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2026.07.28子どもの視野は、大人とはこんなに違う〜「見えているはずなのに気づかない」には理由がありました〜

「ちゃんと見て!」

「ほら、こっち!」

そう声をかけても、子どもは全然こちらを見てくれない。

そんな経験はありますよね?

でも実は、それは「聞いていない」のでも、「わざと無視している」のでもないかもしれません。

子どもは、大人とは見えている世界が違うんですよ。

子どもの視野は、大人よりずっと狭い

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子どもと大人の視野の違い

拙著「ベビーサイン図鑑」でも紹介したんですが、大人と子どもではこんなに視野が違います。

大人は左右およそ150度、上下も広い範囲を見ることができます。一方、子どもの視野は左右約90度、上下も約70度程度といわれています。足下、ほんと、見えてないんですよね。

つまり、大人なら自然に目に入るものでも、子どもには見えていないことがあるのです。

例えば、歩いているとき。

大人は前だけでなく、横から近づいてくる自転車や車、人の動きにも自然と気づきます。

でも子どもは、目の前のことに集中すると、周りの情報が入りにくくなります。

だからこそ、子どもの交通事故が「飛び出し」で起こりやすい理由の一つにもなっています。

「見えていない」のではなく、「気づいていない」

ここで一つ、大切なことがあります。

実際には、「視野が狭い」ということだけでは説明できません。

乳幼児発達研究では、「何が見えているか」よりも、「何に注意を向けているか」が重要だと考えられています。

たとえ視界に入っていても、注意が向いていなければ、その情報はコミュニケーションに結びつかないんです。

だから赤ちゃんや子どもは、目の前にいる大人に気づかないこともあります。

反対に、大好きなおもちゃにはすぐ反応します。

違いは、「見える」「見えない」ではなく、対象物に「注意が向いているかどうか」なのです。

だから、まずは子どもの世界に入る

私は20年以上、ベビーサイン教室でたくさんの親子と出会ってきました。

その中でいつもお伝えしてきたことがあります。

それは、

「伝える前に、まず子どもが今いる世界に入ること。」

大人は、自分の立っている位置から話しかけてしまいがちです。

でも、少ししゃがんで目線を合わせるだけで、子どもの反応が変わることがあります。

子どもが見ているおもちゃの近くで話しかけると、自然とこちらにも注意が向くことがあります。

これは特別なテクニックではありません。

子どもの見えている世界に、大人が歩み寄っているだけなのです。

ベビーサイン協会で20年以上大切にしてきたこと

日本ベビーサイン協会では、20年以上前から「視線を捉えること」を大切にしてきました。

実はその考え方は、前回ご紹介した「手話版のお母さん語」や、ろうのお母さんたちのコミュニケーションから多くのヒントをいただいています。

そして、その後の乳幼児発達研究を読むたびに、「だから、この関わり方が大切だったんだ」と感じることがたくさんあります。

私たちが伝えてきたのは、手の形だけではありません。

赤ちゃんが見ている世界を理解し、その世界に寄り添うこと。

その積み重ねが、親子のコミュニケーションを育てていくのだと思っています。

今日からできること

もし、お子さんに何かを伝えたいと思ったら、まず一つだけ試してみてください。

「ちゃんと見て!」と言う前に、

「この子は今、何を見ているんだろう?」

とわが子を観察しながら考えてみることです。

そして、その視線の先を一緒に見てみてください。

その小さな積み重ねが、「伝える」よりも先に、「つながる」時間を増やしてくれるはずです。


今回紹介した研究・参考資料

  • Atkinson, J. (2000). The Developing Visual Brain. Oxford University Press.

  • Johnson, M. H. (2011). Developmental Cognitive Neuroscience.

  • Mundy, P., & Newell, L. (2007). Attention, Joint Attention, and Social Cognition. Current Directions in Psychological Science, 16(5), 269–274.

  • Brooks, R., & Meltzoff, A. N. (2005). The development of gaze following and its relation to language. Developmental Science, 8(6), 535–543.