2025.11.08「できた!」が赤ちゃんを育てる —— “生まれながらの科学者”という視点
赤ちゃんの「くり返し行動」には理由がある
落としたおもちゃを拾っては、また落とす。
スプーンを投げて、ママの顔を見る。
「わざとやってるの?」と思うような行動も、
実は赤ちゃんにとって大切な「研究活動」って知ってました?
「コンピテンス理論」——赤ちゃんの“できた!”を支える力
1959年、アメリカの心理学者 ロバート・W・ホワイト は、
人間の行動を「欲求を満たすため」だけではなく、
「自分が環境に働きかけ、うまくできたと感じるため」に起こるものだと説明しました。
この「うまくできた!」という感覚を、彼はコンピテンス(competence)と呼びました。
ホワイトによると、人はこの「できた!」を味わうために、
繰り返し試したり、工夫したりするんですって!
赤ちゃんの“いたずら”のように見える行動も、
実は「自分にはできる!」を確かめる小さな挑戦なんです。
そう考えると、じっくり観察したくなってしまいますよね。
「赤ちゃんは生まれながらの科学者である」
ベビーサインの研究者として知られる
リンダ・アクレドロ博士とスーザン・グッドウィン博士 はこう言っています。
「赤ちゃんは生まれながらの科学者である」
彼らは、赤ちゃんが日々の遊びややりとりの中で、
まるで実験のように「試して→観察して→学んでいる」と指摘しました。
つまり赤ちゃんは、自分なりに世界の法則を“検証”しているのです。
ベビーサインが「科学者の心」を育てる
まだ言葉が出ない時期でも、赤ちゃんは
「伝えたい」「わかってほしい」という強い探究心を持っています。
ベビーサインは、そんな赤ちゃんの実験心をサポートするツールです。
たとえば【もっと(more)】のベビーサインを見せたら、ママが反応してくれた。
——この瞬間、赤ちゃんは“仮説が立証された”ような喜びを感じています。
その「通じた!」「できた!」の経験が、
ホワイトの言うコンピテンス=有能感を育てていくのです。
「伝わったね」が赤ちゃんの自信になる
ベビーサインのやりとりは、
赤ちゃんの「自分で世界に働きかける力」を引き出します。
ママやパパの「わかったよ」「そうだね」の一言が、
赤ちゃんにとっての“次の実験へのエネルギー”。
ホワイトの理論とアクレドロ博士たちの言葉をつなげてみると、
ベビーサインはまさに、
赤ちゃんが自分の力を発見していく科学的なコミュニケーションといえるのではないでしょうか?
おわりに
いや~心理学のフィールドをちょっとかじってみると、ベビーサインの素晴らしさに改めて気づくことができるんですよね~
ベビーサインの全体像はこちらのベビーサイン図鑑で!
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