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2025.12.03一人目だからこそプレッシャー? 親の“期待”が子どもに与えること — 科学と、やさしい対処法

こどもを育てていると、特に一人目のときは「いい子に育てたい」「失敗させたくない」という気持ちが強くなりませんか?

 

実は私も、息子を育てる中で、「ベビーサイン協会の代表の子ども」ってどこかで見られてるんじゃないかって、気になっていた時期がありました。今日は、あの頃の自分が知ってたら良かったな~って事も含めながら、その“期待のかけ方”が、知らぬ間に子どもの心と脳に影響を与えることがある、という話を書いてみました。

 

1) 親の期待は“投影”になりやすい

心理学では、親が自分の願望や不安を子どもに重ねることを「投影(projection)」や家族システム理論での「family projection process」と表現します。

 

たとえば「お兄ちゃんなんだからしっかりしてね」「お姉ちゃんはもっと我慢できるでしょ」といった何気ない言葉も、子どもにとっては「期待に応えなければ愛されないかも」と感じるきっかけになるんですって。

 

2) 「期待が大きすぎる」と脳にも影響が出る — ストレスと学び

脳科学の視点では、子どもの脳は「安心感」があるときに前頭前皮質(考える力や自己コントロール)や海馬(記憶や学習)をよく働かせます。一方で、慢性的に強いストレス(高いコルチゾールなど)は、これらの領域の働きを妨げ、学びや挑戦を妨げることが示されているんです。つまり、プレッシャーや過度の期待は「学びに向かう気持ち」を萎えさせるリスクがあるんです。

 

実験やレビューでも、学習時のストレスは記憶の取得や柔軟な学習(新しいことを試す)を阻害することが報告されています。

 

3) 一人目(長子)には“達成志向”が出やすい — でもリスクも

多くの研究は、長子(firstborn)が幼少期〜学業面で有利になる傾向(親の注意が集中する、責任感が育つ)があることを示しています。一方で、完璧主義や不安傾向が出やすいという報告もあります。

 

つまり「一人目だから責任感が強い」「よくがんばる」一方で、「失敗が怖い」「完璧にやらなきゃという自己評価」が育ちやすい、という二面性があるそうです。(でも、わが家の場合はそうでもなかったな~というのが実感です。なんだかほわーんとした息子だったので・・・)

 

4) 「条件付きの愛」は自己肯定感を揺らす

親の愛情やほめ言葉が「成績が良ければ」「お手伝いできたら」と条件付きで与えられると、子どもは「自分は条件を満たしたときだけ価値がある」と感じやすくなります。心理学ではこれを「親の条件付け(parental conditional regard)」と呼び、自己評価の揺らぎややる気の低下、完璧主義との結びつきが示されています。

 

5) じゃあ、親はどうすればいい?

ここからは具体的でやさしい対処法です。どれも「親が変わらなきゃ」と自分を責めるためのものではなく、日々の接し方で子どもが安心して挑戦できる環境をつくるためのアイデアです。それがしいては自立した手のかからない子になると私は思います。

 

・成果より「過程(がんばり)」をほめる

「できたね!」だけでなく「最後まで試してみたね」「考えたね」と過程を言葉にする。そうすると子どもは「失敗しても次がある」と感じやすくなります。(← はい、これ、私はあまりできませんでした・・・反省。できたじゃん!やるじゃん!ってよく言ってた記憶が)

 

・条件付きの愛ではなく“条件なしの承認”を示す

失敗しても、期待した結果にならなくても、「どんなあなたも大好きだよ」というメッセージで具体的に伝えましょう。もーそんな事する子、嫌いって言いたくなる気持ちもわかるんだけど、それだと、子どもを否定してしまうことになるんですよね・・・

 

・小さな安心体験を積み重ねる

アイコンタクト、語りかけ、スキンシップ(抱っこや歌、ふれあい遊びなど)は「安全基地」を作ります。安心の積み重ねが、前頭前皮質や海馬の健やかな発達を支えます。

 

・ベビーサインは「期待をかけずに/つながる」ためのシンプルな道具

ベビーサインは、言葉を待つあいだのコミュニケーションツールです。たとえば…

 

  • 「できた!」「できなかった!」の代わりに、今見ているものや感じていることを共有することで安心が伝わる。

  • ベビーサインを通して、子どもの興味関心に気づくことができるので、親の期待を押しつけることを避けられる。

こうした小さなやり取りは、子どもに「伝えても受け止めてもらえる」という安心を育て、条件付きの承認(=やったら褒める/やらなかったら愛情が下がる)を避けるのに役立ちます。日々のかかわりを“言葉+手の動き”で豊かにする手段として、ベビーサインは親子の“安心の橋渡し”になります。

 

6) 親が自分の期待に気づくためのワンポイント

  • 「その期待は私のもの? 子どものためのもの?」と自問してみる。

  • 感情が高ぶったとき、まず深呼吸してから話す。

  • 「失敗しても大丈夫」を日常の中で繰り返して伝える(親自身も子どもの前で失敗してOK)。

 

以上、いかがでしたでしょうか?わが子たちはもう大きくなってしまったので、今更後悔もありませんが、今子育て中の方に何か学びがあると嬉しいです。

 

ベビーサインに興味を持ってくださったらこちら「ベビーサイン図鑑」をどうぞ。