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2026.07.30「3000万語の格差」は、本当に「たくさん話しかけること」で解決なの?

「赤ちゃんには、たくさん話しかけましょう。」

子育てをしていると、一度は耳にしたことがある言葉ですよね。

その背景には、「3000万語の格差」という有名な研究があります。

私は以前からこの研究の名前は知っていましたが、あらためて、ダナ・サスキンド博士の著書『3000万語の格差』をじっくり読み返してみました。

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「3000万語の格差」とは?

この本のベースになっているのは、1995年にベティ・ハート氏とトッド・リズリー氏が発表した研究です。

研究では、乳幼児期の家庭での言葉の環境を長期間観察し、子どもが耳にする言葉の量には家庭によって大きな差があること、そして、その違いが後の語彙や学力と関連していることが報告されました。

この研究は「3000万語の格差」として広く知られ、世界中で乳幼児期の言葉かけの重要性が語られるきっかけとなりました。

もちろん、その後の研究では「3000万語」という数字自体には議論もあります。しかし、乳幼児期の豊かな言語環境が子どもの発達にとって重要であるという点は、多くの研究で支持されています。


著者は、小児人工内耳外科医

この本の著者であるダナ・サスキンド博士は、小児人工内耳外科医です。

難聴の子どもたちに人工内耳の手術を行う中で、同じように手術を受けても、その後の言葉の育ちには大きな違いがあることに気づきました。

その違いを生み出していたのは、手術そのものではなく、家庭で交わされる日々のコミュニケーションだったのです。

この経験からサスキンド博士は、脳科学や発達心理学の研究をもとに、「家庭でできること」をまとめたプログラムを作り、この本を書きました。


「たくさん話しかけましょう」だけではなかった

正直に言うと、「赤ちゃんにたくさん話しかけることの大切さ」が書かれている本なのだろうと思っていたんですが、違ったんですよ。というかそれ以上に面白いことがたくさん載っていました。

まず、今回の記事で書きたいのは第5章で紹介される「3つのT」の話。

サスキンド博士が伝えたかったのは、「話しかける量」を単純に増やすことではありませんでした。

子どもの脳を育てるために大切なのは、次の3つだと言います。

  • Tune In(チューン・イン)
    子どもに意識を向け、その子が何に興味をもち、何を伝えようとしているのかに気づくこと。

  • Talk More(トーク・モア)
    子どもの興味や体験に寄り添いながら、豊かな言葉で語りかけること。

  • Take Turns(テイク・ターンズ)
    一方的に話すのではなく、子どもとのやり取りを繰り返すこと。

この3つを見た瞬間、「これは乳幼児発達の最新研究ともつながっている」と感じました。


この3つは、今の研究でも注目されている

近年の乳幼児発達研究では、

  • ハーバード大学が提唱する「Serve and Return(サーブ&リターン)」

  • 応答的な養育(Responsive Parenting)

  • 共同注意(Joint Attention)

など、「大人が子どもの発信に気づき、それに応えるやり取り」が、脳や言葉、社会性の発達を支えることが数多く報告されています。

サスキンド博士の「3つのT」は、それらの研究とも重なる考え方なのだと感じました。


次回は、「Tune In」を深掘りします

私はこれまで、「Tune In」とは「子どもの興味に合わせること」だと思っていました。

でも、本を読み進めると、それだけではありませんでした。

サスキンド博士が伝えたかった「Tune In」は、もっと深く、赤ちゃんとのコミュニケーションの土台になる考え方だったのです。

次回は、この最初のTである**「Tune In」**について、本の内容と乳幼児発達研究を交えながら、詳しくご紹介したいと思います。