2026.05.180歳児保育に“対話”は必要ですか?
0・1・2歳児保育を考える
― 小さな人を尊重する保育 ―
「まだ話せないから、わからないよね」
わたしたちは0歳や1歳の子どもたちに、無意識にそんな言葉をかけてしまうことがありませんか?話せなくてもわかってるって思った方がいいんだろうけど、でも、つい、口から出てくる言葉が「話せないからわかってないよね・・・」って。
でも、
泣く。
笑う。
手を伸ばす。
嫌がる。
顔をそむける。
言葉になっていないだけで、赤ちゃんたちは毎日たくさんの「気持ち」を発信していますよね。
私は20年以上、ベビーサインを通して、まだ言葉を話せない赤ちゃんたちと関わってきました。そしてその中で、何度も感じてきたことがあります。
それは、
「赤ちゃんは、わたしたち大人の想像以上に“伝えたい”と思っている」
ということです。
現在、全国約130園の保育施設でベビーサインが導入されています。
導入のきっかけはさまざまですが、多くの園で共通して聞かれるのが、
「子どもたちが穏やかになった」
「保育士が子どもの気持ちを受け取りやすくなった」
「保護者との会話が増えた」
という変化です。
ベビーサインというと、「かわいいしぐさ」をイメージされる方も多いかもしれません。
もちろん、小さな手を一生懸命動かす姿は本当に愛らしいです。
でも、私はベビーサインの本当の価値は、そこではないと思っています。
それは、
「あなたの気持ちを受け取りたい」
というメッセージを、大人が子どもに伝え続けること。
例えば、ベビーサインがあれば
ご飯のおかわりが欲しい時に【もっと】。
転んでしまった時に【痛い】。
困った時に【やって】。
こうした発信を子どもから受け取ってあげることが可能になります。そして、子どもたちは少しずつ、
「伝わるって嬉しい」
「わかってもらえるって安心する」
という感覚を育てていきます。
そう!ベビーサインがなくても、こちらの都合でわかってあげることはある程度できるんです。
でも、それは「子ども発信」ではありません。
私は、乳児保育においては、察して読み取る以上に、おしゃべりができない時期だからこそ、“対話”が必要ではないかと思うのです。
まだ話せない。
でも、ちゃんと気持ちはある。
だからこそ、0歳児保育にも双方向の「対話」は必要なのではないでしょうか。
忙しい保育現場では、どうしても「安全に過ごす」「時間通りに動く」が優先されがちです。
もちろん、それも大切です。
でもその中で、
「この子は、今なにを感じているんだろう」
と考えながら関わることで、子どもたちから、今、まさに感じていることを手を使ってコミュニケーションしてくれる。それは、きっと保育をもっと豊かにしてくれるのではないかと思っています。
ベビーサインは、単なるコミュニケーション技法ではありません。
小さな人を、一人の人として尊重するための“まなざし”なのです。
おしゃべりできない時期でも、伝え合える「手段」=「ベビーサイン」を与えてあげることで、対等に伝え合える。
これこそが一人の人として尊重する第一歩ではないでしょうか?








