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2026.01.19「赤ちゃんが泣いても無視する育児」は本当に正解? ──cry it outをめぐる科学と文化の話

「泣いても無視」なんてあり得ないと思っていたあなたへ

 

科学と文化のはざまで揺れる「cry it out」育児観

 

赤ちゃんを泣かせっぱなしにして自力で寝かせる…
いわゆる 「ネントレ」=Cry-It-Out(CIO)法 に最初に触れたとき、私は正直こう思いました。

 

「赤ちゃんが泣いてるのに無視するなんて、そんな育児法あり得ない」

 

けれど一方で、欧米の育児書や専門家の議論では、CIOが「睡眠トレーニングのひとつ」として位置付けられることもあります。
アメリカでは生後4〜6ヶ月頃からこの方法が紹介され、夜泣き改善の選択肢として親に伝えられてきました。これは ファーバー博士が提唱した「Ferber method」に代表されるもので、泣いたら少し間を置いてから応答するという考え方も含んでいます。

 

つまり CIOはアメリカの育児文化/睡眠トレーニング界隈で広く知られてきた手法なのですよね・・・

 


デンマークの議論は「禁止」ではなく、専門家の警鐘

先日、アメリカ人の友人の投稿で「Brain Talks」というサイトのニュースをたまたま見たんです。
それは、2019年に デンマークの心理学者723人が、Cry-It-Out(CIO)法を推奨する書籍の出版社に対して抗議の公開書簡を送った事例が書かれていました。

 

この書簡では、

 

  • 赤ちゃんと幼児は泣いている間、安心やケアが不可欠であること

  • “泣かせっぱなし”のガイドラインは愛着形成や発達に悪影響を与える可能性があること

 

などを指摘しています

これは 「CIOそのものをデンマーク政府が禁止した」という話ではなく
専門家・研究コミュニティが改めて赤ちゃんの応答の重要性を強調している動きです。

 


アメリカでのCIOの現実 — 賛否両論

アメリカではCry-It-Outについて今も賛否両論があります。
専門家の中には、

 

🔹 CIOが短期的に夜泣きの改善に寄与する可能性がある(睡眠の質改善)
🔹 親の睡眠不足が軽減され、家族全体のQOLが上がることがある

 

という意見がある一方で、以下のような反論もあります。

 

✔ CIOが親子の関係性にどのように影響するかは必ずしも科学的に一致していない
✔ 一部の長期的研究では、CIOが愛着や情緒に悪影響を与えないとする報告もあるが、解釈には注意が必要である
✔ 生理的ストレス指標(例:コルチゾール)や赤ちゃんのストレス反応については、まだ不確定な点が多い

 

という点です。

 

たとえばアメリカの医療機関の記事では、CIOが「必ずしも赤ちゃんの発達に悪影響を与えるとは証明されていない」としつつも、「すべての家庭に向いているわけではない」ともされています。

 

このように 長期的な影響評価や文化的背景の違いが、アメリカでも今なお議論の核になっています。

 

でも、冷静に考えてみると、相手は赤ちゃんです。
Cry it out を育児に取り入れた家庭で育った子どもが、将来どんな影響を受けるのか――
そんな問いに、白黒はっきりした答えが出るはずがないとも思うのです。

 

それよりも私が大切だと感じるのは、
赤ちゃんが泣いて何かを訴えているという事実を、私たち大人がどう受け止めるかです。

 

泣いている赤ちゃんを「無視する」ことに、疑問を持たなくなってしまうこと。そこにこそ、私は一番の違和感を覚えます。

 

もちろん、寝不足でママもパパもしんどい。
それは痛いほど分かります。
でも、泣かせ続けることで「自分で寝る力」を身につけさせることが、
この時期に一番大切な愛着形成や信頼関係づくりに、本当にプラスになるのでしょうか。

 

少なくとも、私はそうは思えませんでした。
夜泣きがひどくて、本当に辛かった長男の子育ての間も、泣いている息子を泣かせっぱなしにするっていう選択肢は一度も考えられなかったから。

 

それに、日本の住宅事情を考えると、
最初の数日間の激しい泣き声に、近隣から苦情が来るのでは…
と不安になるご家庭も、決して少なくないはずです。

 

さらに、こんな出来事もありました。

 

実は、お子さんとベビーサインを実践しながら、同時にネントレ(寝かしつけトレーニング)に挑戦していた方のお話です。

「赤ちゃんが泣きながら【おっぱい】のベビーサインをしているとき、どうしたらいいですか?」

そう相談したところ、
「ベビーサインは、ネントレの邪魔になるのよね…」
と、講師から言われたそうです。

 

……正直、私は驚きました。

 

赤ちゃんが「欲しい」「つらい」「助けて」と伝えようとしているそのベビーサインが、
“邪魔なもの”として扱われてしまう。
そこに、私たちが見失ってはいけない何かがあるように思えてならなかったのです。

 


赤ちゃんの「泣く以外の意思表示」を育てることの意味

だから、私が何より伝えたいのはこういうことです。

 

赤ちゃんの「泣き=唯一の言葉」状態を

 

少しずつ「言葉以外の意思表示」へ広げていけたら?

 

ということ。

 

泣くことはもちろん赤ちゃんの大切なサインです。
でも、泣くだけでは「要求」も「感情」も混ざってしまって、親も赤ちゃんも苦しくなることがあります。

 

そこで注目したいのが ベビーサインです。

 

ベビーサインは、
🟡 「まだ話せない」赤ちゃんが
🟡 手の動きで意思や要求を伝えられるようになる
🟡 コミュニケーションの手段です

 

たとえば、泣かなくても【電気】のベビーサインで
「お部屋が暗いから寝れないよ」
って教えてくれることもできるし、
【抱っこ】のベビーサインで
「だっこしてくれたら寝れそうなんだけど」
なんて事も伝えられるんです。

 

これは、
「泣かせない育児」ではなく
👉 泣く頻度が減るコミュニケーションの育て方
と言い換えることができます。

 


「泣く」を超えてつながる育児へ

CIOをめぐる議論は、育児文化や科学の進展とともに変わりつつあります。
アメリカでは長く肯定的に扱われてきた側面もありますが、科学的に確定的な答えはまだありません。

 

一方で、赤ちゃんの脳と情緒の発達を見る視点からは、

 

👉 赤ちゃんの信頼形成と応答体験
👉 泣く以外の伝え方(ベビーサイン)
👉 親子の双方向コミュニケーション

 

がより健やかな関係を育む鍵として私は注目されるべきだと思うのです。

 

そしてそれは、
「泣いている赤ちゃんにすぐ反応しなければならない」
という責任負担ではなく、

赤ちゃんの気持ちを受け取る手段を増やすという視点ではないでしょうか?