2026.06.27ご褒美をあげると、やる気がなくなる? ― アンダーマイニング効果とは
前回の記事では、アメリカの経済学者ローランド・フライヤー氏の研究をご紹介しました。
「テストで良い点を取ったらご褒美」よりも、「本を1冊読んだらご褒美」の方が学力向上につながった、という研究です。
フライヤー氏の研究が教えてくれたのは、子どもは結果よりも、具体的な行動の方が取り組みやすいということです。
「90点取りなさい」と言われても、何をすればいいのかは分かりません。
でも、「今日は本を1冊読もう」なら、今すぐ始められます。
子どもは、自分でコントロールできる行動には取り組めても、結果そのものをコントロールすることはできないのです。
では、ここでこんな疑問が浮かびます。
「だったら、子どもにしてほしい行動には、何でもご褒美をつければいいのでしょうか?」
実は、そう単純ではありません。
心理学には、「アンダーマイニング効果」と呼ばれる現象があります。
これは、もともと楽しくてやっていたことに外からご褒美を与え続けると、その楽しさが薄れてしまうことがあるというものです。
例えば、本が大好きな子がいたとします。
毎日のように、自分から本棚へ向かい、「今日は何を読もうかな」とワクワクしながら本を選んでいる。
そんな子に、
「1冊読んだら100円あげるね。」
と言い続けたら、どうなるでしょう。
もちろん、すぐに本嫌いになるわけではありません。
でも、少しずつ「本が好きだから読む」よりも、「100円もらえるから読む」という気持ちが大きくなる可能性があります。
そして、ご褒美がなくなったとき、
「あれ?今日は100円もらえないなら読まなくてもいいかな。」
そんな気持ちが生まれてしまうこともあるのです。
つまり、注意したいのは、ご褒美そのものではありません。
子どもが行動する理由が変わってしまうことです。
「楽しいからやる。」
「知りたいからやる。」
「面白いからやる。」
そんな気持ちは、子どもが生涯にわたって学び続けるための大切な原動力です。
自分の子育てを振り返ると、何も言わなくても自分から取りかかっていることには、わざわざご褒美ってあげなかったなと思い出します。娘は時間さえあれば、本を読んだり、絵を描いたりしてました。
読書感想文で賞をとるために本人が読みたいと思わない本を読ませるとか、絵画のコンクールとかに挑戦させたいから、本人が描きたくない絵を描かせるとか、そんな親の勝手な「都合」が入ってくると、ご褒美が必要になってくるんでしょうかね?
そして、そんな事をしてしまったら、それこそ、読書も絵を描くことも嫌いになってしまうんでしょうね。
そうでなかったら、勝手に黙々と集中してやっていることに、ご褒美をあげる大人ってまずいないのでは?って書きながらいろいろ考えてしまいました。皆さんはどうでしょうか?








