2026.05.19“語りかけだけで十分”だと思っていました
0・1・2歳児保育を考える
― 小さな人を尊重する保育 ―
「私は子育ての経験があるので、子どもの表情を見て、語りかけだけで十分だと思っていました」
これは、ある保育士さんが研修後に話してくださった言葉です。
実は、こう感じている方はとても多いのではないかとわたしは思うんです。
赤ちゃんは、
泣く。
笑う。
指をさす。
表情を変える。
だから、
「ちゃんと見ていればわかる」
「言葉にならなくても通じている」
そう思いますよね。
もちろん、それは間違いではありません。
赤ちゃんは、表情やしぐさでたくさんのことを伝えてくれています。
でも、ベビーサインを取り入れた保育士さんたちから、よくこんな声をいただくのです。
「赤ちゃんって、こんなに“わかっていた”んですね」
と。
大人はつい、
“まだわからない”
“まだ小さい”
と思ってしまいます。
でも実際には、赤ちゃんたちは毎日、大人の言葉を驚くほど吸収しています。
そしてベビーサインがあれば
ある日突然、
その理解していた世界が、
小さな手の動きとなって返ってくる。
「もっと」
「おしまい」
「痛い」
「やって」
まだおしゃべりができなくても、
“自分から伝えようとする”
その姿に、多くの保育士さんたちが驚かれます。
ベビーサインの魅力は、
単に「便利」ということではありません。
私は、
「赤ちゃん側からコミュニケーションが返ってくる」
ここに大きな価値があると思っています。
保育では、大人からの働きかけが中心になりがちです。
「ご飯食べようね」
「おむつ替えようね」
「お片付けしようね」
でも、ベビーサインが入ると、
そこに“子ども側からの発信”が増えていきます。
すると保育士さんたちも、
「この子、こんなこと考えてたんだ」
「今、こう感じてたんだ」
と、子どもを見る目が変わっていくのです。
以前、
こんな感想をいただいたことがあります。
「子どもの気持ちを理解している“つもり”になっていたかもしれません」
この言葉は、とても印象に残っています。
乳児保育は、
“できない子のお世話”
ではありません。
まだ言葉にならない思いを受け取りながら、
一人の人として関わっていく時間なのだと思います。
だから私は、
ベビーサインは「無駄」でも「芸」でもなく、
“小さな人との対話”
に必要な道具なのだと思っています。
こちらの「わかったつもり」を
「わかってあげられた!」の確信にかえてくれるもの、
それがベビーサイン。








