2026.06.04赤ちゃんの気持ちを測る体温計があったらいいのに
赤ちゃんが熱を出したとき。
親は心配になりますね。
でも、体温計を脇にはさんでみると、
「38.5℃」
という数字が表示されます。
高熱なら高熱で心配です。
けれど、少なくとも今何が起きているのかは分かります。
だから次に何をすればいいのか考えられます。
病院へ行こう。
水分を取らせよう。
少し様子を見よう。
判断材料があるからです。
ところが育児には、体温計のように数値化できないことがたくさんあります。
赤ちゃんが泣いている。
でも理由が分からない。
お腹が空いたのかな?
眠いのかな?
暑いのかな?
怖かったのかな?
それとも、ただ抱っこしてほしいだけなのかな?
親は必死に考えます。
抱っこしてみる。
おむつを替えてみる。
ミルクをあげてみる。
それでも泣き止まないこともあります。
そんなとき、
「何で泣いているの?」
と途方に暮れた経験がある方も多いのではないでしょうか?
実は、育児の大変さの多くは、この
「分からないこと」
から生まれます。
熱があることより、
理由が分からないことの方が不安なのです。
私は20年以上、ベビーサインの普及活動を続けてきました。
その中でたくさんのご家庭を見てきましたが、
ベビーサインの価値は、
赤ちゃんが賢くなることでも、
語彙が豊富になることでもありません。
もちろん、それらもあとから付いてくるんですが・・・
でも本質は別のところにあります。
それは、
赤ちゃんに「泣く」以外の伝える手段を渡してあげること。
例えば、
「もっと」

「おしまい」

「おっぱい」

「いたい」

「ねんね」

そんなベビーサインを使って、
赤ちゃん自身が気持ちや要求を伝えられるようになるのです。
わが家の娘のエピソード。
車に乗っているときにはよくCDで音楽をかけていたのですが、音楽が流れているのに、ずっと【音楽】のベビーサインをすることがあって。実はCDを聞きたいのではなく、私に「生歌」を歌って!というリクエストで、このベビーサインを使っていたんです。
ドライブ中、ずっと歌を歌っていた私は大変だったけど、これは単なる可愛いエピソードなんかじゃなくて、
赤ちゃんの中には、
私たちが思っている以上に豊かな気持ちや考えが存在している。
そのことを教えてくれる出来事だな~と改めて思ったんです。
言葉を話せないからといって、
伝えたいことがないわけではありません。
むしろ、
伝えたいことはたくさんあるのに、
伝える方法がない。
それが赤ちゃんの世界なのです。
ベビーサインは、
赤ちゃんの気持ちを完璧に読み取る魔法ではありません。
赤ちゃんの気持ちを100%理解できる体温計でもありません。
それでも、
親子の間に一本の細い通信回線をつないでくれます。
「もしかして、こう言いたかったのかな」
「伝わったね」
そんな小さな成功体験が増えていきます。
そして、その積み重ねが親子の信頼関係を育てていくのです。
私は時々思います。
育児が大変なのは、
赤ちゃんが泣くからではなく、
その理由が分からないからなのかもしれない、と。
だからこそ私は、
赤ちゃんが言葉を話せるようになるのを待つのではなく、
話せない時期から対話を始められるベビーサインを伝え続けています。
赤ちゃんの気持ちを測る体温計はありません。
でも、
赤ちゃんの「伝えたい」を受け取る方法ならあります。








