2026.07.23「歌うと頭が良くなる」は本当?──最新研究が教えてくれた、音楽と乳児の脳発達の本当の関係
赤ちゃんが泣くと、自然に子守歌を歌ってしまう。
手遊び歌を歌いながら、おむつを替える。
「いないいないばあ」を歌うように楽しむ。
きっと世界中の親が、昔から当たり前のようにやってきたことですよね。
でも、なぜ歌うんだろうって改めて考えたことってありますか?
なんか歌を歌ったら、泣いたりぐずっていた赤ちゃんがご機嫌になるから?そんな漠然として経験が、私の中ではあるんですが、皆さんはどうでしょうか?
もしかしたら、「音楽は脳にいいから。」
そんな話を聞いたことがある方もいるかもしれませんね。
実は最新の乳幼児発達研究では、少し違うことが分かってきています。
大切なのは音楽そのものではなく、
親子がリズムを共有することだったのです。
赤ちゃんは「リズム」で人とつながっている
赤ちゃん向けに歌うとき、私たちは自然と
・ゆっくり歌う
・表情が豊かになる
・リズムを大きく取る
・体を揺らす
・赤ちゃんの目を見ながら歌う
そんな歌い方になりませんか?
これは世界中の文化に共通して見られる「Infant-directed singing(赤ちゃんへの歌いかけ)」と呼ばれるものです。
2022年の研究では、生後2か月頃の赤ちゃんでも、歌のビートに合わせて保護者の目を見るタイミングが同期することが示されました。
さらに保護者自身も、歌のリズムに合わせて笑顔や視線、表情を変化させていました。
つまり歌は、「音」を届けているのではなく、
親子のコミュニケーションをリズムで支えていたんですね!
リズムは「次に何が起こるか」を予測する練習になる
私たちの脳は、リズムを聞くと、
「次はこんな音が来る」
と自然に予測していますよね。音程を上げた下げたりするタイミングを予測しながら聞いているし、歌っていますよね。
実はこの予測する力は、言葉を覚える時にも使われています。
2025年に発表されたレビューでは、乳児期のリズム処理は音楽だけでなく、言語発達とも深く関係していることが整理されています。
赤ちゃんはリズムの規則性を手がかりに、音の流れを理解し、言葉のまとまりを少しずつ学んでいくと考えられています。
「聞かせる」より「一緒に歌う」
ここで大切なのは、
クラシック音楽を流すことではありません。
高価な音楽教材でもありません。
研究が注目しているのは、
親子が一緒に歌うこと。
顔を見て、
笑って、
手をたたいて、
体を揺らして、
同じリズムを共有することです。
2024年のシステマティックレビューでも、乳幼児期の音楽的なやり取りを調べた研究では、「同期(Synchrony)」が最も重要なキーワードの一つとして繰り返し報告されています。
ベビーサイン教室で、私たちが歌を大切にしてきた理由
私は20年以上、ベビーサイン教室で歌を取り入れてきました。
もともとは、1時間半という教室の時間を埋めるための「ネタ」が欲しかった・・・という切羽詰まった理由ですが(笑)
世界中に数ある手遊び歌で、著作権が切れているものを選んで、その音階を使って、ベビーサインが使えるような歌詞をオリジナルで主人と考えたのが、今、教室で使っているベビーサイン手遊び歌の原型です。
手前みそですが、これが赤ちゃんたちに大人気なんですよ。
もちろん、お歌を歌ってくれているベビーサイン講師でもある「ままちゃん」の声の魅力もあるんですが、このお歌を聴かせるだけで、ご機嫌がなおる赤ちゃん続出なんです。
お教室でもお歌が始まると、赤ちゃんと保護者は自然と顔を見合わせます。
笑顔になります。
手が動きます。
リズムを共有します。
その時間には、「教える・教わる」ではなく、「一緒に楽しむ」という空気があります。
今振り返ると、私たちが大切にしてきたのは、まさに研究でいう「Synchrony(同期)」だったのかもしれません。
今日からできること
歌が上手である必要はありません。
音程が外れていても大丈夫。
大切なのは、一緒に楽しむことです。
・おむつ替えのときに歌う
・抱っこしながらゆっくり揺れる
・手遊び歌を楽しむ
・赤ちゃんの声に合わせて歌い返す
そんな何気ない時間が、親子の心をつなぎ、赤ちゃんの学びの土台を育てているのです。
今回紹介した主な研究
-
Hilton, C. B. ら(2022)
Music of infant-directed singing entrains infants’ social visual behavior.
Proceedings of the National Academy of Sciences.
DOI: 10.1073/pnas.2212139119
PMID: 36322755 -
Cavero, B. ら(2024)
Let’s make music as we normally do: A systematic review of early natural musical interactions between infant and caregiver.
Infant Behavior and Development. -
Ladányi, E. ら(2025)
Rhythm Processing Across Development: Origins, Links to Language Processing, and Perspectives for Intervention.
Annals of the New York Academy of Sciences.
DOI: 10.1111/nyas.70161
PMID: 41400590
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