2026.11.05赤ちゃんに伝えたいなら、言葉だけではもったいない?
私たちは、赤ちゃんにこんな風に自然と話しかけますよね?
「ごはん食べようね」
「お外に行こうね」
「わんわん、いたね!」
でも、まだ言葉を話せない赤ちゃんに、こちらの言ってること、どこまで伝わっているんだろう?って思ったことないですか?
実は、赤ちゃんとのコミュニケーションでは、言葉だけでなく、身ぶりや動きも大切な役割を果たしています。
今回は、親が赤ちゃんに使う身ぶりと、その後の言葉の発達との関係を調べた研究をご紹介します。
親が使う身ぶりと、子どもの言葉の発達
2021年に『Journal of Autism and Developmental Disorders』に掲載された研究では、親が赤ちゃんにどのような身ぶりを使っているかと、その後の子どもの語彙発達との関係が調べられました。
対象となったのは、きょうだいに自閉スペクトラム症のある赤ちゃんと、そうでない赤ちゃんを含む親子です。
研究者は、赤ちゃんが12か月、18か月、24か月のときに、親子が自由に遊ぶ様子を観察しました。
では、親は具体的にどんな身ぶりを使っていたのでしょうか?
例えば、
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指さし:目の前にあるものや、離れた場所にあるものを指で示す
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見せる:持っているおもちゃなどを赤ちゃんに見せる
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差し出す:持っているものを赤ちゃんに渡そうとする
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うなずく・首を振る:肯定や否定を体の動きで表す
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動作で表現する:手や体を使って、何かの動きや意味を伝える
こうした身ぶりを、親がどのくらい使っているかを分析したのです。
そして、子どもが36か月になったときの語彙発達との関係を調べました。
その結果、生後12か月のときに親が身ぶりを多く使っていた親子ほど、36か月時点で子どもの語彙が豊かな傾向が見られました。
さらに、子ども自身の身ぶりや、親が使う言葉の種類など、ほかの要因も考慮した分析でも、この関連は認められました。
ただし、これは親の身ぶりと後の語彙との関連を示した研究です。身ぶりを増やせば必ず語彙が増える、と証明したわけではありません。
それでも、赤ちゃんに言葉を伝えるとき、身ぶりを一緒に使うことには注目する価値がありそうです。
出典:Choi, B., Shah, P., Rowe, M. L., Nelson, C. A., & Tager-Flusberg, H. (2021). A Longitudinal Study of Parent Gestures, Infant Responsiveness, and Vocabulary Development in Infants at Risk for Autism Spectrum Disorder. Journal of Autism and Developmental Disorders, 51, 3946–3958. https://doi.org/10.1007/s10803-020-04855-z
言葉に、目で見える手がかりを添えてみる
例えば、親が犬を指さしながら「ワンワンいたね!」と話しかけたとします。
赤ちゃんには、
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耳から「ワンワン」という音が入る
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目から犬の姿が入る
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親の指さしによって、どこを見ればいいのかが分かる
という複数の手がかりが同時に与えられますよね。
また、「どうぞ」と言いながらおもちゃを差し出したり、「おいしいね」と言いながら食べる動作を見せたりすることもできます。
言葉だけではまだ理解しにくい赤ちゃんにとって、目で見える動きは、言葉とその意味を結びつける手がかりになるのです。
ここで大切なのは、言葉の代わりに身ぶりを使うのではなく、言葉と身ぶりを一緒に使うこと。ちゃんと耳から音声が入ってくることが大事です。
さらに、実際のボールを見せながら「ボールだね」と話したり、リンゴのおもちゃを持ちながら「リンゴだよ」と伝えたりすることも大切です。
言葉、身ぶり、そして実物や絵、おもちゃなどを組み合わせることで、赤ちゃんが言葉の意味を理解するための手がかりを増やせます。
ベビーサインは、言葉と身ぶりを一緒に使うコミュニケーション
ここで、ベビーサインについて考えてみましょう。
ベビーサインは、大人が言葉を話しながら、その言葉に対応するサインを一緒に見せます。
例えば、
実際のボールを見せながら「ボール」と言って、【ボール】のサインを見せる。
リンゴを食べながら「おいしいね」と話し、【おいしい】のサインを見せる。
「もっと食べる?」と声をかけながら、【もっと】のサインを見せる。
こんなふうに、言葉とサイン、そして実物やおもちゃ、絵などを組み合わせて、日常の中で繰り返し伝えていきます。
赤ちゃんは、最初からすぐにサインを返してくれるわけではありません。何度も見て、経験して、少しずつ自分でも使えるようになっていきます。
そして、自分の手で【もっと】と伝えられたとき、大人がその気持ちに気づいて応えてくれる。
そんなやりとりが、親子のコミュニケーションを豊かにしていくんです。
赤ちゃんに伝えることは、赤ちゃんの声を聴くこと
今回紹介した研究は、ベビーサインそのものの効果を検証したものではありません。
でも、親が身ぶりを使って赤ちゃんに関わることと、その後の語彙発達に関連が見られたという結果は、私たちが日頃から大切にしている関わり方を考えるうえで、とても興味深いものです。
赤ちゃんに何かを伝えたいとき、言葉だけで頑張らなくても大丈夫。
言葉に身ぶりを添えてみる。
実物やおもちゃを見せてみる。
赤ちゃんの表情や反応を見ながら、もう一度伝えてみる。
そして、赤ちゃんからの小さなサインにも気づいてあげる。
伝えることと、受け取ること。その両方があって、親子のコミュニケーションは育っていくんです。








