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2026.06.08ベビーサインが必要とされる場所は、私が思っていたよりずっと広かった

先日、「病児の遊びケア・フォーラム」にベビーサイン協会として出展してきました。

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今回お声がけいただいたのは、東京おもちゃ美術館で長くベビーサインを伝えてくださっているレジェンドベビーサイン講師陣=福田さん、市川さん、堀江さんたちのおかげです。いつもありがとう~

 

当日は新人講師さん2名も手伝いに来てくれ、たくさんの方がブースに足を止めてくださいました。

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私は20年以上、ベビーサインの普及活動を続けています。

その中で、

「話し言葉が出る前の赤ちゃんとのコミュニケーション」

としてベビーサインを伝えてきました。

 

でも今回のフォーラムで改めて感じたのは、

ベビーサインが必要とされる場所は、私が思っているよりもずっと広いのかもしれない

ということでした。

 

支援施設を運営されている方がブースに来てくださり、

「こういうコミュニケーション方法を探していたんですよ」

と声をかけてくださいました。

 

また、あるお父さんは、

「最近、この子の中に『何かしたい!』という気持ちがたくさん出てきているんです。でも、それを読み取ってあげるのに限界を感じていて……」

と話してくださいました。

 

もちろん、病気や障害の状態によってはベビーサインでのコミュニケーションが難しいケースもあります。

ベビーサインが万能だとは思っていません。

 

でも、

『知っている』

ことと、

『知らない』

ことの差は大きい。

 

もしかしたら使えるかもしれない。

もしかしたら親子の助けになるかもしれない。

そんな選択肢の一つとして存在を知ってもらうことに大きな意味があると感じました。

 

ベビーサインは赤ちゃんのためだけのものではないのかもしれません。

伝えたい気持ちがある。

でも言葉では難しい。

そんな場面は、私たちが思っている以上にたくさんあります。

 

医療の現場。

福祉の現場。

支援の現場。

そして家庭の中。

 

今回のフォーラムは、そんなことを改めて考えさせてくれる機会になりました。

20年以上活動を続けてきても、

まだ出会えていない人がいる。

まだ届いていない場所がある。

だからこそ、これからもまずは知ってもらうことを大切にしていきたいと思います。

 

ちなみに当日は行きも帰りも曇り空だったのに、なぜか富士山の全景が見えました。

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新しいご縁の始まりを応援してもらったような気がしています。

ベビーサインが必要な人に、必要なタイミングで届く。

そんな未来につながる一日でした。

2026.06.04「“おしまい”がわかると、子どもは落ち着く」

0・1・2歳児保育を考える
― 小さな人を尊重する保育 ―

 

「まだ遊びたい!」

そんな子どもの声が聞こえてきそうな場面は、保育現場でも家庭でも毎日のようにありますよね。

 

おもちゃで遊んでいたのに片付けの時間になった。

公園で楽しく遊んでいたのに帰る時間になった。

絵本を読んでいたのにお昼寝の時間になった。

 

大人にとっては当たり前のことでも、子どもにとっては大事件です。

特に0・1・2歳の子どもたちは、まだ時間の感覚が十分に育っていません。

時計を見て行動することもできませんし、「あと5分ね」と言われても、その意味を理解することは難しいでしょう。

 

だから突然、

「おしまい!」

と言われると、

「なんで?」
「まだやりたい!」

という気持ちになってしまうのです。

 

そして時には、

泣く。
怒る。
床に寝転がる。

そんな姿につながることもあります。

 

でも私は、こうした場面を見ていると、

「切り替えが苦手」

なのではなく、

「まだ終わることが理解できていない」

だけなのかもしれないと思うのです。

 

実際、ベビーサインを取り入れている保育園では、【おしまい】のサインがとてもよく使われています。

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開いた両手をすぼめながら、下に下ろします。日本手話です。

 

この手の動きを添えて

「おしまいだよ」

「ご飯、おしまい」

「お片付けして、おしまい」

と毎日繰り返し伝えていきます。

 

最初はもちろん、子どもたちも意味がわかりません。

でも繰り返し見ているうちに、

「あ、このベビーサインが出ると終わるんだな」

ということが少しずつわかってきます。

 

すると不思議なことに、

気持ちの準備ができるようになってくるのです。

 

私はベビーサインの大きな役割の一つは、

「見通しを伝えること」

だと思っています。

 

大人だってそうですよね。

何も知らされずに会議を終わらされたり、

急に予定変更されたりすると戸惑います。

 

でも、

「あと10分で終わります」

「次はこれをします」

とわかっていると安心できます。

 

子どもたちも同じです。

むしろ、経験が少ない分だけ、見通しが持てることは大人以上に大切なのかもしれません。

 

最近は発達支援の現場でも、

「見通し」

「予測可能性」

「安心して過ごせる環境」

の重要性がよく語られています。

 

私は、その考え方はすべての子どもたちに共通するものだと思っています。

 

ベビーサインの【おしまい】は、

単に活動を終わらせるための合図ではありません。

「次に進む準備をするためのサイン」

なのです。

 

そしてもう一つ、私は【おしまい】には大切な意味があると思っています。

それは、

「終わることを受け入れる経験」

です。

 

人生には、

終わる遊びがあります。

終わる時間があります。

終わる出来事があります。

 

だからこそ、

終わることを知り、
受け入れ、
次へ進む。

その小さな練習を、子どもたちは毎日の生活の中で繰り返しています。

 

【おしまい】のサインは、その手助けをしてくれるのです。

保育とは、

子どもを思い通りに動かすことではありません。

子どもが安心して次の一歩を踏み出せるよう支えること。

私はそう思っています。

 

だから今日も、

「おしまいだよ」

と伝えながら、

子どもたちの小さな心の準備を待ちたいと思うのです。

 

ベビーサインを保育園に取り入れるには???
以下からご覧いただけます。

https://www.babysigns.jp/hoiku

2026.06.01「ちょうだい」で嬉しそうに渡してくれる理由。研究を読んで思ったこと

先日、とても興味深い研究を見つけました。

 

2歳くらいの子どもは、自分が何かをもらう時よりも、誰かに何かをあげる時の方が幸せそうな表情を見せるという研究です。

「えっ、本当?」

って実は思ったんですけどね。

 

だって子どもって、「ちょうだい」と言われると嫌がることもありますよね。

でも研究を読みながら、私はベビーサイン教室で何度も見てきた光景を思い出しました。

ベビーサインでは「どうぞ」を教えていません

実はベビーサインには、教えるといいよっていうベビーサインと教えなくてもいいベビーサインがあります。

 

例えば【ちょうだい】は教えます。

でも【どうぞ】や【あげる】は教えていません。よく聞かれるんですけど・・・

 

教えなくてもいい理由は、手に持っているものを相手に差し出せば、それだけで意味が伝わるからです。

わざわざベビーサインとして覚えなくても、行動そのものが「どうぞ」になっているのです。

「ちょうだい」をすると嬉しそうに渡してくれる

教室でよくある場面があります。

赤ちゃんがおもちゃや積み木を持っています。

 

そこで私たちが【ちょうだい】のベビーサインを見せながら、
(両手のひらを重ねて、とんとんとするジェスチャーです)

「ちょうだい」

とお願いしてみます。

 

すると、

「はい!」

と言わんばかりの笑顔で渡してくれることがあるのです。

 

もちろん毎回ではありません。

大好きなおもちゃなら断られることもあります(笑)。

 

それでも、得意そうな顔で手渡してくれる子は本当にたくさんいます。

私は長い間、

「大人とのやり取りが楽しいんだろうな」

くらいに思っていました。

 

でも今回の研究を読んで、

もしかしたらそれだけではないのかもしれない

と思ったんです。

人を喜ばせることが嬉しいのかもしれない

研究者たちは、

「褒められたから嬉しい」

「言われた通りにできたから嬉しい」

だけでは説明できないことを示しています。

 

もしかすると子どもたちは、

誰かに何かを渡すことそのものに喜びを感じているのかもしれません。

そう考えると、教室で見てきたあの笑顔も違って見えてきます。

 

赤ちゃんは「渡したい」という気持ちがあって、

そしてその行為そのものを楽しんでいたのかもしれません。

でも、2歳になると急に貸せなくなることもあります

ここで、

「でも2歳頃って急に貸してくれなくなりますよね?」

と思った方もいるかもしれません。

 

その通りです。

1歳の頃は平気で渡していたのに、

2歳を過ぎたあたりから

「イヤ!」

「ぼくの!」

「わたしの!」

が増える子もいます。

 

これは社会性が育っていないからではありません。

むしろ発達の中ではとても大切な過程です。

子どもはこの時期、

「自分」という存在を育てています。

 

自分で決めたい。

自分でやりたい。

これは自分のもの。

 

そんな気持ちがぐんぐん育つ時期なのです。「自分のもの」がわかるから、やがて分け合える

考えてみれば当たり前のことかもしれません。

 

「これは私のもの」

という感覚がなければ、

「貸してあげる」

もできません。

 

まずは自分のものとして大切にする経験が必要です。

そしてその先で、

友達と一緒に遊ぶ楽しさを知り、

順番を待つことを覚え、

協力する喜びを経験していきます。

 

幼稚園や保育園は、まさにそんな経験の場でもあります。

だから私は、

1歳の頃の「どうぞ」と、

2歳の頃の「イヤ!」は、

矛盾しているようで実はつながっていると思っています。

 

どちらもその子にとって必要な発達の姿なのです。

赤ちゃんは思っている以上に社会的な存在

今回の研究が教えてくれたのは、

人に何かを与える喜びの芽が、とても早い時期から見られるということです。

 

そして発達の過程では、

その芽が見えやすい時期もあれば、

「自分」を育てるために少し見えにくくなる時期もあります。

 

それでも子どもたちは、

人とつながりたい気持ちや、

誰かを喜ばせたい気持ちを持ちながら成長していきます。

 

ベビーサインを通して赤ちゃんたちを見ていると、

赤ちゃんは私たちが思っている以上に社会的な存在なんだなと感じます。

 

「ちょうだい」で嬉しそうに渡してくれたあの笑顔。

あの中には、

人と気持ちを通わせる喜びが詰まっていたのかもしれませんね。

ベビーサインの情報がぎゅっと詰まった1冊はこちら

ベビーサイン図鑑

研究論文はこちらです。

2026.05.28“やって!”が言えた子は、なぜ泣かなくなるのか

0・1・2歳児保育を考える
― 小さな人を尊重する保育 ―

 

1歳くらいの子どもたちは、
「自分でやりたい!」という気持ちがどんどん育ってきますよね。

 

スプーンを持ちたい。
靴を履きたい。
ズボンをはきたい。

でも、まだうまくできない。

 

やりたい。
でも、できない。
(正直、大人からすると面倒な時期・・・)

 

この時期の子どもたちは、
そんな“もどかしさ”の真っ最中にいます。

 

そして「やりたい」という気持ちも
「もどかしい」というその気持ちも、
まだうまく言葉では伝えられません。

するとどうなるか。

 

泣く。
怒る。
ひっくり返る。
物を投げる。

 

大人から見ると、
「急に機嫌が悪くなった」
ように見えるときもあれば、
「あーまた始まった・・・」
って感じるときもありますよね。

 

でも実はその奥に、

「困った」
「できない」
「助けてほしい」

という言葉にはできないけど、
気持ちが隠れているんですよね。

 

以前、ある保育園でこんな場面がありました。

 

1歳の男の子が、
ズボンをはこうとしていました。

でも足がうまく入らない。

何度もやり直す。
引っ張る。
座り直す。

 

少しずつ表情が曇っていきます。

以前なら、
ここで泣いていたかもしれません。

 

でもその時、
その子は先生を見て、

 

胸をトントン。

【やって】のベビーサインをしたそうです。

 

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すると先生が、

「先生が【やって】あげようか」

と笑顔でお手伝い。

 

男の子もホッとした表情になったそうです。

 

この【やって】というベビーサイン、
保育には是非取り入れて欲しいベビーサインの1つなんです。

 

なぜならそこには、

「困った時は、助けてもらっていい」

という安心感があるから。

 

乳児期の子どもたちは、
困っていても、
その気持ちをうまく外に出せません。

 

だから、
泣くことでしか伝えられないこともあります。

 

でも、

「やって」
「手伝って」

が伝えられるようになると、
子どもたちは驚くほど穏やかになることがあります。

 

そして大人もまた、

「困ったときに助けてあげる」

という「見守る」保育を
安心して行うことができるようになるんです。

 

私は、
乳児保育において大切なのは、

“泣かせないこと”

ではなく、

「困った時に、助けを求められること」

なのではないかと思っています。

 

それはきっと、
これから先の人生にもつながる力です。

 

一人で抱え込まず、
誰かを頼ること。

 

「できない」
を伝えられること。

 

「助けて」
と言えること。

 

その小さな第一歩が、
まだ言葉にならない時期から育っている。

 

そう考えると、
ベビーサインは単なるコミュニケーションの道具ではなく、

“安心して人を頼れる世界”

を作るための、
ひとつの入り口なのかもしれません。

2026.05.24指さしで十分じゃなかった理由

0・1・2歳児保育を考える
― 小さな人を尊重する保育 ―

 

「ジェスチャー、アイコンタクト、指さしでも十分だと思っていましたが、興味深くお話を聞かせていただきました」

 

これは、ある保育士さんからいただいた感想です。

 

実際、赤ちゃんたちは、
指をさしたり、
「あっ!」と声を出したり、
表情を変えたりしながら、
たくさんのことを伝えてくれています。

 

だから私たち大人は、

「ちゃんと見ていればわかる」

と思うんですよね。

 

もちろん、それはとても大切なことです。

赤ちゃんを見る。
表情を読む。
気持ちを想像する。

乳児保育において、
その姿勢は欠かせません。

 

でも、ベビーサインを通して感じるのは、

“わかろうとする”

ことと、

“通じ合う”

ことは、
少し違うのかもしれない、ということです。

 

例えば、
子どもが何かを指さした時。

大人は、その指さしの先にあるもの、
例えば

 

「わんわんだね」
「車だね」

 

と返します。

でもそれが本当に、

「見て!」
なのか、

「好き!」
なのか、

「怖い」
なのか、

「もっと見たい」

なのかは、
実はわからないこともあります。

 

私たちは、
子どもの気持ちを想像しながら関わっています。

 

でも時々、
“わかったつもり”
になってしまうこともあるのかもしれません。

 

以前、こんな感想をいただきました。

「子どもから出てくるいろんな気持ちや言葉を、理解しているつもりになっていたり、自分の解釈で済ませようとしていたなぁと思いました」

 

私はこの言葉に、
「そうそう!そういうところに気づいて欲しかったんですよ!」
って熱く感じた事を覚えています。

 

ベビーサインがあると、
子どもたちは、目の前に指さすものがなくても、
伝えることができるようになります。

 

それは、昨日のお散歩で見かけた【猫】かもしれないし、
おうちで食べておいしかった【おやつ】の事かも知れません。

 

今、どうして欲しいのかだけじゃなくて、
子どもたちはおしゃべりできなくても、
もっともっと、いろんな考えが
頭の中を巡っているんです。

 

ベビーサインがあることで、大人は、

「そういうことだったんだ!」

と、
初めて子どもの本当の気持ちに気づくことがあります。

 

つまりベビーサインは、
大人が“読み取る”ためだけのものではなく、

 

子ども自身が、
「ぼく・わたしはこう思っているよ」
と伝えるための道具でもあるのです。

 

ここに私は、
とても大きな意味があると思っています。

 

保育では、
大人が先回りしてしまうことがあります。

 

でも本当は、
子どもにも“伝える力”がある。

 

そしてその力は、
まだ言葉にならない時期から、
ちゃんと育っている。

 

だから私は、
乳児保育とは、

“お世話”

だけではなく、

“小さな人との対話”

なのだと思っています。

 

ベビーサインは、
その対話を、
少しだけ見えやすくしてくれる道具なのかもしれません。

2026.05.23“ベビーサインなんて…”と思っていました

0・1・2歳児保育を考える
― 小さな人を尊重する保育 ―

 

「今まで“ベビーサインなんて…”と思っていました。でも全然違いました。ごめんなさい。もっと広めてください!!」

 

これは、ある保育士さんが研修後にくださった感想です。

この言葉、正直すぎて私、ちょっと笑ってしまったんですよね。

実はベビーサインには、たくさんの“誤解”があるからです。

 

「手話みたいなこと?」
「特別な教育?」
「言葉が遅れるんじゃない?」
「そんなことしなくても、ちゃんと育つでしょう?」

 

そう思われることも少なくありません。

でも実際に体験した方たちからは、

「思っていたものと全然違った」

という声を本当によくいただくのです。

 

私自身、ベビーサインの本質は、

「言葉を伝えようとする時間」

そのものです。

 

ベビーサインでは、
必ず声をかけながら手を動かします。

 

【もっと】なら、

「もっと食べたいのかな?」
「もっとやりたい?」

 

【おしまい】なら、

「もうおしまいだよ」
「あと3回やったらおしまいね」

 

つまり、
“手だけ”ではなく、
言葉も、表情も、アイコンタクトも、一緒に使う。

 

だから実際には、
コミュニケーションの量がとても増えるのです。

 

以前、こんな感想もいただきました。

「教え込むというのではなく、自然と話し言葉に手の動きをつけてコミュニケーションをとる方法だと知り、“よかった!これならできるかな!?”と思いました」

この“自然と”という感覚は、とても大切だと思っています。

 

ベビーサインは、
何かを早くできるようにするためのものではありません。

 

“教育”というよりも、子どもたちを前にして、
大人が

「あなたともっと通じ合いたい」

と思い、それを可能にする
コミュニケーションの道具なのです。

 

そして不思議なことに、
大人がそうやって関わり始めると、
子どもたちも少しずつ、

 

「伝えたい」
「わかってほしい」

 

という気持ちを返してくれるようになります。

それは、
大人が一方的に教える世界ではなく、

子どもも“対話の相手”になっていく時間。

 

だから私は、
ベビーサインは特別なものではなく、

“人と人が通じ合うための、とても自然なコミュニケーション”

なのだと思っています。

2026.05.19“語りかけだけで十分”だと思っていました

0・1・2歳児保育を考える
― 小さな人を尊重する保育 ―

 

「私は子育ての経験があるので、子どもの表情を見て、語りかけだけで十分だと思っていました」

これは、ある保育士さんが研修後に話してくださった言葉です。

 

実は、こう感じている方はとても多いのではないかとわたしは思うんです。

 

赤ちゃんは、
泣く。
笑う。
指をさす。
表情を変える。

 

だから、

「ちゃんと見ていればわかる」
「言葉にならなくても通じている」

そう思いますよね。

 

もちろん、それは間違いではありません。

赤ちゃんは、表情やしぐさでたくさんのことを伝えてくれています。

 

でも、ベビーサインを取り入れた保育士さんたちから、よくこんな声をいただくのです。

「赤ちゃんって、こんなに“わかっていた”んですね」

と。

 

大人はつい、
“まだわからない”
“まだ小さい”
と思ってしまいます。

 

でも実際には、赤ちゃんたちは毎日、大人の言葉を驚くほど吸収しています。

 

そしてベビーサインがあれば
ある日突然、
その理解していた世界が、
小さな手の動きとなって返ってくる。

 

「もっと」
「おしまい」
「痛い」
「やって」

 

まだおしゃべりができなくても、

“自分から伝えようとする”

その姿に、多くの保育士さんたちが驚かれます。

 

ベビーサインの魅力は、
単に「便利」ということではありません。

 

私は、

「赤ちゃん側からコミュニケーションが返ってくる」

ここに大きな価値があると思っています。

 

保育では、大人からの働きかけが中心になりがちです。

「ご飯食べようね」
「おむつ替えようね」
「お片付けしようね」

でも、ベビーサインが入ると、
そこに“子ども側からの発信”が増えていきます。

 

すると保育士さんたちも、

「この子、こんなこと考えてたんだ」
「今、こう感じてたんだ」

と、子どもを見る目が変わっていくのです。

 

以前、
こんな感想をいただいたことがあります。

「子どもの気持ちを理解している“つもり”になっていたかもしれません」

この言葉は、とても印象に残っています。

 

乳児保育は、
“できない子のお世話”
ではありません。

 

まだ言葉にならない思いを受け取りながら、
一人の人として関わっていく時間なのだと思います。

 

だから私は、
ベビーサインは「無駄」でも「芸」でもなく、

“小さな人との対話”

に必要な道具なのだと思っています。

こちらの「わかったつもり」を
「わかってあげられた!」の確信にかえてくれるもの、
それがベビーサイン。

2026.05.180歳児保育に“対話”は必要ですか?

0・1・2歳児保育を考える
― 小さな人を尊重する保育 ―

 

「まだ話せないから、わからないよね」

 

わたしたちは0歳や1歳の子どもたちに、無意識にそんな言葉をかけてしまうことがありませんか?話せなくてもわかってるって思った方がいいんだろうけど、でも、つい、口から出てくる言葉が「話せないからわかってないよね・・・」って。

 

でも、

泣く。
笑う。
手を伸ばす。
嫌がる。
顔をそむける。

 

言葉になっていないだけで、赤ちゃんたちは毎日たくさんの「気持ち」を発信していますよね。

 

私は20年以上、ベビーサインを通して、まだ言葉を話せない赤ちゃんたちと関わってきました。そしてその中で、何度も感じてきたことがあります。

 

それは、

「赤ちゃんは、わたしたち大人の想像以上に“伝えたい”と思っている」

ということです。

 

現在、全国約130園の保育施設でベビーサインが導入されています。

導入のきっかけはさまざまですが、多くの園で共通して聞かれるのが、

「子どもたちが穏やかになった」
「保育士が子どもの気持ちを受け取りやすくなった」
「保護者との会話が増えた」

という変化です。

 

ベビーサインというと、「かわいいしぐさ」をイメージされる方も多いかもしれません。

もちろん、小さな手を一生懸命動かす姿は本当に愛らしいです。

でも、私はベビーサインの本当の価値は、そこではないと思っています。

 

それは、

「あなたの気持ちを受け取りたい」

というメッセージを、大人が子どもに伝え続けること。

 

例えば、ベビーサインがあれば
ご飯のおかわりが欲しい時に【もっと】。

転んでしまった時に【痛い】。

困った時に【やって】。

 

こうした発信を子どもから受け取ってあげることが可能になります。そして、子どもたちは少しずつ、

「伝わるって嬉しい」
「わかってもらえるって安心する」

という感覚を育てていきます。

 

そう!ベビーサインがなくても、こちらの都合でわかってあげることはある程度できるんです。
でも、それは「子ども発信」ではありません。

私は、乳児保育においては、察して読み取る以上に、おしゃべりができない時期だからこそ、“対話”が必要ではないかと思うのです。

 

まだ話せない。
でも、ちゃんと気持ちはある。

だからこそ、0歳児保育にも双方向の「対話」は必要なのではないでしょうか。

 

忙しい保育現場では、どうしても「安全に過ごす」「時間通りに動く」が優先されがちです。

もちろん、それも大切です。

でもその中で、

「この子は、今なにを感じているんだろう」

と考えながら関わることで、子どもたちから、今、まさに感じていることを手を使ってコミュニケーションしてくれる。それは、きっと保育をもっと豊かにしてくれるのではないかと思っています。

 

ベビーサインは、単なるコミュニケーション技法ではありません。

 

小さな人を、一人の人として尊重するための“まなざし”なのです。
おしゃべりできない時期でも、伝え合える「手段」=「ベビーサイン」を与えてあげることで、対等に伝え合える。
これこそが一人の人として尊重する第一歩ではないでしょうか?

2026.05.14要求言語と育児支援

「要求言語」がつらく感じた理由

〜“言わせる”より前に、大切なことがある〜

 

最近、子育てや保育、発達支援の世界で
「要求言語(ようきゅうげんご)」
という言葉を見かけるようになりました。

 

簡単にいうと、

 「泣く・ぐずる」
ではなく
「言葉で要求を伝えられるようにする」

という支援です。

 

たとえば、

「ジュースほしいなら、なんて言うの?」
「“ちょうだい”って言えるかな?」

という関わり。

 

実はこれ自体は、悪い考えではありません。

 

むしろ、

✔ 子ども自身が伝えやすくなる
✔ 癇癪やストレスが減る
✔ コミュニケーション力が育つ

という目的があります。

 

実際、発達支援の現場でも“要求”を教えることは、コミュニケーション発達の重要な土台だとされています。

 


でも、見ていて苦しくなった

私がXで見かけた投稿は、こんな内容でした。

 

「察してやってあげることで成長の芽を摘む」
「要求言語を教えないと、グズればやってもらえると学習する」
「“泣いて要求”から“言語で要求”へ移行させる」

 

言いたいことはわかる。

でも…

読んでいて、なんだか苦しくなったんです。

 

なぜなら、

まだ話せない子に対して
“言葉で言わせる”ことが目的になっているように感じたから。

 


言えない子は、どうしたらいいの?

赤ちゃんや、赤ちゃんではなくても言葉がまだ未熟な子は、

伝えたい気持ちはある
でも、言葉にできない

この状態です。

 

そんな時に、

「なんて言うの?」
「言わないと分からないよ」

と言われ続けたら…。

 

それは“学び”というより、

伝わらない苦しさ
分かってもらえない不安

になってしまうこともあります。

 


本来の「要求言語」は、もっとやさしい

本来、要求言語の支援は、

❌ 言えるまで与えない
ではなく、

⭕ 大人が“言葉を添えて橋渡しする”

もの。

 

たとえば、

「ジュース飲みたいんだね」
「もっと欲しいね」

と、大人が気持ちを代弁してあげる。

 

つまり、

“言わせる”ではなく
“伝わる経験を増やす”

ことが大事なんです。

 


ここでベビーサインが自然につながる

そして私は、ここにこそ
ベビーサインの意味があると思っています。

 

だって、

まだ話せない赤ちゃんはもちろん、
話し言葉がまだ未熟な子どもに
“言葉で言って”は難しい。

 

でも、

ベビーサインなら伝えられる

から。

 


「泣く」と「言葉」の間を埋めるもの

要求言語の世界では、

「泣いて要求」

「言葉で要求」

への移行を目指します。

 

でも、その間に

「ベビーサインで要求」

というステップがあったら?!

 

子どもたちは、

「もっと」
「おしまい」
「飲みたい」

を、自分で伝えられる。

 

すると、

 “伝わった!”
“わかってもらえた!”

という成功体験が積み重なります。

 

大事なのは「言わせること」じゃない

コミュニケーションの本質って、

「正しい言葉を言うこと」ではなく、

 

“自分の気持ちが相手に伝わる”

 

ことなんですよね。

 

そして、その積み重ねが、
やがて言葉につながっていく。


子どもたちにも「伝える権利」がある

まだ話せないからって、

「分からない」わけじゃない。

 

赤ちゃんにも、言葉が未熟な子どもたちにも

伝えたい気持ち
分かってほしい思い

ちゃんとある。

 

だから私は、

“言葉の前のコミュニケーション”

を、もっと大事にしたいなと思うのです。

 

詳しくは「ベビーサイン図鑑」で!

2026.04.28イヤイヤ期楽勝!受講生の声

0・1・2歳 頭と心と体を育てる

ベビーサイン教室

ベビーサイン協会代表理事
ベビーサイン®の専門家
吉中みちる
です。

 

ベビーサイン教室を受講して下さった方の声をまとめると、「やってよかった!!!」って事ばかり!

 

何が?

どうして?

具体的なポイントをリール動画でまとめました。

 

ベビーサインのおかげで・・・

イヤイヤ期を穏やかに乗り越えるヒントを、講座でわかりやすくお伝えしています。

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