2025.11.17赤ちゃんは、生まれた瞬間から“世界とつながろう”としている
バウアーとヴァンデルメーアが示した驚きの発達科学!
赤ちゃんって、どれくらい世界を理解しているんだろう?
まだ視力も弱く、言葉もない。
大人から見ると「まだ何もわからない存在」に見えてしまいますよね。
でも実は——
赤ちゃんは、生まれたその瞬間から
“自分で世界と関わろうとしている存在”なんです!
発達心理学と発達神経科学、どちらからもとっても大切な視点なんです。
この記事では、その証拠となる
T.G.R.バウアーの(随行性認知) と
A.ヴァンデルメーアの(意図的運動)
という2つの研究をわかりやすく紹介します。
そして最後に、
この2つの研究が ベビーサイン とどうつながるのかも
最後にまとめました。
1|T.G.R.バウアーが示した「随行性認知」
赤ちゃんは“原因と結果”を感じとれる!
1960年代、乳児研究のパイオニアである
T.G.R.バウアー(Timothy G. R. Bower) は、
赤ちゃんの驚くべき能力を明らかにしました。
それが 「随行性認知(contingency perception)」 です。
自分の行動が、周りの変化を引き起こしたと気づく力。
例えば——
赤ちゃんが足を動かすとモビールが動く、
手を動かすと光がつく。
すると赤ちゃんは、その動きを繰り返すようになります。
「こうすると、こうなる!」
まだ数ヶ月の赤ちゃんなのに、
自分の動きとまわりの変化のつながり(因果)を
しっかり感じ取っているんですよ!驚きですよね!
▼ どうしてこれが重要なの?
随行性認知は、その後の発達と深く関わるからです。
-
自己効力感(やればできる!)
-
大人とのコミュニケーション
-
社会的学習
-
意図的な関わり
-
世界への興味の芽生え
つまりバウアーは、
「赤ちゃんは受動的ではなく、能動的な存在」
であることを世界に示した人物なのです。
2|バウアーの後の研究でわかったこと
“もっと早い時期から”赤ちゃんは世界を理解していた!
バウアー以降の研究では、さらに驚く事実がわかりました。
✔ 生後2〜3ヶ月どころか、新生児でも随行性を感じている
例:吸啜(吸う動き)で音・光が変わるとすぐに学習する
✔ 物理的な随行性だけでなく、“社会的随行性”にも反応
例:自分が声を出すと大人が笑う・うなずく、視線が合う など
赤ちゃんは、大人の反応にすごく敏感。
この「通じた!」の経験が、のちの共同注意・語彙獲得などの基礎になっていきます。
“赤ちゃんと大人のやりとり”が発達のエンジン
という考えは、この後の研究でどんどん強固になりました。
3|ヴァンデルメーア教授が示した“意図的運動”
赤ちゃんの動きは「ただのバタバタ」じゃない!
ノルウェー科学技術大学(NTNU)の
A.ヴァンデルメーア(van der Meer)教授 の研究は、
バウアーの理論を“運動の視点”から強力に後押しします。
ヴァンデルメーア教授は、
新生児〜生後数ヶ月の赤ちゃんの運動を詳細に調べ、
次のことを明らかにしました。
✔ 赤ちゃんの手足の動きは“意図的で学習的”。
ただの偶然のバタバタではない!
-
自分の手を見つめる
-
その手を動かしてみる
-
動きと見え方を合わせようと調整する
-
何度も試行錯誤しながら動きを洗練させる
つまり、ぎこちないけど
“自分の体をコントロールしよう”という意思が
生まれた瞬間から働いている
これが最新の運動発達科学の大きな結論です。
そしてこれは、バウアーの随行性認知とピタッと重なります。
▼
赤ちゃんは
「どう動くか」を学びながら
「動いた結果どうなるか」も学んでいる。
“知覚—運動—認知の統合”
がすでに始まっているということです。
4|両者の研究が示す共通のメッセージ
バウアー(随行性)とヴァンデルメーア(意図的運動)。
分野は違っても、
2人の研究が示しているメッセージは同じです。
赤ちゃんは、生まれた瞬間から
自分の力を使って世界を理解しようとしている。
受動的な存在ではなく、能動的な、小さな学習者・科学者。
これは現代の赤ちゃん研究の「当たり前の前提」になっています。
5|そして…ここから“大人の関わり”がとても大事になる
随行性も、意図的運動も、ひとつの条件があるときに特に育ちます。
それは——
赤ちゃんの行動に、大人が応えてあげること(応答性)
-
目が合ったら微笑む
-
声を出したら返事をする
-
手を伸ばしたら受け止める
-
気づいた気持ちを言葉にしてあげる
この小さな“応答の積み重ね”が赤ちゃんにとって
「世界はわたしに反応してくれる安心の場所」
だと伝わります。
そしてこの安心感こそが、学び・コミュニケーション・愛着の土台なんです。
6|ベビーサインがこの流れにぴったり寄り添う理由
ここまで読んでくださった方は、もう自然と気づかれているかもしれません。
随行性認知(バウアー)
×
意図的運動(ヴァンデルメーア)
この2つを同時に育てる関わりが、まさに ベビーサイン です。
✔ 赤ちゃんが“手を使って意思表示する”(意図的運動)
✔ それに大人がすぐ応えてくれる(社会的随行性)
✔ 「通じた!」という成功体験が積み上がる(随行性認知)
この循環は、赤ちゃんの能動性・自信・学び・愛着を一気に育ててくれるんです。
だからベビーサインは、単なる便利ツール以上の価値を持っています。
“赤ちゃんと大人が、互いを理解し合う最初の言葉”
と言っても過言ではありません。
おわりに:
赤ちゃんは、思っている以上に“自分で育っていく力”を持っている!
赤ちゃんは、生まれた瞬間から
世界と関わろうとする小さな探究者。
そして、大人の応答的な関わりがその探究心を支え、
赤ちゃんの“わかった!”を育てます。
バウアーの随行性認知も、
ヴァンデルメーアの意図的運動も、
どちらもこのメッセージを強く裏づけています。
そしてベビーサインは、その発達の流れを自然に、楽しく後押しするツールです。
赤ちゃんが発信してくれる小さなサイン。そのひとつひとつに、
ぜひ笑顔と優しい反応で応えてあげてくださいね。
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