2026.06.23ベビーサインで育った子どもの91%が本好きだった理由
前回の記事では、読み聞かせが発達を支える理由について書きました。絵本の価値は、単に言葉を覚えることではなく、親子で同じ世界を見て、一緒に楽しみ、やりとりを重ねることにあるのではないか、というお話でした。
実は、そのことを考えていたときに思い出したデータがあります。
以前、ベビーサイン協会が教室卒業生を対象に行ったアンケートで、「お子さんは絵本(本)が好きですか?」という質問をしたことがあります。その結果、実に91%の保護者が「好き」と回答しました。
もちろん、これは協会独自のアンケートであり、学術研究ではありません。また、「ベビーサインをすると本好きになる」と断言できるものでもありません。
それでも私は、この結果を見たときに驚きませんでした。むしろ、「やっぱりそうか」と思ったのです。
なぜなら、まず、わが子たちが本好きに育ったこと。そして、20年以上ベビーサイン親子を見続けてきて、ベビーサインと絵本には深い関係があると感じてきたからです。
理由① 子どもの興味に寄り添いやすくなる
ベビーサインをしていると、親は子どもが何に興味を持っているのかを知りやすくなります。
例えば、絵本を開いたときに【ねこ】のベビーサインをしたら、「この子は今、猫に興味があるんだな」とわかります。繰り返し【でんしゃ】のベビーサインをして、電車の絵本ばかりもってきたら明らかに「でんしゃ」好きですよね。
子どもの興味がわかると、大人はそこに自然と寄り添うことができます。
「猫の本を読もうか」
「電車のページを見てみようか」
そんなやりとりが増えていきます。そして、その「好き」を広げるために、たくさん「ねこ」や「電車」の絵本をそろえたり、絵本以外にも「ねこ」や「でんしゃ」がついているものを探して購入したりするんじゃないでしょうか?
何を隠そう、私もその一人でした。息子が働く車が大好きだった時期には、絵本も、DVDもTシャツもおもちゃも、みーーーーんな「働く車」がついているものを探しましたから!
子どもにとって、自分の興味や気持ちをわかってもらえることは大きな喜びです。そして絵本をきっかけに分かってもらえた「自分の好き」を大人が、絵本以外にも広げてくれる!こんな楽しい経験はありませんね。
理由② 赤ちゃん自身が絵本を楽しめる
もうひとつ大きな理由があります。
それは、赤ちゃん自身が絵本に参加できることです。
まだ言葉で話せない赤ちゃんは、本来なら「この本がいい」「そのページが見たい」「もう一回読んで」と伝えることができません。
ところがベビーサインがあると、それができるようになります。
大人が読もうとしている絵本に興味がないとき、「ねこ」のベビーサインで「ねこがでてくる」別の本をリクエストする子がいます。ページをめくりながら、「ワニ」のサインでお気に入りのページを教えてくれる子もいます。
つまり、読み聞かせをただ受け身で聞いているのではなく、自分から参加できるのです。
これは大人が思っている以上に大きな違いなのではないかと思います。
赤ちゃんは私たちが思う以上に豊かな世界を見ている
私が今でも忘れられないエピソードがあります。
ある赤ちゃんが『はらぺこあおむし』を見ていたときのことです。
あおむしがさなぎになるページを見ながら、その子は突然【パン】のベビーサインをしました。
最初は意味がわかりませんでした。
でも考えてみると、茶色くてふっくらしたさなぎの絵が、その子にはパンに見えたのでしょう。
大人には思いつかない発想です。
でも赤ちゃんの頭の中では、ちゃんとつながっていたのです。
もしベビーサインがなかったら、私たちはその子が何を感じ、何を考えていたのかを知ることはできなかったかもしれません。
私はこのエピソードを思い出すたびに、赤ちゃんは私たちが思う以上に豊かな世界を見ているのだと感じます。
絵本は「読んでもらうもの」から「一緒に楽しむもの」へ
ベビーサインをしている親子の絵本時間を見ていると、絵本は単に読んでもらうものではなく、一緒に楽しむものになっています。
「つぎ、クマでてくるよ」
「うさぎさん泣いてるね」
「もう一回!」
「ワニいた!」
そんな気持ちがベビーサインを通して飛び交います。
だから絵本の時間が楽しい。
だからまた絵本を開きたくなる。
だから本が好きになる。
私は91%という数字の背景には、そんな親子の豊かなやりとりがあったのではないかと思っています。








