニケーションの土台なのです。
もっと詳しく知りたい方へ
この記事でご紹介した考え方や、
実際にどんなベビーサインがあるのか、
どんなふうに日常で使えばいいのか――
それらをまとめたのが、
拙著 『ベビーサイン図鑑』(Gakken) です。

「教える」ための本ではなく、
赤ちゃんと一緒に楽しみながら、
伝え合う時間を増やすための一冊として作りました。
赤ちゃんの「伝えたい」を、
見逃さず、受け取ってあげたい方へ。
ぜひ手に取っていただけたら嬉しいです。
2026.01.263歳までの子育ての教科書― 脳科学者・林成之先生が伝える「育脳」3つのポイント ―
『3歳までの子育ての教科書』(アスコム)は、19人の育児の専門家が「3歳までに大切にしてほしいこと」をそれぞれの立場から語っている一冊です。
(少し前に出版された本ですが、とっても参考になりますよ)
今回はその中から、脳科学者・林成之先生のメッセージを、私なりの視点でまとめてみたいと思います。
「生きたい!」「知りたい!」「仲間になりたい!」
すべての学びの土台になる3つの本能
林成之先生は、日本大学大学院 総合科学研究科教授(本の出版当時の肩書きです)「勝負脳」という理論を提唱し、その理論をもとに指導を受けた北京オリンピックの日本競泳選手たちが、驚くような成果を出したことで知られている脳科学者です。
そんな林先生が、3歳以下の子どもの育脳で最も大切だとおっしゃっているのが、次の考え方です。
3歳以下の子どもの育脳には、知識の詰め込みではなく、
まず「本能」と、心が伝わる「脳」を育むことが大切。
そのためのポイントが、次の3つ。
-
「学びたい」という本能を育てる
-
心が伝わるコミュニケーション力を育てる
-
親子で共に進化する
以下詳細説明しますが、AIさんに作ってもらった画像がこれ!

①「学びたい!」本能は、共感から育つ
人は、好きなこと・興味のあることには自然と学びたくなりますよね。
子どもも同じです。
「これ、面白いね」
「すごいね、よく気づいたね」
そんなふうに、子どもの「好き」に親が共感し、一緒に学ぼうとする姿勢が、学ぶ力の土台になります。
ここで、ベビーサインはとても心強い存在です。
言葉が出る前から、
-
何に興味があるのか
-
何が好きなのか
-
何を伝えたいのか
が見えてくる。
だからこそ、子どもの世界に早く気づき、ちゃんと共感できるんですね。
② 心が伝わるコミュニケーションとは「尊重すること」
林先生が言う「心が伝わるコミュニケーション」とは、
相手を一人の人として尊重し、相手の脳に届く言葉を使うこと。
これも、ベビーサイン育児をしていると自然に身についていきます。
まだ話せなくても、
ただ、お世話を必要としている何もできない存在ではなく、
「この子は、ちゃんと感じている」
「伝えたい気持ちがある」
そう思って関わる習慣が、大人側に育つからです。
結果として、
子ども自身のコミュニケーション力も、ぐんぐん育っていく。
これは、私自身実感としても強く感じています。
なんなら、おしゃべりできない時期の方が
ちゃんと一人の人として向き合えてたかもしれない(苦笑)
③ 親のレベルで育てない。親子で一緒に進化する
「親のレベルで子育てをするのではなく、親子で共に進化する」
この言葉にも、私自身、何度も頷きました。
正直にいって
自分が知っている言葉や知識なんて、本当にちっぽけ。
だから私は、
-
絵本から言葉や世界を広げてもらう
-
家庭だけでは得られない体験を、外の世界でさせてもらう
-
周りの人に、たくさん助けてもらう
そんな環境づくりを意識してきました。
子育ては、ひとりで頑張るものじゃない。
周りに頼ることこそが、親子の成長につながると感じています。
子どもは、親を成長させてくれる存在
振り返ると、
わが子のおかげで、私自身が大きく成長させてもらったと心から思います。
「生きたい!」
「知りたい!」
「仲間になりたい!」
この3つの本能を信じて、
子どもという存在に感謝しながら、
これからも笑顔で子育てを続けていけたらいいですね。
※この記事では、林成之先生のメッセージをもとに
「3歳までの育脳・3つのポイント」をイラスト化した図もあわせて掲載しています。








