2026.06.01「ちょうだい」で嬉しそうに渡してくれる理由。研究を読んで思ったこと
先日、とても興味深い研究を見つけました。
2歳くらいの子どもは、自分が何かをもらう時よりも、誰かに何かをあげる時の方が幸せそうな表情を見せるという研究です。
「えっ、本当?」
って実は思ったんですけどね。
だって子どもって、「ちょうだい」と言われると嫌がることもありますよね。
でも研究を読みながら、私はベビーサイン教室で何度も見てきた光景を思い出しました。
ベビーサインでは「どうぞ」を教えていません
実はベビーサインには、教えるといいよっていうベビーサインと教えなくてもいいベビーサインがあります。
例えば【ちょうだい】は教えます。
でも【どうぞ】や【あげる】は教えていません。よく聞かれるんですけど・・・
教えなくてもいい理由は、手に持っているものを相手に差し出せば、それだけで意味が伝わるからです。
わざわざベビーサインとして覚えなくても、行動そのものが「どうぞ」になっているのです。
「ちょうだい」をすると嬉しそうに渡してくれる
教室でよくある場面があります。
赤ちゃんがおもちゃや積み木を持っています。
そこで私たちが【ちょうだい】のベビーサインを見せながら、
(両手のひらを重ねて、とんとんとするジェスチャーです)
「ちょうだい」
とお願いしてみます。
すると、
「はい!」
と言わんばかりの笑顔で渡してくれることがあるのです。
もちろん毎回ではありません。
大好きなおもちゃなら断られることもあります(笑)。
それでも、得意そうな顔で手渡してくれる子は本当にたくさんいます。
私は長い間、
「大人とのやり取りが楽しいんだろうな」
くらいに思っていました。
でも今回の研究を読んで、
もしかしたらそれだけではないのかもしれない
と思ったんです。
人を喜ばせることが嬉しいのかもしれない
研究者たちは、
「褒められたから嬉しい」
「言われた通りにできたから嬉しい」
だけでは説明できないことを示しています。
もしかすると子どもたちは、
誰かに何かを渡すことそのものに喜びを感じているのかもしれません。
そう考えると、教室で見てきたあの笑顔も違って見えてきます。
赤ちゃんは「渡したい」という気持ちがあって、
そしてその行為そのものを楽しんでいたのかもしれません。
でも、2歳になると急に貸せなくなることもあります
ここで、
「でも2歳頃って急に貸してくれなくなりますよね?」
と思った方もいるかもしれません。
その通りです。
1歳の頃は平気で渡していたのに、
2歳を過ぎたあたりから
「イヤ!」
「ぼくの!」
「わたしの!」
が増える子もいます。
これは社会性が育っていないからではありません。
むしろ発達の中ではとても大切な過程です。
子どもはこの時期、
「自分」という存在を育てています。
自分で決めたい。
自分でやりたい。
これは自分のもの。
そんな気持ちがぐんぐん育つ時期なのです。「自分のもの」がわかるから、やがて分け合える
考えてみれば当たり前のことかもしれません。
「これは私のもの」
という感覚がなければ、
「貸してあげる」
もできません。
まずは自分のものとして大切にする経験が必要です。
そしてその先で、
友達と一緒に遊ぶ楽しさを知り、
順番を待つことを覚え、
協力する喜びを経験していきます。
幼稚園や保育園は、まさにそんな経験の場でもあります。
だから私は、
1歳の頃の「どうぞ」と、
2歳の頃の「イヤ!」は、
矛盾しているようで実はつながっていると思っています。
どちらもその子にとって必要な発達の姿なのです。
赤ちゃんは思っている以上に社会的な存在
今回の研究が教えてくれたのは、
人に何かを与える喜びの芽が、とても早い時期から見られるということです。
そして発達の過程では、
その芽が見えやすい時期もあれば、
「自分」を育てるために少し見えにくくなる時期もあります。
それでも子どもたちは、
人とつながりたい気持ちや、
誰かを喜ばせたい気持ちを持ちながら成長していきます。
ベビーサインを通して赤ちゃんたちを見ていると、
赤ちゃんは私たちが思っている以上に社会的な存在なんだなと感じます。
「ちょうだい」で嬉しそうに渡してくれたあの笑顔。
あの中には、
人と気持ちを通わせる喜びが詰まっていたのかもしれませんね。
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研究論文はこちらです。








