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2025.11.06抱っこばかりの日は、脳が育っている日

「抱っこばかりで何もできない…」

 

そんな時期こそ、赤ちゃんは大きく成長しているそうですよ!
(私が子育て中は知らなかった・・・)

 

赤ちゃんが急に泣きやすくなったり、いつも以上に抱っこをせがんだりする時期――
育児のなかでそんな「手が離せない日」が続くこと、ありますよね。

 

「何か悪いことがあったのかな?」
「わたしの抱っこの仕方がいけないの?」
と心配になるママやパパも多いでしょう。

 

でも実はその“甘えん坊モード”こそが、赤ちゃんが次の発達ステップへ進もうとしているサインだとしたらどうでしょうか?

 

赤ちゃんの「不機嫌期」は、脳が大きく変化している時期

 

オランダの発達心理学者 ヘッティ・ヴァン・デ・リイト(Hetty van de Rijt) とフランス・プルーイ(Frans Plooij) は、数十年にわたって赤ちゃんの成長を観察し、『The Wonder Weeks(ワンダーウィークス)』という理論を発表しました。

 

彼らは、赤ちゃんが生後すぐから1歳半くらいまでの間に、“退行期(regression periods)” と呼ばれる「一時的に不安定になる時期」を何度も経験すると指摘しています。

 

この時期、赤ちゃんは泣きやすくなり、離れるとすぐ泣く、食欲が落ちる、夜泣きが増える――といった変化を見せます。
でもこれは“後退”ではなく、新しい知覚・認知の世界をつかむための準備期間

 

つまり、「抱っこばかりの時期」=「次の成長の扉が開く前のトンネル」
と考えてみたらどうでしょうか?

 

抱っこ期こそ、「手の会話」で安心を伝えよう

 

この“退行期”には、赤ちゃんはいつも以上にママやパパと近くにいたいと思います。その理由は、未知の世界に一歩踏み出すための「安心の基地」がほしいから。

 

そんな時期こそ、ベビーサインの出番です!

 

たとえば、
お風呂あがりに「お風呂もう【おしまい】ね」とベビーサインと一緒に見せる。
遊びが終わる前に「【もっと】する?」と聞いてみる。
グズグズが解消されないときには「【抱っこ】してあげようか?」と手を差し伸べる。
そんなやりとりが、赤ちゃんに「自分の気持ちが届いた」「世界は予測できる」と感じさせてくれます。

 

これは、言葉の土台である「気持ちのやりとり」そのもの。
つまり、赤ちゃんが人と関わる力を育む貴重な時間なのです。

 

「今、泣きたい時期」をどう受けとめるか

 

ヴァン・デ・リイトとプルーイの研究が示しているのは、赤ちゃんのぐずりや不機嫌は“問題行動”ではなく“発達の節目”だということ。

そして、その節目に寄り添う最良の方法は、抱っこやスキンシップに加えて、“目に見えるコミュニケーション” を重ねることです。

ベビーサインはそのひとつの形。
ママ・パパの「伝えたい」「わかってあげたい」という気持ちを、赤ちゃんの目に見えるかたちで届けてくれます。

 

「今はしんどい時期」ではなく、「成長のジャンプ台」

 

赤ちゃんが甘えん坊になるのは、いつも何かを乗り越える前。
だからこそ、その時期を「大変」と思うだけでなく、
「この子、またひとつ成長するんだ」と見つめてあげたいですね。

突然、機嫌が悪くなったり、グズグズが長引いたあの頃の自分が知っていたら、もっとゆったり子どもたちと向き合えただろうな~と思わずにはいられません。でも、幸い、ベビーサインがあったことで、当時の私はずいぶんと救われたんだろうな~

 

参考文献

  • van de Rijt, H., & Plooij, F. X. (1992). The Wonder Weeks.

  • Plooij, F. X. (2020). Regression Periods in Human Infancy. In The Interdisciplinary Handbook of PCT.

  • MedReport Foundation (2023). What neuroscience and pediatrics reveal about your baby’s fussy phases.